お笑いを語るということ

最近は有吉弘行を筆頭に、お笑い(orテレビ)批評をそのまま芸に昇華させた芸人の活躍*1が増えています。個人的にこの傾向は嬉しい限り。

「現代漫才論序説 〜M−1から見る漫才の現在形」

そんな中で、現在お笑い批評そのものを展開している芸人の代表格のひとり、東京ポッド許可局などで活躍するサンキュータツオ
そのサンキュータツオとライターの大山くまおがとっても興味深いイベントをやるそうです。

すでに一大コンテンツとなり、メディアを席巻し続ける「お笑い」の世界。その嚆矢であり、ビッグバンともいえる「M−1グランプリ」を通して漫才の現代形を考察します。インタビューや感想文ばかりで、映画、音楽、演劇など他ジャンルに比べても脆弱な「お笑い」についての本格評論の試みです(大山くまお)。


●「M−1グランプリ」が漫才に与えた影響とは?
●“M−1のフィギュアスケート化”とは何か?
●なぜNON-STYLEが評価されるようになったのか?
●なぜオードリー、ナイツのほうが人気者になったのか?
●M−1優勝の条件“手数”とは何か?
●歴代優勝者から見る、勝者の傾向とは?
おぎやはぎ笑い飯、千鳥……決勝負け組たちが示す番組のメッセージとは?
●「オンエアバトル」「エンタの神様」「レッドカーペット」それぞれの“狙い”とは? …etc

詳細はこちらを。
「ラテラ」の方でも紹介しましたが、あまりに面白そうなのでこっちでも紹介します。

「すべる時間」(著:幽谷マサシ)

とんがりネッシーズと聞いてその存在を思い浮かべられる人は相当なお笑いマニアだと思います。
とんがりネッシーズは安田ユーシとうに吉が組んでいた漫才コンビ。
ここで、あ、安田といえば、なんて気付く方ももしかしたらいるかもしれません。
実はこの安田ユーシは「進ぬ!電波少年」の企画、『電波少年地球防衛軍』の「地球防衛軍ブラック・五択の安田」として活躍されていた方です。
とんがりネッシーズは、「電波少年」により実質的にコンビ活動ができなくなり程なく解散。
安田は現在もピン芸人として活動していますが、相方うに吉はいつの間にやら幽谷マサシと名を変え、小説家になっていました!
そして彼が書いた自伝「すべる時間」が雑誌『本人』主催の「hon-nin大賞」で初のグランプリ受賞作品に輝き、出版されるそうです。

「お笑い芸人にユーラシア大陸を横断させるような番組を追放してやる!」――ぼくはそんなでっかい夢を抱いて芸人になった。しかし、現実は容赦ない。プロデビュー1年目にして、追放するはずだった番組が相方を起用、ぼくはひとり取り残された......ちょっと待て、相方がおらんかったら、ぼく、ただのニートやん......!


テレビで見るだけがすべてじゃない。華やかに見えるお笑い芸人たちも、みんな裏では必死にもがいてる! 松尾スズキが絶賛した、業界初の「笑えないお笑い小説」、ここに誕生!


「芸人の自伝はなぜか、いつも哀しい。そして、芸人に挫折した男の話は、哀しくておかしい。
聞いてほしい。骨の髄まですべりまくった男の話を」 松尾スズキ

同じような境遇の松野大介の名著「芸人失格 」を超えることができるのか楽しみ。

「PLANETS vol.6」

毎度毎度興味深い記事満載のサブカルチャー総合誌の最新号では約100ページにわたり、「お笑い批評宣言 ―バラエティから見る日本文化史」と題された特集が組まれているそうです。

【特集】お笑い批評宣言 ――バラエティから見る日本文化史
■〔インタビュー〕NON STYLEU字工事マシンガンズかわら長介大谷ノブ彦ダイノジ)/マヂカルラブリークロンモロン/桜
■永久保存版 ゼロ年代テレビお笑い史――ビッグ3以降のバラエティ番組を考える
ゼロ年代芸人列伝 ――時代を切り開いた30組
■お笑い賞レースの傾向と対策
■お笑いライブガイド 東京・大阪
■関西ローカル番組の歴史
■元・松本信者の告白 ――松本神話解体への序曲
■注目若手芸人クロスレビュー
■〔コラム〕能町みね子ラリー遠田 ほか
■〔座談会〕お笑いNow&Then――松本人志から「お笑いブーム」へ 
 ラリー遠田×荻上チキ×黒瀬陽平×大見崇×宇野常寛

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■〔インタビュー〕大澤真幸 虚構の時代の果ての「共同性」を考える

■〔対談〕萱野稔人×橋本努
「批評」の再設定 ――〈一〇年代の論点〉とは何か
構成:芹沢一也 司会:荻上チキ、宇野常寛

■〔対談〕岡田惠和×河野英裕 テレビドラマ『銭ゲバ』をめぐって

■〔インタビュー〕岡田麿里 「真心の想像力」の美学 -思春期を美しく終わらせるために

■〔インタビュー〕中村義洋 脚本と編集は生き物 ――〈映画〉と〈物語〉のあいだで

■〔特別寄稿〕小谷野敦 中村光夫田山花袋に敗れたり−「蒲団」と色男中村光夫

■Cute anime! Cute fashion! -キュートアニメ!キュートファッション!
 ――BUNKAMURAクリィミーマミ
 〔対談〕高田明美×岸ひろみ 

■〔緊急座談会〕
Perfume相対性理論を語れば09年の音楽を語ったことになるなんて思わないよ絶対」
三輪裕也×橘たちっぱな×菊池俊輔×コメカ×宇野常寛
司会/構成:古間潤

■PLANETS Selection Special 〔ダークナイト〕解体
 成馬零一×青木摩周×くろばく×宇野常寛

■〔PLANETS Selection Special 惑星開発会議〕
 映画/愛のむきだし  森直人×前田トモヤ×福田綾乃×宇野常寛
 ドラマ/流星の絆   中川大地×成馬零一×宇野常寛
 アニメ/コードギアス 反逆のルルーシュR2  青木摩周×菊池俊輔×宇野常寛
 漫画/魔人探偵脳噛ネウロ  麻草郁×成馬零一×菊池俊輔×宇野常寛

■〔巻末対談〕市川真人×宇野常寛
 批評家/編集者の設計図(メカニクス) ――機能する〈ことば〉をめぐって

http://wakusei2nd.cart.fc2.com/ca2/4/p-r-s/

あーー、面白そう。そしてちょい嫉妬。

*1:これまでは、一部のトップスターを除き、その批評をコントや漫談に落とし込む作業が必要だった。

芸人たちの最初の一歩

明石家さんまの場合

長きにわたりお笑い界のトップを走り続ける明石家さんま
彼にももちろん下積みの時代がある。
その時代のことを、笑福亭仁鶴をゲストに招いた「さんまのまんま」で語っていた。

(売れたのは)師匠(仁鶴)のおかげですよ。
師匠の(番組)「爆笑三段跳び」の前説で売れたようなもんですから。
師匠がなかなか入ってこない間、ずっと繋いでたんですよ。
なんば花月ですよ。
僕が19歳くらいのときに、師匠が劇場に入ってテレビ番組の収録をするまで、僕は前説で繋いでたんです。
(勉強)できましたねぇ。
だって、師匠が30分で入ってくるって言うのに、1時間半とかかかって(その間)つながなあかんかったんですよ。
毎週1時間以上前説でつないで、それでやることなくなって、漫談とか全部やりつくして、もうアカンわと思って、(当時巨人の小林繁の)形態模写やったです。受けない思って。やったら、大爆笑だったんです。
あれがきっかけで、テレビ局の人が見てらっしゃるじゃないですか。ほいで、形態模写をやってくれ、やってくれって言われて。19歳です。最初。
形態模写なんて誰もやってませんでしたから、あの時代。
ホントにあの前説のおかげですよ。

その後、この番組本編にも出演するようになり、チャンスをつかんで人気を得ていくことになる。

村上ショージの場合

そのさんまの今や相方ともいえる存在の村上ショージのデビュー当時はどんなものだったのか、「本番で〜す」で明かしていた。

きっかけっていうのは、僕は小学校5年生の時からホントに吉本入りたくて、中学校卒業してすぐにでも入りたかったんだけど、親父も体悪かったし、親父が死ぬまではするな、それが親孝行や、って言われて、で、中学校卒業して造船所でずっと溶接しながら頑張ってて、21歳のときに親父が亡くなったから、22歳の時、吉本に(入社した)。
(憧れの吉本に入って)嬉しくてね、(当時の)部長さんに「面接来い!」って言われて、僕緊張しまくって、なんば花月で「ところでお前、何できんねん?」
「はい……、溶接できます」「え! 溶接ぅ?」もうテンパってるから。
そんなら明日から裏方で来いや、言われて。
行って、ちょっと仕事、いきなりやけど、言われて、仕事1日目でいきなり。
で、事務所行ったら「客席の手すりが外れてるから溶接してくれ」言うて。
その次の日に、客席のぶらーと外れてる手すりにアース引いて、もう専門やからバチバチバチってやったら、吉本の支配人が「プロやなぁ〜」って。
それから何かあったら呼ばれてたわ。「おぅ、溶接してくれ」言うて(笑)。

<関連>
・ナインティナインがチャンスをもぎ取った時
明石家さんまの眠らない哲学

山崎歌劇団 山組 初公演記録

第2回公演の願いをこめて、山崎歌劇団のキャストを記録しておきたいと思います。

山崎グランドロマン
  『新ベルサイユのばら


オスカル----雪ひかる (山崎邦正)
アンドレ----杜若レイ (森三中 黒沢 かずこ)
フェルゼン----鳳翼 (南海キャンディーズ しずちゃん)
マリーアントワネット--小野寺くらら (ハリセンボン 箕輪はるか)
ルイ16世----神宮寺仁 (エド・はるみ)
ブイエ将軍----暁未来 (ハリセンボン 近藤春菜)
女官長----椿もも (椿鬼奴)


小公子----早乙女瀬菜 (上床美智子)
小公子----花京院ルミ (森田まりこ)
小公子----夏木柚実 (タカダ・コーポレーション 大貫さん)
貴婦人----松真琴 (大好物 なんしぃ)


久住司 (パンプキンズ 曽我郁香)
轟康 (パンプキンズ 伊知地真理子)
星輝人 (少年少女 坂口真弓)
桜川飛鳥 (少年少女 阿部磨有香)
日景そら (柳川真菜)
天音しずく (新地梨絵)
如月茜 (角田沙耶香)


脚本:土井五郎  演出:高田幸吉

7〜9月期のドラマを振り返る

最後まで見たのは「ゴンゾウ」「ザ・クイズショウ」「33分探偵」「ヤスコとケンジ」「あんどーなつ」「学校じゃ教えられない!」、まだ終わってないけど「キャットストリート」。
継続視聴中なのは「篤姫」「ケータイ捜査官7」。
途中で観るのをやめたのは、「太陽と海の教室」「シバトラ」「正義の味方」「四つの嘘」「コード・ブルー「魔王」「Tomorrow」。
単発ドラマで見たのは「ホームレス中学生」「ヒットメーカー阿久悠」「霧の火〜樺太・真岡郵便局に散った九人の乙女たち」「歓喜の歌」「世にも奇妙な物語 秋の特別編」「ツジツマ」。


あとは、箇条書きに印象に残った点を。

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07−08の年末年始の番組を振り返る


まだまだ録画した番組がたくさん残ってるけど、今頃、この年末年始の番組を振り返ってみたいと思います。


07−08年の年越しは、お笑いファンとしては「笑ってはいけない病院24時(日テレ)」→「吉本№1・芸人は誰だ!9時間SP(テレ東)」→「爆笑ヒットパレード(フジ)」→「着信御礼!ケータイ大喜利(NHK)」と非常に美しいいい流れだったのでは。これに、昨年の元旦夜に放送されたように「お笑いウルトラクイズ」が入れば完璧だったのに。
この4番組の中で、特に印象に残ったのは、「笑ってはいけない〜」の千秋&松崎しげるサンプラザ中野の「We Are the アキタカ」熱唱、板尾創路ブラックジャック、「やりすぎ9時間」の「イス−1グランプリ」における「仕上がってる」ケンコバに対するジュニアの「Rの指定が強すぎる」。「ケータイ大喜利」の瞬時に最適なトーンでネタを読み上げる阿藤快


個人として印象的だったのは内村光良。司会者としても演者としても当たり前だけどまだまだトップクラスだというのを証明してくれた。今田耕司同様、相手の良さを引き出す優しい司会は見ていて心地いいし、「ウチムラセブン」で見せたようにコント芸人としての幅広さは流石。


あとネタ見せ側の芸人として最も印象に残ったのはエド・はるみ。昨年のこの時期のムーディー勝山のような露出ぶりだった。「恐ろしいほど基礎ができている(byバッファロー吾郎)」うえに、「イロモネア」での活躍は意外なほどネタをバリエーション豊富に持っていることが分ったし、フリートークも上手いので、今年の上半期は彼女が中心となるのでは。あと、彼女が出川のことを「出川くん」と呼ぶというエピソードは結構武器になる話だと思った。これって、「パッと出」をあまり好まないお笑いファンに対して、「なんか色々紆余曲折があったんだね」と思わせるのに象徴的な話になるから。


年末年始の個人的ベストは「東野・岡村のプライベートでごめんなさい…インドの旅」。最初はネガティブだった岡村が時間を追うごとに前向きに旅を満喫にしていっていたのに対し、最初は楽天的に楽しんでいたのに、どんどんイライラし消極的になっていく様の対比が面白かった。テイストとしては思い切り「水曜どうでしょう」の感じなんだけども。


その他では「ザ・ドリームマッチ08」。もう当初の「いきなり組んで短時間でネタを作って披露」というコンセプトは薄れてはいるけれど、逆にそれがこの番組の良さが出てきた感じ。昨年同様、組み合わせを決める時が一番面白かったけど、今年は大竹の絶好調ぶりが目立った。「責めてるように見えて優しいコント」とか「シー(の指)の位置が高い」とか名フレーズ連発。ウッチャン譲りなのか、あえて抑えた演技をさせる出川哲っちゃんの活かし方も素晴らしかった。松本人志はラジオでこの番組のことを「ツッコミの人のための祭典」と評していたけど確かにそうだなあ、と思った。そして演者の皆が「ウッチャンに出てほしい」と言っているのはホントに同感で嬉しかったし、是非とも何とかして担ぎ出してほしい。


ドラマでは年末にひっそりとNHKで放送された「夕陽ヶ丘の探偵団」は良かった。「リーダー」「サブリーダー」「デブ」「メガネ」「男勝りの女の子」といった最近見ない完璧なメンバー構成。。「秘密基地」「謎のマッドサイエンティスト」「マドンナ(清純美少女)」「OBの兄貴分」「少年少女の合唱による主題歌」といった心躍るキーワードの数々。ちゃんと真っ当に少年冒険物語の王道を作る、という意志を強く感じた。


格闘技&プロレスでは「やれんのか!」の磁場の強さは本当に凄かったが、個人的には「マッスルハウス5」が心に響いた。ライムスター宇多丸が「知的な悪意」と絶賛したメタプロレス的プロレス批評が盛り込まれた前半の出来は、正直言って過去のマッスルハウス3や4には遠く及ばなかったけど、賛否両論あるあの最後の最後には何だか涙が止まらなくなってしまった。ぼくは結婚してからというものこの手の話にはものすごく弱くなってしまったので、これを冷静に評価することが出来ない。アリかナシかで議論が分かれているようだけど、個人的にはそりゃあ、アリだと思う。マッスル坂井の、それが正しいのか迷いながらも不器用に語りかけるその切実な姿には心を打たれた。

この年末年始の笑福亭鶴瓶の活躍っぷりは異常


年始のご挨拶に変えてこの年末年始のテレビ番組を振り返ってみようと思います。
で、真っ先に感じたのは、笑福亭鶴瓶の活躍っぷりのすさまじさです。
試みにテレビ欄から鶴瓶さんの出演番組を抜き出してみましょう。見落としもあるかと思いますが。

26日 21:00〜23:54
笑っていいとも!年忘れ特大号!
 

26日 2:15〜3:15
めざまし×笑福亭鶴瓶 ハッピージャンププロジェクト完結編


27日 12:00〜13:00
笑っていいとも!(レギュラー)


30日 1:35〜4:55
朝まで生つるべ2007


31日 19:20〜23:45
第58回NHK紅白歌合戦(司会)


31日 2:30〜4:30
まだまだ日本のよふけSP(司会)


元旦 8:30〜10:30
第41回爆笑ヒットパレード・第2部(司会)


元旦 7:20〜8:33
鶴瓶の家族に乾杯 お正月スペシャ


2日 23:40〜1:05
志村&鶴瓶あぶない交遊録11


3日 1:00〜2:25
きらきらアフロ正月スペシャ


4日 0:20〜1:44
鶴瓶のメインキャスト!

これに紅白のPR番組等、番組欄に載らないようなものもあったと思います。
その出演番組の多さもさることながら、そのほとんどがメイン・司会といった重要な役どころで、しかも放送時間が長いものばかり。凄い。


ということで、今年もよろしくお願いします。