有吉弘行のブレイク論


3月5日に放送された「アメトーーク」では「今年が大事芸人」として昨年ブレイクした芸人が数多く出演し昨年を振り返りっていた。ご覧になった方も多いかと思うが、あまりにも有吉弘行が見事に自分の置かれた立場を的確に分析し、それを言葉にしていたので書き留めておきたい。


まず有吉はブレイクするまでの軌跡を以下のように名付けた。

2007年8月  「おしゃクソ事変」

  ↓  売れっ子の品川に牙を剥き浮上。
  ↓ 

2008年前半 「おしゃクソバブル」  

  ↓  「文句を言ってれば良し」という凄く楽な時期
  ↓

2008年中盤 「あだ名面倒臭い時期」


そして、有吉は「あだ名面倒臭い時期」に至った後、だんだんとやりにくくなってきている現状を具体的なエピソードを明かし訴える。

どこででもあだ名をつけてくれって言われるようになったんですよ。
ここ(「アメトーーク」)でやってるうちは良かったんですけど特徴も何もない人間につけてくれって来るんですよ。
面倒くさいから、まあ適当なの付けてますよ。
「バカ」とか「クソ」とかつけてりゃいいんでしょ、と。
あだ名をつけるのを断るわけにはいかないですよ。
大きな流れにのみこまれてしまったわけですから。
それはもう僕の責任だから。それは覚悟してつけるんですよ。
だけどそのうちにスタッフが、「ちょっと有吉さんあだ名付けてほしいんですけど事前にあだ名聞かせていただきますか?」っていうのが出てきたんですよ。
今まで、ずっと本番でその場その場でつけてきたのに。
「いやぁ、じゃあつけるとしたら『整形クソババア』ですかね」っていうと「わかりました。じゃあちょっと本人に聞いてきます」って。
それで「NOです」とか言われるんです。
そしたらただ陰口言って嫌われてるみたいじゃないですか。


あだ名が台本に書いてある場合もあるんですよ。
この人はこういうキャラなんでこれを言ってください、みたいな感じで。
「一重のバカ野郎」とか書いてあって、何にも面白くない!

こんな状況だから有吉は「深夜では頑張れるんですけど、ゴールデン(タイム)ではペッソペソ。規制が多いんです。ゴールデンはやっぱり僕、ダメだと思うんです」と言っている。

何をブレイクしてんだって。
見つかっちゃったな……っていう感じが。
ブレイクするっていうのはバカに見つかるってことなんですよ。
ブレイクしないっていうのは目利きの利くちょうどいい加減の人に面白がられている時期なんです。
アメトーーク」に出ているくらいの時が一番輝いている、ってか優秀なんですよ、芸人さんも。
ただ「アメトーーク」をきっかけに「アメトーーク」に群がる獣たちがいるでしょ。
アメトーーク」でやってたというそれだけの理由で来る(テレビ業界とかの)人たちがいるでしょ。
見つかっちゃダメなんですよ。

「ブレイクするっていうのはバカに見つかるってこと」っていうのは本当に見事に「ブレイク」という訳の分からない現象を言い当てた言葉だろう。戦慄すら覚える。
改めて言うまでもないけれど、有吉の凄さひとつは、核心を突くことを言いつつ、なおかつ笑える言葉を選んでいる、ということなんだろうと思う。そんなとてつもないことを平気な顔で継続してやってるから、また凄い。