爆笑問題・田中の好きなものはヒットする  


4月22日の「クメピポ!」にゲスト出演していた爆笑問題太田光の妻太田光代
彼女は言うまでなく爆笑問題が所属するタイタンの社長である。
最近では密着取材やトーク番組など様々な場面で見かけ、やや食傷気味*1ですらある。
が、そんな中で彼女がサラリと口にした一言がとても興味深かった。
それは、彼女が仕事終わりに放送作家とお酒を飲んでいる模様を映したVTRの中での発言だ。

田中が好きなものは、いいんですよね、当たるんですよね。

すぐに彼女が酔い潰れ話題が変わってしまったため聞き流してしまいそうになったが、個人的にはなるほどなぁ、と妙に合点がいき、印象に残った。
確かに彼が好きなもの、すなわち「スイーツ」だの「猫」だのは大衆受けがいいものばかりだし、好きなアイドルなどもいわゆる王道といえる人*2たちだ。


そんなことが頭の片隅にあってか、同じ週に放送された「検索ちゃん」でのシーンは、その秘密の一端が伺える会話なような気がした。

小池 「ウーチャカ*3、こういう恋愛の話、好きだよね」
太田 「(苦々しい表情で)ガールズトーク好きなんだよ」
友近 「女子やもん!(笑)」
太田 「田中君はね、女の子に囲まれて喋ってる時は、ホンっトに楽しそうです」
河本 「生き生きしてる」
太田 「しかもそれが、なんて言うの、女の子同士の会話を永遠にエンドレスで出来るですよね、あなた?」
田中 「だから、甘いものとか、食べ物の話とかダイエットとか、猫の話とか……」
太田 「どっっうでもいいような話! をべちゃくちゃべちゃくちゃ……」

ヒットする物の一つの条件として「若い女性に受け入れられるか」というのがよく挙げられる。
普通、芸人というのは「普通の人」という評価を受けるのを嫌う。にもかかわらず、こうした層と臆面もなくエンドレスに「どっっうでもいいような話」を交わせるというのはやはり凄い。


ところで、そんな田中の凄さを伊集院光は別の角度から以下のように表現している。

よく、爆笑問題を評する時に「天才・太田光と普通の田中さん」と思っている人がいるれど、大間違いね。天才と化け物だから(笑)そういう片鱗あるからね。太田さんがすごくエキサイトしてすごくまじめな話をするときってあるじゃん。ああいうときって、周りの人間は太田さんにコイツは何にも考えてないって思われたくないわけ。太田さんに対して、俺もいい意見をいいたいってみんながうわぁっと燃えるわけ。こっちも無い知識総動員して答えようとするんだけど、田中さんは普通に「わかんねぇ。」って言えるんだよね。あのなんかね、真剣をふりまわしているところにぼぉ〜っと歩いていける感じ。それでいて当たらない感じっていう(笑)絶対当たらないことに自信がある感じ。しかも下には血だらけのひとがいっぱいいるわけよ。うかつなこといって。田中さんだけはパン食いながらぽけぇ〜っと来れるんだよ。俺は太田光と番組をやるのに対してここまで緊張してるのに、かたやまだガラスの向こうで乗馬の後遺症で、うぇっとか気持ち悪い顔してるっていう。(「爆笑問題×伊集院光JUNK交流戦スペシャル!( 物は言いよう)」より

「真剣をふりまわしているところにぼぉ〜っと歩いていける」何も考えていない感じは確かに化け物じみている。


かつて、週刊ファイトの編集長であった故井上義啓氏はプロレスを以下のように評した。

「底が丸見えの底なし沼」

彼がどのような部分を例えてこのように表現したかは別として、僕は爆笑問題田中裕二という男を見ていると、どうしてもこの言葉を思い出してしまう。
有吉はブレイクするのを「バカに見つかること」と表現したが、太田光代が語るヒットの法則=「田中が好きなことは当たる」というのと比較すると面白い。

*1:けれど、真っ先に出版されそうな太田が「検索ちゃん」などで語る酒乱エピソードをまとめたような本が出ないのが不思議

*2:チェッカーズ小泉今日子田原俊彦近藤真彦松田聖子など

*3:田中の愛称というか蔑称