祭りの後の喪失感


製作発表時は、エルメス側が主人公、というような発表で、かなり心配されたドラマ化だったけど、まあそれは大人の事情と言うか上の人を納得させるためだけだったようで、結局は一環して、電車男こと山田と、その掲示板の住民との関係がメイン。
ここで重要なのは、山田が主人公、ではなく「山田と掲示板との関わり」、
それ自体が主人公だと言うこと。
このアプローチは「電車男」という物語を考えればごく当然の帰結ではないかと思います。


原作つきの物語を映像化する場合、何を持って成功とするかというのは
人によって捉え方様々かと思います。
例えば、「忠実にストーリーやキャラクターを再現したら成功」、とか。
あくまで「原作はモチーフでしかなく、作品として面白ければそれでOK」とか。
で、個人的に言えば、原作つきの映像化は
「その原作を読んでいた、その時の感覚*1を呼び起こしてくれる作品こそ成功」ではないか、と思います。


そういう意味においてドラマ「電車男」は成功と言えるのではないでしょうか。
他のドラマなら我慢できないような脚本や演出のチープさや荒さ、過剰さを含め、
それを見ながら「ありえねー」とつっこみを入れつつも見逃せずにはいられなかったのは原作と全く一緒。
そして掲示板の住民達の反応に笑いながらも自分も同じように心の中で
「キター」とか叫んでたり一緒に呆れていたりしてるのに気付き苦笑するのも一緒。
エルメス? こんな女いねーよ! と思いつつも彼女にどうしようもなく
惹かれていくのも一緒。
そして、なんだかんだ言いつつも、電車男そのものを応援せずにはいられない気分になってしまうのも一緒でした。
原作の場合は、そのパーソナリティに惹かれ、彼の恋が成就して欲しいと願い、
ドラマの場合は、その結末を知っていながらも思わず応援したくなるものを
電車男は持っていました。
それは間違いなく、伊藤淳史の演技と存在感がつくったもの。
キャスティング先行の昨今のドラマ業界の中で、彼を主演で行くとした英断*2
それに見事答えて見せた伊藤淳史に拍手!


で、来週の「とんねるずのみなさんのおかげでした」は「お宝映像ノンストップ特大SP」ということなので、きっとチビノリダーも出ることでしょう。見なきゃ。


追記
REIKOさんのおっしゃる「ちらっと見える意地悪さ」ってのはホントこのドラマの
重要なファクターだと思います。

*1:懐かしさとかではなく、読んでいたその瞬間に感じた感動そのもの

*2:だからこそ当初は伊東美咲主演を強調したんだろうけど