三池崇史のプロテストソング「第三惑星の奇跡」
昨日放送の「ウルトラマンマックス」は三池崇史が監督。
脚本は長年コンビを組んでいるNAKA雅MURAこと中村雅*1。
これが期待にたがわぬ傑作で、特撮ファンには、今後「常識」として語り継がれる名作に、邦画ファンには、「三池崇史の隠れた名作ドラマ」として語り草になっていくのではないか。
物語は非常にオーソドックス。
絵描きになることが夢だった少女が盲目となってしまい、絵描きの夢は諦め、その夢を音楽に託す。
そしてその最初の発表会の日、謎の物体イフが現れる。
この怪獣は自分が受けた攻撃をそのまま自分の戦闘力に変えてしまう能力を持ち、攻撃を受け成長を続け、街が破壊されていってしまう。
少女は最後の希望も奪われ、絶望しつつもイフの前に立ち、ピッコロを演奏する。
すると、完全生命体イフもまた、美しい音楽を奏で始める。
圧倒的な映像美と、巧みな演出で、ヒーロー番組を根底から否定する「暴力は、さらに新しい暴力を生むだけ」という命題を真正面から描ききった*2。
で、一見、「ウルトラマン」らしからぬこの命題は実は非常に「ウルトラマン」的でもあり、過去の「ウルトラシリーズ」に必ず登場するもの。
その意味でも近年の「ウルトラマン」を代表するエピソードになったなではないか?
次回も、監督は三池崇史。
彼の過去の作風から言っても、この記事から見ても本当にやりたかったのはこっちなのだろう。
今回「ウルトラマン」ファンに「どうだ! これで文句ないだろ?」と堂々と正攻法で突きつけたこの通行手形で「次は好きなようにやらせてもらうぞ」といっているように見える。
やりたい放題突き抜けた三池流「ウルトラマン」に期待!
ちなみに、盲目の少女を好演したのは、佐々木麻緒(→公式)。
彼女の次回(?)作は実写版「火垂るの墓」の節子役。
今回の防空頭巾を被った姿などを見るとまさにハマリ役!
兄清太役は石田法嗣。こちらもアニメのイメージ通り。
意外と期待できるのではないか?