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文字に書いて読みたい日本語①

劇団ひとり「マゾ男」(@お笑いLIVE10!)


正直者とは何なんでしょう?


ボクは都内の某旅行代理店に勤めるごく平凡なサラリーマンです。
あの日いつもどおり仕事を終え会社から駅に向かっている時でした。
人気の少ない駐車場の隅で、派手な刺繍に飾られた特攻服を着た不良少女達が一人の中年男性に殴る蹴るの暴行を繰り返していました。
男性の鼻からは真っ赤な血が流れ目元はボっこりと膨れ上がっていました。
「やめてくれ、やめてくれ」男性は泣きながら連中にしがみつきます。
それでも少女達は一向にやめようとしません。


体の震えが止りませんでした。
怖かったから……じゃありません。
あ、うぇ、ワクワクです。
あのーぅ、ボク、あのぅ、ボクあのぅ……、変態なんですよぉ。
えー、あのぉ、要はドMです!
だからもう、そのおっさんが羨ましくってぇ。
僕は少女達に向かって叫んだ!
「コラー! 何してんだ?」
少女達がいっせいにボクを睨みつけます。
挑発は大成功です。
目の前にいるのはもう少女ではありません。
立派な女王様です。
「何だテメーは? 痛ぇ目にあいてぇのか?」
あ、はい、お願いします。
そんな言葉が喉まで出掛かりましたがどうにか止めることができました。
まだ復讐するには早すぎます。大事なのは結果よりプロセス、でしょ?
そして女王様の一人が拳を握り締めたのをボクは見逃しませんでした。
奥歯を噛みしめボクは意識を集中した。
だって、殴られた衝撃で気絶するなんてもったいないもの。
最後の一発まできっちり受け止めたい。
さあ、マバタキは引っ込んでな!


しかし、次に女王様の口から発せられた言葉はボクの意に反するものでした。
「コイツ、隙が無い」
力みすぎました。その結果ボクは鉄壁なガードを作り上げてしまったのです。
どうしよう! どうすればいいんだ?
とりあえず……脱ぎました。ぁぁ。
タイミングを待ってる猶予は無い! そう判断したのです。
「どうしたぁ! 俺は丸腰だぜぇ! こらぁ、殴れよ! 蹴れよ! 縛れよぉ!
なんかこんな三角のヤツに乗っけろよぉ……」
最後の賭けでした。
MはマゾのMじゃない。きっとミラクルのMだから。
しかしそんな願いも虚しく数分後警察が到着しました。
真っ先に逮捕されたのは全裸のボクです。
ボクは手首にかけられた手錠を見て思ったんです!
あぁ、手錠も悪くない。