今田耕司、いつかの催眠術番組の裏側を暴露し、東野幸治がその時の心境を告白する。

「認めたくないものだな。自分自身の、若さ故の過ちというものを」
                     シャア・アズナブル


某日某所。

アメリカから凄い催眠術師がやってきた。
何でも言うことを聞かせられるという。

今田 東京へ来たばかりで、二人とも周り全員敵やと思うくらいトンガってた時
2丁目軍団の意地みせたろやないか!
外国人の催眠術師かなんか知らんけどやれるもんならやってみい、と。

全員並べられ、予備睡眠も何も無しでいきなり本番。
全員目をつぶらせて「手が勝手に上がる」

今田 嘘付けえと思いながら、で、まあ挙がらへん
で、東野をパッとみたら、挙がってる!
え?待てよ。このおっさん、本物ちゃうか俺も思いだしたわけよ。
なんか手が軽い感じは確かにしてきた。
身を任せたほうがいいのかな、と思った。
 
東野 あれ、ずるい。プロレスやもん!
手が挙がるゆうてるときに「はい、手が挙がります」と言って手を強引に持ち上げ顔を睨みつけるんやもん。

今田 確かに一人一人の前に立ち「挙がれ挙がれ」と鬼の形相だった。

「彼はなかなか睡眠にかかるね、じゃあ前に出てください」
と東野が選ばれ前に出される

今田 正直その時僕は(東野の性格を知ってるから)「チョイス失敗しよった、赤っ恥やぞ、これカットやな」と。
東野はきょとんとして「何?」みたいな感じ。トンガッてるわけですよ。

催眠術師「テレビカメラに触れたくて我慢できなくなる

今田 「これ、失敗しよったな、次誰や?どうすんねん」
そしたら東野の手がゆっくりテレビカメラに伸びて行ってるんですよ!

東野 一人で前に行かされて、お客さん100人くらいいます。カメラがあります。全国ネットです。
急に「触りたくなる」言うわけ。
俺そんなん全然触りたくないわけよ。
でも横の催眠術師は平然としてる。
なんちゅうアホや、俺がさわらなっかったらどうする気や!
で、俺の背中ポーンって押すわけよ。
俺も一歩二歩近づいたら振り返ったら、むこうが「GO!」っていうわけよ。
ええ〜!
ものすごい葛藤があったけど、もうええわと、俺さえ我慢すれば、と。
心のレイプやん!
触りました、これでもう帰らせてくれ。

催眠術師「次は離れなくなります

東野 えええーー
お前そんな無いで! 虫良すぎるやん!
俺一回乗ってあげたやん、もうやめてえや。

今田 「東野、離せ!」本番やけど思わず言うてしまうんですよ。
「東野、離せ、離せ」

催眠術師「3、2、1、で離してください。離れませんよ

東野 「……離れません」


本番収録後、あの付き合いの長い(この種のものにかかるはずのないと思っていた)東野がかかるのなら、あのオッサンは本物だ、と驚いていた今田。楽屋で二人になって「あれ、ホンマなん?」とたずねると、東野はメイク落としながら、心底哀しい顔で首を横に振った。(「やりすぎコージー」より)