いよいよ「すいか」再放送間近! 


遂に、テレビドラマ史に残る傑作「すいか」が再放送されます。
録画していなかったため、非常に悔しい思いをしていましたが、今度こそしっかり保存しなければ。
そして、一人でも多くの人に見ていただきたい作品なので、見ることの出来る環境にある方は是非ご覧ください。(以下、ほんの少しネタバレ含みます)


脚本を担当した木皿泉は、「すいか シナリオBOOK」のあとがきで、この作品を書くにあたって「私たち*1だけの密かな決め事があった」と明かしています。それは「毎回、誰かに食べ物を恵んでもら」うシーンを描くというもの。

 「すいか」はハピネス三茶という下宿の中だけで繰り広げられる、それこそ閉じられた世界のドラマだが、だからこそ、どこかで世間とつながっている事を描いておきたかった。(略)世間とちゃんとつながっている人たちを描こう。これが二人で決めた約束事だった。
 その昔、公園で一枚の煎餅を折って、半分をくれた裸足の女の子に、私はちゃんと、ありがとうを言っただろうか。新幹線で私の差し出したシュウマイを食べてくれた、両隣のサラリーマンにも、本当は、ありがとうを言いたかった。

「すいか」はそういうふうにつながりあうことで魅力を増していく人びとを描いた物語。どこかで煮詰まっている、すべての人のためのドラマです。


劇中、就職浪人生だった響一(金子貴俊)は、ハピネス三茶で出会った、エロ漫画家・亀山絆(ともさかりえ)に、ファンレターを送ります。

ボクは、コンビニで働いています。だから、先生の描いている漫画雑誌は、どこの棚にあって、定価はいくらか、月に何冊出るのか、そんなことは、とても良く知っています。でも、内容は正直、読んだことはありませんでした。読まなくても判ると思っていたのです。まあ、大体、表紙を見れば、内容なんて、似たり寄ったりだと思っていたのです。そんなふうに、ボクは世の中の事を、すべてわかってるつもりでいたのです。


でも、先生の漫画は、そんなボクを、根底から打ち砕くものでした。ボクは、実は何もわかっていなかったのです。今、ボクのやりたい事は、世の中の事を、ちゃんと知るということです。名前だけじゃなくて、値段だけじゃなくて、その中身をちゃんと知るという事。
ひょっとしたら、そこには、思いもしない喜びがあるかもしれないという事。先生の漫画を読んで、その事を知りました。
先生の次の仕事、楽しみにしています。

ボクらはきっと、「すいか」を観れば、そういうふうに感じることが出来るはず。

*1:木皿泉は男女2人組の脚本家