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ジミー大西が子どもだったころ

ひと ブログ

8月24日深夜に放送された「わたしが子どもだったころ*1で、ジミー大西が子どもだったころの印象的な初恋のエピソードが紹介されている。


「言葉の記憶っていうのがホントに僕の中ではないんですよ」と述懐するジミー大西
人とも話さず、空想の世界に浸りきっていた少年時代。
他人と話さなかったからもちろん友達もいなかった。
頭にカナブンを乗せれば空も飛べるはずと思い屋根から飛び降りて足を怪我したり、イスを神輿に見立て担いで遊ぶ「一人神輿」など一人遊びに興じる家族から見ても変わった子どもだった。


そんな少年をあたたかく見守る二人の人物が、その後のジミー大西の世界を大きく変えていくことになる。
一人は、彼の担任の先生だった。
不正解ばかりのテストの答案用紙の裏に彼が描いた落書きに五重丸を与えるような先生だった。
写生の授業中、明らかに周りの児童とは違う画を描く少年を、他の子どもたちは一斉に囃したてた。
「大西くんにはこう見えるんやからこれでいいの」
先生はそう言って彼の画を認めた。


もう一人も、そういう少年の画を興味深く覗きこむような少女だった。
彼女はいつも彼を気にかけてくれた。
いつしか少年は、常にその少女のそばにいるようになった。


夢中になると周りが見えなくなる彼は、彼女への想いを抑えきれなくなった。
突然授業中、みんなの前で
「マキさん、好き」
と叫んだ。
小学校3年の時だった。


マキさんと出会って、告白したことで、他の同級生とも少しずつ心を開けるようになった。
自分の閉ざされた世界を開かせるために、マキさんはこの世界に生まれてきてくれたのかな、とジミー大西は思っている。


そして夏休み。
それは、少年にとって長い間マキさんに逢えないことを意味した。
我慢が出来なくなってマキさんの家を訪ねても、その家には誰もいなかった。
それから、夏休みの間中、マキさんの家の前で待ち続けていた。
ある日のこと、いつものように呼び鈴を鳴らすと母親が出た。
「ごめんね、マキは今、田舎に帰ってるの」と言った。


待ちに待った新学期が訪れる。
しかしいつまでたってもマキさんが来ない。
朝礼の時間になり、空席のままのマキさんの机を見つめていると先生が口を開いた。
「実は悲しいお知らせがあります。昨日マキさんは病気のためお亡くなりになりました」


ジミー大西はその時の感情を振り返る。
「あまりにも衝撃的過ぎましたね。
亡くなったっていうのは、ホントに逢えないっていうのは、これほどないくらい衝撃でした。
僕にとっては人が死ぬとか、生きる死ぬっていう意味がわからないんですよね。
(最初は)あぁ、転校するのかぁ、とかそういう感覚でしたね。
死ぬという実感が全く無くて」


ふと教室の扉の外に気配を感じて振り向くと、彼女が廊下に立っているのが見えたりもした。
だから、もう逢えないなんて信じられなかった。


しかし、その後、少女の机の上に花が置いてあるのを見てようやく彼女の死を実感する。
少年の世界ははじまったばかりなのに、もう少女の世界は終わってしまった。


彼は、公園などで、きれいな花を見つけては、机の上のその花瓶にいけていた。
もしかしたら、マキさんに喜んでもらえるかもしれない。
もう逢えないことは解っていても、それだけが心の支えだった。


それから、30年余りの年月が過ぎた。
ジミー大西は彼女への想いを綴り、それをマルタ*2の美しい海に流した。

Dear マキ
僕はマルタで楽しい日々をすごしています。長い夏休みです。
マルタの空はブルーに少し黒を混ぜた色です。まるで、先生に怒られてビンタを喰らわれた後のブルーです。
夜の飾らない星が大好きです。その星の中でもひとつキラッと光っている星があります。
それがマキ星です。
マキ星は笑っています? それとも怒っています?
満月の時は怒っているんだろうなぁ。なぜなら星はくすんでいるから銀色にグレーを混ぜた星です。
星をずっと見ていたら寝不足になります。
マキ星は罪な星です。
あなたは僕のために生まれたみたいですね。
ありがとう。 from ヒデアキ

*1:BShiでの初回放送は2008年4月16日

*2:この取材当時ジミーが住んでいた国