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伊集院光の番組の作り方

めったにインタビューなどで誌面に出ることのない伊集院光が、今回のDVD「伊集院光のばんぐみのでぃーぶいでぃー」発売を機にいくつかの雑誌でロングインタビューを受けている。
それらの記事を読むとこの作品に対し、いかに自信と愛情が詰まっていているかがよく分かる。
例えば、今週発売の「TV Bros.」では、今のテレビ、特にゴールデンタイムの番組に対し、素直に自分の特性がズレていることを認め、それならばどうする、と考え、作り上げたのが『伊集院光のばんぐみ』だったと語っている。
この考えに至った伊集院のテレビの見方やその分析もたっぷり語っており読み応えたっぷりだが、個人的に一番印象に残ったのは、伊集院の番組の企画の立て方を語っている部分だ。

番組の企画を考える時、自分の中で重要なのは「ルール作り」そして「どういう顔を撮りたいか」。だからそれに向けて「どういうルールがあるとその顔が出やすいか」みたいなことを考えましたね。一番シンプルなのは、「日頃当たり前に出来ることが出来ない」っていうこととか、普通のプレッシャーじゃない真逆のプレッシャーみたいなものが少し出てる顔。その時の追い詰められた感じを撮りたくて、そのために何分くらい枷を持っとけばいいんだろうとかそういうのを考えるのは楽しい。でもその時にコントや短編のストーリーとしても成立してて欲しいからそれをどうしようとか。で、意図は後からどんどん入れていく感じ。
ただ、本当にバランスがいいことってそうそう見つかんない。逆に思いもよらない事が面白くなったりもします。

しかし今のテレビは良い悪いは別にして毎分視聴率に支配されている。
そのため、もし彼が撮りたい「顔」が撮れたとしても、そこに至る過程を放送できない。
クイック・ジャパン80」では、こう語っている。

自分がやりたがっている企画は地上波では難しいですよ。笑えない時間が長いからザッピングされてしまう。本当は笑えない時間が長いほど、笑いの“深さ”が出るんですよ。


これを具現化した企画が「伊集院光のばんぐみのでぃーぶいでぃー vol.1」に収録されている「真剣じゃんけん」*1だ。
これは無名の7人の若手芸人が、負けたら1ヶ月間番組に出られないというペナルティを科せられるというルールで、3時間後に一発勝負のじゃんけんを行うというもの。
じゃんけんが始まるまでの間のドロドロとした心理戦、駆け引きを描いている。
表向き、全員あいこという話でまとまっているものの裏切りへの疑心暗鬼や駆け引き、そして伊集院の意地悪な口出しが複雑に絡み合っていく。

40歳にもなると将来の夢とか言わなくなりますけど、自分が出て、企画を立てて、編集して、こういうチームと作っていく『伊集院テレビ』的なものを続けていきたいなぁ、と思いますね。DVDでも配信でもいいし、ペースもゆっくりで構わない。はじめて自分にとっての『本業』ができるかなって。(「QJ」より)

伊集院光のばんぐみのでぃーぶいでぃー vol.1
ポニーキャニオン (2008-10-15)
売り上げランキング: 88
おすすめ度の平均: 5.0
5 今世紀最高のリアル心理戦
5 真剣ジャンケンがすばらしいの一言
5 深夜AMラジオ好きなら是非
4 見かけない企画
5 凄まじい「黒伊集院」っぷり

*1:BS11放送時とは異なる90分に及ぶ特別編集。編集には伊集院光自らが加わった。