タモリの「生」論

SWITCH(009年7月号)』では「鶴瓶になった男の物語」と題して、笑福亭鶴瓶を特集している。
この特集は本当に充実していて、非常に読み応えがあるもので、お勧め。
特に、そこに語られる鶴瓶の逸話の数々は、その人格をありありと浮かびあがらせ、鶴瓶の一言一言はどれも名言ばかり。
これらについては「てれびのスキマ」でもいずれ記事にしたいと思っているが、まずはその特集の中で、鶴瓶に対してタモリが語ったインタビューのうち、鶴瓶とは直接関係ないものの、「いいとも!」、あるいは生放送の魅力について語った一文を紹介したい。

「いいとも!」は僕と鶴瓶を含めた出演者全員が、生放送の新鮮さを本能的に意識していると思います。予定調和だけだったら、生でやってる意味はない。テレビというのはいろんな考え方が成立する奥深さがあるので、これもあくまで僕の考え方ですけど、たとえば僕は裏側とかスタッフを見せたりする笑いには興味がない。それは生というか、テレビではない気がしてしまうんです。
          (略)
僕は予定調和が崩れて残骸が散らばった時に、また違うものになるのかどうかを目撃したいし、それが面白いんです。怖さ半分興味半分ですけど、結局は今そこで起こることが一番面白いわけですから。だから人が遅刻したりすると本当にワクワクする(笑)。

これは、断片的に、言葉を変えタモリがよく語ることである。
だからこそタモリは数々のハプニングがあっても全然動じることなく、逆に生き生きとして面白さが倍増するのだろう。

SWITCH vol.27 No.7(スイッチ2009年7月号)特集:笑福亭鶴瓶[鶴瓶になった男の物語]
新井敏記
スイッチパブリッシング
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