さまぁ〜ずのフリートークが心地良い理由

さまぁ〜ずのトークは面白い。
いや、面白いというより心地良い。
彼らのトークを聞いていると幸せな気分になるのは、僕だけだろうか。


では、なぜ二人の話は僕らを気持ちよくさせてくれるのだろうか。
大きな理由の一つに、二人の仲の良さがあるのは言うまでもないと思う。
クイック・ジャパン85」でのインタビューに二人は以下のように語っている。

大竹 「まあ、本当に仲は良いんですよ。ていうか、悪かったらコンビなんかやってない。我慢してまで組む必要はないし」
三村 「むしろ俺からすれば仲が悪いコンビって何なの? と思っちゃいますけどね。なんで嫌なヤツと組んでるんだろうって」
大竹 「一時期、コンビは喧嘩するほうがカッコイイみたいな風潮がありましたよね。プライベートで喋らないようにして、本番まで溜め込まないと爆発しないとか。でもそれって俺には考えられない。大げさな話かもしれないけど、若いときなんて自分たちの共通のライバルが外にいるのに、コンビが力合わせないでどうするんだ? って思いますね」


誤解を恐れずに言えば、さまぁ〜ずのトークの魅力は、その話の内容や話芸そのものではない。
さまぁ〜ずのトークは今主流のネタ・トークとは違う」との問いに二人は答える。

大竹 「それは技術的な問題が大きいと思います。俺らって基本的に忘れっぽいんですよ。以前にウケた面白い話を別の場所でもやればって言われるんだけど、何を話したか覚えてないんです。喋ったらそこで終わり」
三村 「だから、面白さで言えば上から20位ぐらいの話を平気で出しちゃう」
大竹 「たまたま引いたくじがコレだったみたいな」
三村 「開けた引き出しがなぜか20位っていう(笑)」
          (略)
三村 「トークの面白い芸人さんは、あれがどうしてこうなったみたいなディティールを、ちゃんと細かく喋るじゃないですか。でも俺らは『喋るの二度目がからめんどくせえな』とか思って、やんなきゃいけない説明を端折っちゃうんですよ。だから聞いてる人はよくわかんなくて、その反応を見ると『あ、もう止めよう』って」
大竹 「引っ込み思案ですから、長いかな? と思って終わらせたくなる(笑)」

だから、二人のトークは自然体のように見える。
しかし、フリートークと言えども、そこには一定のルールがある。
それは例えばボケとツッコミという役割である。
さまぁ〜ず同様、学生時代からの同級生というコンビは数多く存在するが、彼らの多くもまたそのルールを完全に破ることはできない。なぜなら、そのルールに従っていた方が視聴者に伝わりやすいからだ。
けれど、大竹は「東京にボケとかツッコミの文化もなかった」と言う。
だからフリートークにおいて、さまぁ〜ずは「ツッコミはしっかり者で、ボケは自由に振る舞う」というルールに従わない。
それを象徴するエピソードがあるという。
かつてトークにおいて三村がツッコミ役を求められていたことだ。

三村 『なんで俺だけしっかりしなきゃいけないんだよ!』って泣きながら怒ったことあるもんな、お前に」
大竹 「あったあった(笑)」
三村 「『お笑いなのにどうしてマジメにやらなきゃいけないんだよ!』って」

さまぁ〜ずのフリートークの魅力はその話のオチにあるわけではない。
二人がただ話す、その姿そのものが魅力的なのだ。
だから、心地が良い。

ところで今回の「QJ」のさまぁ〜ず特集、上に引用した部分以外にも見どころ満載です。
特に内村光良からのさまぁ〜ずへの手紙などは感涙もの!
是非、手にとって読んでみてください。