鳥居みゆきが真剣に語る戸川純のこと

鳥居みゆきの芸風、佇まいを見ているとどうしても戸川純のことを想起してしまいます。
クイック・ジャパン85号」では、鳥居みゆき戸川純についてのCDレビューが掲載されています。
そのレビューの冒頭でも畏れ多いとしながらも「お前は戸川純ぽいな」とよく言われると書いています。
これは400字程度の短い文章ですが、これまでの「全部ウソですけどね、フフー」的な本質をわざとはぐらかすようなものでも、「夜にはずっと深い夜を」のような独特な幻想小説的な文体でもなく、非常に正統派な文章を寄せています。


そこで、彼女は戸川純の存在を初めて知ったのが、中学3年生当時の教師の言葉からだと明かしています。
「これ雰囲気が鳥居っぽいから聴いてみろ」とCDを貸してもらったそうです。
中学の教師が、生徒のことを戸川純と雰囲気が似てる、と本人に言うのもどうかと思わないこともないけど、彼女はそのCDを聴いて衝撃を受けたようです。

当時私は何をやっても人並みにできず、まわりとのズレを感じ、生きるということを非常に辛く感じていました。聴いているうちに戸川さんの声に引き込まれ涙がとまらなくなりました。

その後、23歳になった鳥居みゆき
同じ23歳の頃に戸川純が書いた杉浦茂*1へのレビューを読んで、再び衝撃を受けたそうです。

同い年のその文章力に愕然としました。そして私も認められたいと思うようになりました。

戸川純の歌声によって救われた鳥居みゆきは、戸川純の文章によって表現者としての自我が目覚めていったようです。

(よく言われる)「戸川純ぽいね」は嬉しくもあり、寂しくもあります。

*1:鳥居みゆきが敬愛する漫画家