鶴瓶が語る松本人志の売れなかったころ

松本人志の新作映画プロモーション行脚の中で最も楽しみだった「A−Studio」。
この番組は、笑福亭鶴瓶がゲストゆかりの人たちに徹底的に取材をし、そこで得た、鶴瓶の琴線に触れた話を鶴瓶の言葉でゲストに伝える*1トーク番組です。
今回も鶴瓶は松本の小学校からの同級生や母親から、その相手の話を引き出すテクニックを駆使し、数々のエピソードを聞き出し、番組はまさに鶴瓶が語る「松本人志が子どもだったころ」の様相を呈していました。


ところで、この番組には鶴瓶の一人語りによるEDトークが用意されています*2
この一人語りは、鶴瓶独特の「鶴瓶噺」としか言いようのない、見事な間と言い廻しで、元のエピソードを最大限輝かせ、グイグイと引き込まれてしまいます。


そこで、松本人志のデビュー当時のエピソードを語りかけるように丁寧に明かした鶴瓶のEDトークを書き起こしておきたいと思います。

でもね、(ダウンタウンが)売れてない頃っていうのを知らないでしょ?
82年から87年まで全然売れてないんですよ。「売れてない」っていう言い方は、僕あんまり好きやないねんけど、これは世間が分からなかったっていう時代があるんですね。その時に、ま、18歳で家出て、で、時々帰っては来んねんけど、お母ちゃんが言ってたんやけど、絶対に(家へは)上がらないんやて。
玄関、絶対上がらへんねんやて。
「上がりいや」言うてもあがらへんやて。普通にずーっと喋ってて。
それで、ポッと見たら、ものすごい痩せてんねんやて。
「アンタ、ごはん食べてんの?」言うたら「まあな……」って言うてんねんやて。
なんかものスゴい淋しいような顔したから、ね? 松本が。
で、5000円、ポケットにクッと入れたんやて。
そしたら、(それを)ホッて(捨てて)、ジャーっと出ていったんやて。
そっから(ずっと)玄関上がってないんやて。
もうええやんか(笑)。
でも、「もうええ」っていうのは多分彼には無いねんやと思うよ。

*1:取材している模様の映像は流さず写真だけにとどめ、あくまで取材した鶴瓶のフィルターを通して語られるというのがこの番組の大きなポイントだと思います。

*2:常々僕は、各回のこの部分だけ集めても相当いい番組になるんじゃないかと思ってるんですが。