2010年テレビお笑い界を振り返る(番組編)
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!
まずは、昨年のお笑いテレビ界を振り返ってみたいと思います。
すでにこちらに書かれたものとちょっと被りますが、まずは2010年のお笑いテレビ界を番組単位で振り返ってみたいと思います。
お笑いテレビ番組大賞
・『ゴッドタン』(テレビ東京)
これはもう間違いなく『ゴッドタン』です。何度賞賛しても賞賛しきれない抜群の安定感と驚異的な爆発力を併せ持つという奇跡のようなことを1年間やってのけました。
「キス我慢ファイナル」から始まり、「マジ歌」「大声クイズ」「ストイック暗記王」などの看板企画はもちろん「芸人ラジオサミット」「ゲーセワニュース」「勝手に新曲発表会」など完全な趣味企画もハズレなし。ヒム子を筆頭に名キャラも次々生まれ神回連発。圧倒的でした。
佐久間プロデューサーは「(この番組が終わるとき)テレビマンにおける青春時代の終わりだ」と言ってます。それは僕ら視聴者も同じ感覚でしょう。僕らが多感な思春期に愛した「テレビ」がここにある。青春時代が短く儚いものであるように、どこか生き急いでフルスイングし続けている感じもしてしまいますが、願わくは少しでも長くこの番組が続いて欲しい、そう思わせるような宝物のような番組です。
2010年始まった新番組は後述しますが、それ以外のレギュラー番組で印象的だった番組を列挙していきます。
・『雑学王』(テレビ朝日)
ゴールデンから11時台に枠移動。その後、徐々に回答者から芸人以外のタレントが消えていき、最終的には全員芸人に。果ては「伸び悩み芸人枠」まで設置され、完全にかつての芸人愛番組『検索ちゃん』化し、それを越えていく勢いの『雑学王』。いまやこの番組のエースとなったフットボールアワー後藤の活躍も光ります。
・『ガキの使い』(日本テレビ)
「TJK杯」「章造遠藤のクイズまあまあまあ」「山崎邦正による再現で山口百恵ヒストリー」「クリスとイっちゃった王」などなど2010年の『ガキの使い』の挑戦的企画の多さはちょっと驚きます。もっとも松本色の強い番組なのに、松本人志休養というピンチの時も、他のレギュラー番組と比較しても影響をほとんど感じさせなかったのが『ガキの使い』でした。
・『アメトーーク!』(テレビ朝日)
「嫁を大事にしてる芸人」「RG同好会」「人見知り芸人」「相方どうかしてるぜ芸人」「運動神経悪い芸人」など、やはり2010年も相変わらずお笑い番組の代表格に相応しい充実ぶりでした。
・『マルさまぁ〜ず』(TBS)
なんで終わってしまったのか……。どうしてもそう思ってしまう毎回の面白さ、くだらなさ。「新体操1点取れたら帰れるワン」「吉田とばっちりパーティー」「話モリモリ!後藤ハイ&ロウ」などタイトルを聞いただけでバカバカしさが滲み出る極上の悪ふざけっぷり。祈・復活!
新番組オブ・ザ・イヤー2010
・『クイズ☆タレント名鑑』(TBS)
3回のパイロット版を経て、激戦区日曜8時でレギュラー化した『クイズ☆タレント名鑑』。「テレビ」をテーマにした(一応)クイズ番組で、テレビっ子へのプレゼントのような番組です。特に有吉が回答席に座ったときのこの番組の爆発力は凄まじく、下世話・悪ふざけ・くだらなさ、どれをとっても最高級。見逃せないのはその企画力。特番時代からの「検索ワード連想クイズ」「タレント出演番組数 ジャスト21」だけでも充分だと思ったら、毎回のように企画を変え「スター☆今の限界名鑑」「モノマネ芸人いる?いない?クイズ」「芸能人!このオファー引き受けた?引き受けなかった?クイズ」「クイズ!サビしか知らないCM曲」などなど、手に変え品を変えテレビへの愛と悪意を無差別にまき散らしています。
2010年は多くの良質な新番組が生まれ、それが終わっていったというイメージがあります。(もともと期間限定で始まったものも多いですが。)そんな終わってしまった番組を含め、『クイズ☆タレント名鑑』以外の印象的な新番組を以下に列挙します。
・『お笑いさぁ〜ん』(日本テレビ)
さまぁ〜ずとゲストの芸人がネタを披露しつつ、お笑いについてのトークを繰り広げるこの番組。普段テレビではなかなか見せないさまぁ〜ずの熱いお笑い芸人魂とプライドが垣間見れる貴重な番組でした。
・『アルクメデス』(NHK総合)
「NHK番組たまご」からレギュラー番組に昇格した『サラリーマンNEO』のスタッフが手がける「問題だらけの世の中に、問題だらけのクイズバラエティ」。
各コーナーが、テレビ番組などのパロディになっている、これまたテレビっ子へのプレゼントのような番組で、NHKならではの作り込みで濃密なコーナーが次々と展開されていました。
・その他
『(株)世界衝撃映像社』(フジ)『G★ウォーズ』(フジ)『潜在異色』(日テレ)『ショーバト!』(日テレ)『東野・岡村の旅猿』(日テレ)『佐野元春のザ・ソングライターズ』(NHK教育)などが印象的でした。
特番オブ・ザ・イヤー2010
・『オモバカ』(フジテレビ)
2010年は『キング・オブ・コント』(TBS)『M-1グランプリ』(テレ朝系)といった賞レースはもちろん、『IPPONグランプリ』(フジ)そして『オモバカ』といった本格グランプリ系番組がいずれもハズレなしでした。
特に完璧な格闘技イベント的ギミックでギャガー対決を盛り上げた『オモバカ』が印象的でした。出場するギャガーたちの絶妙な人選とマッチメイク、そして今田が的確に振るセコンド芸、「佐野アシスト」と呼ばれるほど見事な佐野アナの実況……。さらにマッチメイクを発表する事前番組ですら抜群に面白いフジテレビのお笑い番組の歴史の深さと意地を感じさせてくれる特番でした。
他、『バリバラ笑っていいかも!?』(教育)『テレ東ラジー賞』(テレ東)『爆さまクレイジートーク』(TBS)『笑世記×芸人激突』(NHK)『ガッテンお盆臨時営業中』(NHK)などが印象的でした。
最優秀作品
これももう『ゴッドタン』の「テレビで一番面白いヤツ」こと「キス我慢選手権ファイナル」が圧倒的すぎるので、その他の個人的に印象深い企画を挙げていきたいと思います。
企画名 | 番組 |
全落オープン | おかげでした |
モノマネ芸人いる?いない?クイズ | クイズ☆タレント名鑑 |
このオファー引き受けた?引き受けなかった?クイズ | クイズ☆タレント名鑑 |
東京ギャグコレクション | めちゃイケ |
岡村隆史奇跡の生還 | めちゃイケ |
お笑いG6 | リンカーン |
芸人ルーツの旅(ダウンタウン) | リンカーン |
嫌いな罰ゲーム第1位を当てるまで「帰れま1」 | リンカーン |
芸人大運動会 | リンカーン |
吉田とばっちりパーティー | マルさまぁ〜ず |
新体操1点取れたら帰れるワン | マルさまぁ〜ず |
大声クイズ6 | ゴッドタン |
ストイック暗記王10 | ゴッドタン |
しゃべくり009(タカアンドトシ) | しゃべくり007 |
狩野英孝とマニラ警察24時 | 世界衝撃映像社 |
幻のハガキ絵師・三峯徹の伝説 | タモリ倶楽部 |
RG同好会 | アメトーーク |
嫁を大事にしてる芸人 | アメトーーク |
実家に泊まろう | やりすぎコージー |
ブラマヨとゆかいな仲間たち(×オリラジ) | お願い!ランキング |
2010年ベストシーン
もっとも印象的だったワンシーンは『リンカーン』「芸人ルーツの旅(ダウンタウン編)」で吉本新喜劇にダウンタウンが出演する直前、その舞台袖で松本が一言浜田に囁き、それに浜田が小さく肯くシーンです。芸人のかっこ良さがにじみ出たシーンでした。
他には『めちゃイケ』での岡村隆史復帰回で矢部に抱きつく岡村、それにはにかんだ笑顔で「大丈夫、大丈夫」と返す矢部。
『オモバカ』第2回で春日がカスカスダンスを始めると、セコンドの若林がそれに呼応して後ろで一緒にカスカスダンスをするシーン。
『おかげでした。』にゲスト出演したビートたけしが自ら熱湯に飛び込み「これが芸だろ!」と叫んだシーンなどが思い出深いです。
『旅猿』で下痢で腹痛を抱えながら「帰ってこいよぉー、岡村隆史、またケンカしようぜ!」とガンジス川で沐浴した出川哲郎。