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山里亮太の先輩

TBSで4月からスタートした『ホンネ日和』は、“あるタレントが「もっと相手を知りたい」と思う人物を招き、二人きりで「小旅行」をする。旅の目的は「相手を知ること」。招く側が自ら、自然にコミュニケーションが深まる、とっておきの目的地とプランを計画する”*1という番組。
中村獅童×八嶋智人だとかナイツ×内海桂子師匠といった印象深い回が多く地味ながら良質な番組だ。
5月29日の放送では若手俳優の瀬戸康史南海キャンディーズ山里亮太を招き埼玉の森林公園へ旅をしていた。
ちなみにスタジオMCとしてYOUとARATAという不思議な組み合わせで進行しており、これもこの番組の独特の緩やかな雰囲気を形作っている。*2

タモリ「人見知りは才能」

旅の途中、瀬戸が「誰とでも仲良くなれる」山ちゃんが羨ましい、凄いというと山里は「それは違う」と否定する。自分はそういうタイプとは正反対の人間なのだと。「瀬戸くん、超人見知りでしょ。俺もそうだからわかる」と続けると、さらに山里は核心をついていく。

瀬戸くんってさ、凄いいろんなコト考えすぎるでしょ? 今俺がこうしたらこういうふうに言われるだろうなぁとか、今俺こうやったら、こういうふうに思われてるなぁとか。
でもね、人見知りってすごい才能だっていうのを教えてもらったの。神様から与えられた素晴らしい才能だっていうのを、タモリさんが言ってた。今俺がこう言ったら、相手がこう思うだろうな、とか、こんなに人のことを考えてあげれて、それを第一位にして動ける人間っていうのは、人見知りしかいない
だから、この世界(芸能界)で戦っていく人は人見知りしか成功しないってタモリさんが言ってた。
それで、もう一個足すと、人見知りのいい状態になれるのよ。
これ言ったら嫌がられるだろうな、の時に、もう一個努力で、これ言ったら良くなるんじゃないかなって考える努力をするんだよ。これはね、人見知りを弱点じゃなく、武器に変える技なのよ。

千鳥「こんなおもろいヤツが辞めてエエわけないやろ」

旅の終盤、この世界を辞めるかどうか迷っているという悩みを打ち明けた瀬戸の言葉を受け、「正直俺もでっかいのがあってさ……」と真摯に語りかける山里。

『Mー1グランプリ』っていうのがあってさ、もともと俺ら2004年に出てきて、世の中に。で、2005年優勝候補だ、なんて言われて出てきて、圧倒的なビリだったのよ。ビリになってなんか恥ずかしくなっちゃって、面白くない人なんだって自分でまず思っちゃったのよ。
劇場なんかの出番もよ、俺、舞台直前まで誰かに会ったら面白くないって言われると思って、怖くてさ、非常階段でずーっと座ってて時間見て、で、そろそろだと思ったら、下向いたままバーって劇場走っていって袖まで行って、そのまま出て漫才やって、そのまま衣装着たまま帰る、とか。もう本当にヤバくなっちゃってて、もうダメだと思って、実はもう辞めようと思ったの、2005年に、この世界。


ダメだなぁって思って辞めるって話を先輩にして。大阪の時から世話になってる先輩で、千鳥さんっていう人がいて、「じゃあ、最後にお前ちゃんと、オールナイトでトークライブやるんだから、それお前ゲストで入ってるんだからちゃんと来い」って言って。
そしたら千鳥さんっていう先輩と同期の芸人が何組もいてさ、エピソードトークをその人らがしゃべるの。それが全部、俺のことなの。で、俺が「はい」とか「そうだったんです」って言うだけで爆笑が来るのよ。エピソードの運びで。それを自分たちのメインのイベントなのに結局朝までずっと続けてくれたの。俺でずっとウケ続けるっていうのをやってくれたの。
「お前、こんなおもろいヤツが辞めてエエわけないやろ」って「どうすんだ、辞めるんか?」って言って「続けます」って。それで、今がある。
だから人にちゃんと言うのも必要なのかも知れない。本当に考えてくれる人って絶対周りにいるからね。あの時がなかったら辞めてたから、本当に普通に。

この話は、山里亮太による名著『天才になりたい』にも書かれている。

(別の仕事でイベントに遅れて)着くと、大悟さんが「まっとったぞ、はよ、いつもみたいにおもしろいことばっか言え」と僕の肩を押してくれた。そこから、皆が僕を押してくれた。ネゴシックスとろサーモン久保田は、僕についてのエピソードを本気で喋って会場の笑いをよび、大悟さんがそれに乗りやすいように話を僕に振ってくれた。
気がついたら僕は一心不乱に喋っていた、楽しくて楽しくて仕方がなかった。お客さんが僕の話で笑ってくれる、僕の突っ込みで笑ってくれる。それを一個一個実感させてくれる。それまでこびりついていたネガティブという錆が、喋れば喋るほど落とされていく感じ、くさい言葉で言うと仲間というものを心底感じた
久保田が「やっぱおもしろいな」と言ってくれた。ネゴが「おもしろいから早く死ね」と笑いながら言ってきた、大悟さんが「やっと帰ってきたな」と笑いながら言ってきた。
リバウンドだろうが、お笑いが好きになった。なくしていた自信たちが一気に戻ってきた。仲間の温かい声とお客さんの笑い声が引きずり戻してくれた


<関連>
山里亮太・天才の公式(前編) 
山里亮太・天才の公式(後編)

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山里 亮太
朝日新聞社
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*1:番組公式HPより

*2:ちなみに、ちなみに、この回のオープニングでは「最近は若手俳優がいっぱいいるね」という話題からYOUが「浅野(忠信)くんとARATAくんしかいなかった時期あったよねぇ」と言っていて大きく頷いてしまった。