テレビ名シーン採録:タモリの幸福論

口火を切ったのは菅野美穂だった。
月9ドラマ『私が恋愛できない理由』の番宣中、大島優子の役柄が「重い」という話題に。

菅野: そんなことない。健気だよ! 相手が悪い。男が悪い! 恋愛で揉めるときってたいてい男が悪いの! 

タモリ宅でのホームパーティという体(てい)でフジテレビの新ドラマ等の番宣をするという『タモリ・中居の手ぶらでイイのに…!?』。
グダグダ感が前提の番組にあって、菅野美穂の存在は異質だった。
グダグダになりすぎたり、まったりとした雰囲気になりすぎると全力で動き出す菅野。
その姿は男前でただただカッコ良かった。
この発言で強引に流れを作った菅野。その動きをすぐに察知した中居が絶妙に受けて話を広げ振っていく。

菅野: 男がはっきりしてれば揉めないわけでビンタとかなんないわけだから。
中居: はっきりしない理由は女性にあるんじゃないの?
米倉: なんで? 男の人のほうがロマンチストなところがあるから、だからグズグズしたりするのが女の人より多いんじゃないですか?
中居: そんなことないよ! 櫻井、そんなことないよな。
櫻井: そんなことないですよね。
米倉: 潔くちゃんとやってる?
櫻井: なにを?
一同: (笑)

この後、菅野があまりしゃべってない女優陣に次々に話を振っていく。
話がひとしきり盛り上がり一段落すると、遂にタモリが口を開く。

男はグズグズするものよ
男は女々しい。女に『女々しい』とは言わないでしょ?
だいたい恋愛しなきゃいけないっていうのもおかしいよね。しなくたっていい。
恋愛に夢をかけすぎ。
恋愛とかで幸せになるとか思っちゃダメ
幸せは別問題だからね。
「幸せ」っていう字は「手枷」(が語源)なの。
昔の刑罰で。手に枷をはめる刑罰があって。
それが「幸せ」っていう字になったんだけど、なぜかって言うと本当は「死刑」になるところを「手枷の刑」で(命を落とさずに)すんだっていうことが「幸せ」なの。
だから幸せというのは前の上を見るんじゃなくて、後ろの下を見ること
望むものじゃなくて感じるもの


番宣VTRで見事なビンタが流れた香里奈に「今度個人的に殴ってくれる?」などとタモリは自由自在にどこまでも「タモリ」でその魅力をチラチラと振りまいていた。
超豪華女優陣が揃ったこの番組。
しかしホロ酔いで顔を真っ赤にしながらニヤニヤ笑うタモリが誰よりもチャーミングだった。