ケンドーコバヤシの漆黒の闇

10年目を迎えた『アメトーーク』で放送されたのは「女の子苦手芸人」。
メンバーはケンドーコバヤシを先頭に、有吉弘行バカリズム若林正恭又吉直樹金田哲田中卓志
そのメンバーについて蛍原は「苦手そうだなっていう人もいますが、そうかな?って人も」と言えば宮迫も「先頭に立ってるこいつ(ケンコバ)、どういうことかな?」と。
世間一般的なイメージとしてケンドーコバヤシが「女の子が苦手」というイメージはあまりないかもしれない。
しかしコバも「女の子は好きなんですよ」と注釈しつつ宣言する。「今日はね、みんなとノリが違うかもしれないです。告発します女というのはこんなに醜い生き物なんだと。俺が受けてきた傷を!」

「人間の中で一番卑怯なのは無視だと思うんです!」

ケンコバが一番最初に女の子を「アカンなぁ」と思った原風景は幼稚園の頃。
その頃に、女の子はそういう人たちなんだと、気づいた。
当時、コバは幼稚園の先生をカーテンの影に呼び出して、チンチンを見せるのが好きだった。
「コラッ、コバヤシくん!」と怒られることに、先生の優しさを感じていたのだ。
しかし、女の子たちはそれを遠巻きに見ていた。
結果、コバヤシ少年は女の子だけに「無視」される。
「人間の中で一番卑怯なのは無視だと思うんです」とコバは言う。
女の子はなにかというと「無視」する。
その後、小学校、中学校でも、いろんな無視を見てきた、と。

「恋愛においてもケンカした後、無視するでしょ!
話し合ったらいいのに。
あれ(無視)はね、人間として一番卑怯な行為です。
女ってね、卑怯な生き物です!」

「(男がする)元カノの話って、泣けるようなイイ話が多い。(女がする)元カレの話って悪口しか聞いたことない」

コバが学生時代、付き合っていた彼女が自分と別れた3〜4日後に別の男と付き合い始めた。
しかし「怖い」と思ったのはそこではなかった。
一番「怖い」と思ったのはその男と一緒にいるところにバッタリと出くわしてしまった時だ。
その女の子がコバを見て「サイテー」という顔をしたのだ。
まるでコバがそこに狙って現れたと言うかのように。


そしてコバは気付いたことがある、と言う。

「今までのデータを思い出してください。
(男がする)元カノの話って、泣けるようなイイ話が多かったでしょ。
(女がする)元カレの話って悪口しか聞いたことないんです!」

女の子たちは元カレに対して悪口しか言わない。
元カレの良いエピソードを自分は聞いた記憶がないのだと。
それを聞いた宮迫、大きくうなずき「学会で発表してもいい!」とその理論を絶賛。
コバ「ここに気づいてしまった以上、もう無理!

「『君のことを守りたい』なんて言葉は俺は一国と戦える軍事力がないと言うたらあかん!」

コバは「告白」とか「プロポーズ」とかがどうしてもできない。
なぜなら「人生がかかったことで嘘をつきたくない」から。
だから、今結婚している人たち、自分の両親を含め「『悪党』だと思っている」と。
絶対浮気とか何もしないとは考えにくいのに、「君だけを愛す」とか言えない、と。
「『君のことを守りたい』なんて言葉は俺は一国と戦える軍事力がないと言うたらあかん!」
自分が結婚する時は赤ちゃんができて「責任取ります」という以外に考えられない、のだと。

「俺はね、あの人達(風俗嬢)こそ、公務員にすべきやと思う!」

女の子が下ネタを苦手がるのはなんでなのかという話題に口を挟むコバ。
「(下ネタは)後ろめたいんでしょうね。それを排除しようとする動きは、『あんたら後ろめたいんですか?』って思うんですよ!」と熱弁。
その熱に圧倒された有吉「この人、軍事評論家?(笑)」
コバ「これはね、ハッキリ言って戦争ですよ! 男と女との」
そして、風俗の話題へ。
風俗に勤めてる女の子はイイ娘が多い、と主張するコバ。
ここにいる7人を始め多くの男女が傷つけあっている。そんな中で、毎晩誰かを癒しているのだ、と。

「俺はね、あの人達こそ、公務員にすべきやと思う。
もしくは、法人扱いにして税金とったらあかん!」

「(別の男に乗り換えられた時)俺、丸まりましたからね、部屋で!」

ケンコバは「このままではいけない」と一念発起し、2011年は出会いの場にも顔を出し気に入った娘がいたら連絡先交換してふたりでご飯行く、というのを1年で4回した。
しかし、信じられないことにその4人ともが彼氏がいた
べろべろに酔っ払った女の子が「もっと私のこと知ってほしい」とアプローチ。高揚しつつ、ジャブで冗談のように「彼氏いるの?」と訊いたら「うん、いるよ」と。
自分に乗り換えようとしてるのが明らかな娘もいた。

「それは絶対に嫌。
だってその男のこと考えたら、俺、寝れないですもん。可哀想すぎるじゃないですか!」

コバ自身もそんな経験ある。
コバ「その時の俺、丸まりましたからね、部屋で! ただの球!

「俺のことを好きでいて続けてくれて、なおかつ『好き』って言葉を絶対言うてほしくない」

どんな女の子ならいいのかと訊かれるとコバは「結局、俺のことを好きでいて続けてくれて、なおかつ『好き』って言葉を絶対言うてほしくない」と言う。
過去、何人か彼女はいたが自分は「好き」という言葉はいったことがない。しかし、相手は何百回、何千回も「好き」と言う。にも関わらず、突然、自分のことを嫌いになって去っていく。「俺は一回も(『好き』って)言ってないのに、まだ好きなのに……」。
未練とかじゃない、と言うコバ「幸せになってほしいですよ……でも、」
それを聴いていた宮迫「コバ、分かるんだけどさ、重いよ……」

「俺は(プロデューサーの)加地さんが来た時に、こうなりますよって言ったんですよ!」

ケンコバが抱えた深いトラウマが爆発したこの回。
何度となく会場の空気を重くして、その度に「俺、ちょっと帰りましょうか?」と笑いに変えてブレーキをかけていた。
宮迫は「ポップな闇と思ってたら漆黒の闇だった」と評した。
ケンコバ「このテーマ、『アメトーーク』側からぶつけられた時、(プロデューサーに)『そんな気楽に言ってますけど、エラいことになりますよ』って言ったんです。俺がずっと溜め込んできたことやから!


番組のエンディングで「女の子苦手」を克服するためにゲストの女の子と至近距離で10秒間見つめ合おうというコーナーが用意されていた。
そこでコバは決められた立ち位置を侵し、相手により接近し相手を困らせていた。
それはいつものケンドーコバヤシの振る舞い方に戻った瞬間だった。
その行動に対して宮迫が言った言葉はケンドーコバヤシという生態の本質を突くものではないかと思う。

宮迫「これ、何気にね、攻撃という名のディフェンスをしてるんですよ


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