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タモリと吉永小百合が逢った日

『いいとも』最終回まで残りわずか。いよいよ『グランドフィナーレ 感謝の超特大号』の概要も発表され始めました。

お笑いナタリー - 「笑っていいとも!」フィナーレにさんま、ウンナンら

注目なのはもちろん明石家さんまダウンタウンウッチャンナンチャンとんねるず爆笑問題など錚々たるメンバーが名を連ねる出演予定者ですが、中でもタモリ「憧れの人」吉永小百合の『いいとも』初出演でしょう。
吉永小百合さんって言ったら国宝ですよ。来年には世界遺産になる」と吉永小百合を絶賛するタモリの女性観については『タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?』の「タモリにとって『エロス』とは何か?」の章で詳しく書いたので是非読んでいただきたいのですが、

その吉永小百合タモリは『いいとも』では初共演ですが、対談、番組共演、プライベートでの交流など、意外と多く顔を合わせています。
そんなわけで、過去の“共演”を振り返っていきたいと思います。

1981年、対談。「小百合さんがそばにいてくれるだけでいい」

1982年に刊行された『タモリと賢女・美女・烈女』で、タモリ吉永小百合と対談している。対談が行われたのはおそらく1981年。

その対談を終えてタモリは「お会いできただけでうれしかった。何もコメントすることありません」と振り返っている。

小百合さんのような美しい顔は偶然にしろ何兆分の一の確率でできた顔だと思います。それゆえに守りつづけていかなければ……そうです、国が保護をして、国民の宝として有形文化財にしなければ、と痛切に感じております。


f:id:LittleBoy:20140324152557j:plain:left:h300吉永小百合タモリは同じ早稲田大学出身。
一浪したタモリは1964年入学。吉永はその一年後、1965年に入学した。すでに吉永は女優として人気を集めている存在。そんな吉永とタモリは偶然、学食で向かいの席になったことがあるという。

タモリ: 僕は天ぷら入りの栄養ラーメン60円ってのを食べたんです。そうしたらコーヒーとトーストを持って吉永さんがお見えになった。「さすが、やっぱり食べ物が違うな」と(笑)。あの時は、トーストが二切れで、一切れと二切れ目はちょっと口をつけただけで、コーヒーはたしか全部お飲みになって、席を立って帰られた。その残ったトーストが、欲しくてね。
吉永: フフフフ。
タモリ: 持って帰ろうかと思って、考えたんです。だけど、「オレは硬派の人間である。芸能人に媚びるような真似だけはしたくない」と思った。でも、やっぱり欲しい。で、やっと「持って帰ろう」と決心した瞬間、ウェートレスが来て全部持っていっちゃった。

そのエピソードはラジオで語られると、歪曲して伝わり、いつの間にか「タモリがその場でいきなりそのトーストの残りをムシャムシャ食った」と伝わったという。
その後は早稲田大学周辺の喫茶店や、OB会の話題、料理の話に及ぶ。
そして、「ところでご主人とは、反対されたから、ご結婚も決意されたわけですか」と結婚の話を振るタモリだが、逆に吉永から春子夫人のことを訊かれるとしどろもどろになってしまう。

タモリ: 何か今日はおかしいね。イッヒヒヒ。自分でもそう思ってるんだ。今日は初めてラジオでお会いしたときより落ち着いた気分でね。寝覚めもよくシャワーを浴びて、気持よくそこまで、フイーフイー来たんですけどね。あがってしまったみたいだな。

おそらく、ここで話に出ているラジオでの共演が吉永小百合との初共演だと思われる。

吉永: やはり専業主婦となりますと、どうしてもいろいろ社会とつながりが少なくて、つらいことありますよね。
タモリ: 専業主婦というのはよくないですね。
吉永: 私は、全部趣味でやっているみたいなものなんです。
タモリ: 主婦を趣味で?
吉永: すごく贅沢だなと思うんですけど……。
タモリ: 趣味だったら、おやめなさい(笑)。もう何年になりますかね、結婚されて?
吉永: 8年になります。タモリさんは?
タモリ: 9年です。
吉永: よくもってますねえ。
タモリ: ほんと、よくもってますよ。うちは暗い家庭ですからね、悲惨な……、ヒヒヒ。そういうふうには言っとるんですけどね、オレが結婚したっていうのを聞いて、吉永さんが絶望のあまり結婚されたと……(笑)。
吉永: ウフフフ。

ちなみに吉永小百合が結婚したのは1973年。28歳の時。15歳年上のフジテレビのディレクターがお相手だった。
そして、吉永は最後にタモリが有頂天になってしまう一言を。

吉永: ご本人前にして言うのは、おかしいかもしれないけれど、タモリさんって、とってもイカしてる感じなんですよね(笑)。
タモリ: いやあー、うわあー、駆け回ろうかな、オレ(笑)。

1982年1月2日、『今夜は最高!』(パートナー:吉永小百合、ゲスト:沢田研二

新・今夜は最高! (1983年)

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今夜は最高!』では82年のお正月スペシャルのパートナー*1として出演した。1週目の男性ゲストは沢田研二
スケッチ(コント)では、眠れる美女(吉永)、王子(タモリ)、吸血鬼(ジュリー)に扮し、おとぎの世界にひたった。
トークパートではいきなり吉永はタモリを翻弄する。

吉永: あの、本当のこと言うと、テレビで最初に(タモリを)見た時はね。
タモリ: ええ。
吉永: ちょっと、あんまり、そんなに好きじゃなかったの(悪そうに、笑いながら)。
タモリ: ということは、はっきり言いまして、キライと(笑)。
吉永: イヤ、す、好きじゃなかったんです。
沢田: (キッパリ)いけすかない人だと
吉永: (うなづいて)そう、なんとなく。
タモリ: なんで、要約するんですか、あなたが!
吉永: でも、本当に、あの、いろんな面を持ってらっしゃってね。

その後、タモリは吉永の意外な側面を聞き出していく。

タモリ: あなた、けっこう、物事に熱狂する方なんですってね。
吉永: そうなんです。
タモリ: 自分を忘れて。
吉永: そうなんです。
      (略)
吉永: (ラグビーを観て)熱狂して、“行けぇー!”とか“つぶせぇー!”とかね、“突っ込めぇー!”とか、もうすごいですよ。

その熱狂っぷりに一緒に観戦した人に「恥ずかしくて一緒に行きたくない」とまで言われたと明かす吉永。

タモリ: 誰ですか。
吉永: ……あのォ……野坂(昭如)さんです(笑いながら)。
タモリ: 野坂ァ?(笑)
沢田: ワッハハハハハハハハハハ。
吉永: アハッ、アハッ。
タモリ: 野坂がそんなこというんですか!
吉永: ハイ、そうなんです(笑)
タモリ: あのォ! 焼跡だけで文筆活動続けやがって、何をお前、言っとるんだ、見とるだろう! この番組。
吉永: ウフッ、ウフッ。

そのラグビー観戦に誘ったというのが野坂の方だと聞くと「そうだろうなァ……(笑)。いやらしい奴だなァっ」と嫉妬混じりに悪態をつくタモリ*2だった。

1982年1月9日、『今夜は最高!』(パートナー:吉永小百合、ゲスト:野坂昭如

その野坂昭如は翌週のゲストとして登場。
トークコーナーではもちろんその話題に。

タモリ: あなた、あのねっ! ずっと(吉永小百合の)ファンでいらっしゃったって言うこと、聞いてたんでございますけど(挑戦的に)。
野坂: ええ、まあ、あなたが生まれる前からのファンでございます。
吉永: アッハハハ。
         (略)
タモリ: あたくしはねぇ、ずーっともう、デビューしてからもう、20年、近くになられますけども、一度も浮気したことないですよっ。ずーっとファンだった。ああたは、違うでしょ。最初は、原節子とかァ。あのォー。
野坂: 冗談じゃない!
タモリ: い、いろいろ変わったっちゅう話聞きましたけども、ねぇっ。
吉永: ウン。
野坂: そんなこたあありません、そんなことありません。
吉永: (笑って)百恵ちゃんとか。
タモリ: そうそう、百恵ちゃんに変わったんだ!

と、おじさんたちはどっちが吉永小百合をより好きかを本人を前にして延々と論争。
スケッチでは、文壇バーでモテモテの文豪・野坂昭如と、見向きもされない森田一義先生を演じ、タモリは憧れの吉永小百合とデュエットをするのだった。

1985年1月15日、ラグビー観戦(国立競技場)

タモリ吉永小百合はその後、一緒にラグビー観戦を果たしている。
それは1985年の国立競技場での日本選手権。
その模様は同席した横澤彪が著書『プロデューサー感覚』に書かれている。

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横澤の隣にタモリ、その隣に吉永小百合が座ったという。
タモリは、憧れの吉永小百合とのラグビー観戦ということもあり、マネージャーにスケジュールの確認もせずに駆けつけた。

興奮してきた小百合ちゃんが、大声で、
「釜石ッ、がんばれ」「突っ込め」
などと、過激な応援をするので、タモリも乗ってきて、
「大八木。トライなんかしなくていい。もっと勉強しろ」と野次りはじめた。

と『今夜で最高!』で明かしたとおり、吉永は“熱狂”的な応援をしていたようだ。

ハーフタイムに小百合ちゃんから(タモリが)チョコレートをもらったのだが、一粒のチョコレートをまるで恩賜の煙草のように押しいいただいて、半分かじったところで「もったいないから、家に飾っとこうかな」などとつぶやいている。

試合後には、吉永に車がないと分かると、即座に顔を真っ赤にしたタモリが「送ります!」と直訴。

翌日、タモリに聞いたら、ベンツの後部シートに「小百合ちゃん御席」と貼り紙をしたという。「当分、だれも乗せネエゾ」とすごい鼻息だった。


ちなみにこの後もタモリは吉永とたびたび顔を合わせているようだ。
映画で共演した鶴瓶の計らいで料亭で会食した時は、「座布団のはじのフサフサを全部むしり取ってしまいました(笑)」(『タモリのTOKYO坂道美学入門』より)と振り返っている。 

*1:番組では女性ゲストを「パートナー」と呼び2週続けて出演するのが原則。男性ゲストは週替り

*2:念のため補足すればこの頃、野坂とタモリは頻繁に共演する気心の知れた仲