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「ナイナイとは特別」タモリとナインティナイン

4月12日に放送された『王様のブランチ』(TBS)の「ブックコーナー」文芸書ランキング(ブックファースト渋谷文化村通り店)で5位に有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか 絶望を笑いに変える芸人たちの生き方』、さらに2位にタモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?』と、なんと2冊ともランクインし、紹介していただきました!
※参考: http://www.tbs.co.jp/brunch/book_buzz/


そして現在発売中の『TV Bros.』(4月12日号)の「ブロスの本棚」で相沢直さんに『タモリ学』の書評を書いていただきました。以下、一部引用します。

タモリ」という愛する対象に対して、大量の文献や過去作品を引用しながら、俯瞰しつつもその本質を導き出す。いつだって傍観者でしかないタモリに対してこのアプローチは、ある意味「タモリ的」でもあり、それでいて著者の情念も透けて見える。
何より重要なのは、『タモリ学』がただの生粋のテレビっ子によって書かれたという点だ。純粋なテレビっ子が、これほどまでにタモリの本質をえぐっている。本書に裏話や関係者インタビューは一切なく、いわゆる周辺情報から得られる事象だけで構築されているのだが、そこが凄まじい。それは「今だけを肯定する」というタモリ的なイズムを、いわば模倣しているようでもある。だからこそ『タモリ学』は、テレビ史上に残るべき一冊となった。

この後も、相沢さんによるタモリとテレビに関する愛にあふれた名文が続きます。さらに『タモリ学』について自分でも気付いてなかったことも指摘していただいたりしつつ、最後の締めのカッコよさ!
正直、『タモリ学』を読む読まない関係ない名文ですので是非!


なお、様々な方の感想はこちらにまとめていますのでご参考まで。
戸部田誠(てれびのスキマ)著『タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?』感想まとめ
てれびのスキマ・著『有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか』感想まとめ
また、どこか雑誌等でもし書評を見かけた方はお教えいただけると幸いです。


さて、話は大きく変わって4月12日発売の『クイック・ジャパン 113』は137ページにわたる『めちゃイケ』特集で永久保存版です!

この中の片岡飛鳥矢部浩之片岡飛鳥岡村隆史の対談は『有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか』に収録した「なぜナイナイ・矢部浩之はいつもニヤニヤ笑っているのか?」の答え合わせができたような興味深いものでした。

タモリがブレイクを実感したとき

この特集でも「密着ドキュメント」が書かれているのが、3月1日に放送された『めちゃ×2感謝してるッ!』。
この放送では「モリタ食堂」としてタモリナインティナインが食事をしながら対談している。ちなみに『QJ』の「密着ドキュメント」によると元々は「モリタ食堂」vs「ガリタ食堂」のような形でガリタが登場する予定だったが、タモリとナイナイのトークが“本音トーク”だったため、現場判断でガリタの登場が見送られたという。

矢部: 僕らみたいな関係性のお笑い(芸人)っています?
タモリ: いない。ナイナイとは特別だよね。デビュー直後からずっと一緒じゃない?
矢部: だって1年ぐらいやっぱり「うわっ!タモリや」って思ってましたもん(笑)。隔週で会ってるのに。すごい不思議な感覚が1年くらい続いてましたもん。

ナインティナイン、特に岡村にとってタモリは「東京のお父さん」と呼ぶほど特別な存在だ。上京して、周りすべてが「敵」のように感じていた彼らにとって、タモリは数少ない「味方」だと思える存在だった。
ナインティナインはまだ全国区でなかった94年2月に『いいとも』テレフォンにゲスト出演。同年4月から『ジャングルTVタモリの法則~』が開始。当時、陽気で明るいマスコットキャラクター的存在だった岡村隆史のナイーブで生真面目な内面を初めてテレビでイジって笑いにしたのもおそらくタモリだろう。
※参考:岡村隆史はなぜ心を閉ざすのか? - てれびのスキマ

タモリ: 最近、自分の言った言葉が本に載ったりするんだけどさ、結構良いこと言ってるんだよね(笑)。
矢部: タモリ語録とかいって結構いろんな人が抜粋して載せてはるんですよ。
タモリ: らしいね。でもああいうの読むとダメだね。もっと良いこと言おうとしちゃう
一同:(笑)
岡村: ちょっとかっこつけようと?
タモリ: そうそう。だいたい、俺、60歳超えてから人に褒められたいのよ。
矢部: アハハハ。
岡村: みんなそうですよね、褒められたいですもんね。
タモリ: これよりすごい言葉言おうと。そうなるとわざとらしくなるんだよね。本当に思ってないことを言いたくなるわけ。
岡村: だから僕訊いたことあるんですよ。タモリさんってどの瞬間に「あ、キテるな俺」って思ったかって。覚えてます?
タモリ: それね、まったく覚えてない。
岡村: 『いいとも』が軌道に乗り始めた時に「あ、俺はキタな」って思ったって。
タモリ: ああ、そう。
岡村: 『いいとも』が世間で「いいとも!」ってあっちこっちで聞かれるようになったくらいに。
タモリ: 流行語みたいになって。そうそうそう。3ヶ月で終わるだろうと思ったら終わらないで横澤さんが来て「これね、手応え感じましたね」って。「どこが?」って思ったんだけど(笑)。


実は『パピルス』2008年10月号での岡村隆史タモリとの対談でもこの話題が出てきている。
この対談は岡村隆史が様々なジャンルの著名人を招いて対談する連載「現闘者」の最終回(第16回)で実現したものだ。

f:id:LittleBoy:20140414183600p:plain:h300:right岡村: 30歳でデビューして、この世界で天下とってやるんだ! という気持ちはなかったんですか。
タモリ: いやー、正直申し上げると、読者にはつまらないと思うけど、あまり思ったことないね(笑)。
岡村: 大きなビジョンとかもなかったんですか。『タモリの~』という冠番組やろうとか。
タモリ: いやあ、結構大変だったんだよ。俺、30歳で芸能界に入って、37歳で『いいとも』が始まったでしょ。だから、毎日その日その日のことをやっていかないといけなくて。将来の夢なんていうのは、ほとんど考えられなかったね。
岡村: タモさん、覚えてます? 以前僕が、「売れたって思った瞬間はいつですか?」って訊いたら、「『いいとも』が軌道に乗り始めたとき」って言ったのを。
タモリ: おー、そうそう。『笑ってる場合ですよ!』の後、ちょうど漫才ブームが下火になったときに、ずっと『いいとも』が始まったんだよね。あれが軌道に乗るまで、1年以上かかったよ。『いいとも』が始まる前の漫才ブームのときは、俺なんかまったく顧みられなくてね。当時、『お笑いなんとか大賞』みたいなのに出てくれと言われて。出る気はなかったんだけど、なんだかんだで出なきゃいけなくなった。俺は何をやろうかなと思って、その当時でもあまり受けなかった、ピアノを弾く芸をやったんだよね。
岡村: なんであんまりウケへん芸をチョイスするんですか(笑)。それがタモさんっぽいですね。
タモリ: いやいや、会場ではプロデューサーも審査員も観客も、俺なんかは誰も注目していない。B&Bなんかがすごい勢いの、漫才ブームの真っただ中だからね。そしたら、なんだ? と思わせるような、難しいことをやるしかないんじゃないかと。「誰でもできるチック・コリア」を、チック・コリアを知らない人ばかりのところでやる。ちょっとした反骨心もあるからね。何が漫才だ、という気持ちで、ウケないのが気持ちいい

※参考

「失敗も全部含めて自分」

『めちゃ×2感謝してるッ!』では、翌日もタモリを誘って食事をしカメラを回したいと交渉するナインティナイン

タモリ: なんでそんなに番組に貪欲なの?
ナイナイ:(笑)
矢部: 貪欲…ではないですけど…。
タモリ: おかしいだろ。テレビ55周年っていったって自分たちの55周年と違うんだから。なんか面白いことがあったらテレビに出ようっていう貪欲さはホントに良くないと思うんだよね。
矢部: アッハハ。
タモリ: やる気のあるADほど、暑苦しいのはいないだろ?
矢部: でも『いいとも』もやる気があったから長年続いたわけでしょ?
タモリ: いや、やる気がなかったから続いたんだよ。
岡村: 反省しないっていうね。
タモリ: 反省してあそこはこういう返しをしたほうがいいな、とかこういうふうな表現をしたほうがいいな、とか思うじゃん。でも、そういうことは二度と起きないからね。
矢部: 生モンですからね。
岡村: その現場、そのタイミング、その空気、その間がありますもんね
タモリ: 失敗も全部含めてOKなんだ。自分なんだ
矢部: なるほど。
タモリ: あ、ごめんごめん。ちょっと今いいこと言おうと…(笑)
一同:(笑)

人は「反省しない」と考えても、どうしたって反省してしまうものだ。
その辺りについて、やはり『パピルス』の対談でより詳しくタモリは語っている。

岡村: 僕は、終わったことはしようがないと思っていても、寝られなかったりしますね。しまったという感じで。
タモリ: あなたは、ちゃんとした人なのよ。ちゃんとした人、真面目な人は苦しいと思うよ、この業界は。反省と一口に言っても、勝手に自分だけが悪いと思っている場合があるからね。そこでもう一回、その反省をもとにして、同じ状況に立って、こうすればよかったと思ったことを再びやったときに、それがその場にそぐうかそぐわないかは、また疑問だからね。そんなことのために反省してもしようがないものね。
岡村: そう考えようとしても、ああ、と思うんですよね。ちゃんとしすぎてるんですかね?
タモリ: ちゃんとしすぎてる。俺なんか毎日が上出来だもん。今日もよかったって。
岡村: でも、そういう人たちですよね、いま上に立っている人らは。
タモリ: しぶとい世代なのよ。不真面目な人間がものすごく不真面目なことをやっているんです。
岡村: それは最強ですね。
タモリ: うん、最強。存在と考えが一緒だからね。

つまり「反省」して“次はこうしよう”と「計画」しても、そんな場面は二度と訪れないのだ。
だからタモリは「過去」にも「未来」にも執着せず、「今」だけを肯定して生きているのだ。


ちなみにこの部分を他の様々な発言と合わせて書いたのが『タモリ学』の「タモリにとって希望とは何か?」です。

そしてナインティナインのデビュー以後の苦悩を書いたのが『有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか』の「なぜナイナイ・矢部浩之はいつもニヤニヤ笑っているのか?」です。

是非、こちらもよろしくお願いします!


<参考>
ナインティナイン矢部浩之の決断 - てれびのスキマ
ナインティナイン矢部浩之の覚悟と笑顔 - てれびのスキマ
「全裸になる!」岡村隆史休養時のBIG3それぞれの気遣い - AOLニュース