読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

劇団ひとりの「もうひとつの『ウサギとカメ』」

5月16日の『あさイチ』「プレミアムトーク」にゲスト出演した劇団ひとり
家には大量の絵本があり、3歳の子どもに絵本の読み聞かせをしている、などと子育てトークに花を咲かせていた。
さらに、劇団ひとりは数年後に読ませたいという自作の絵本があることを明かした。
それが「もうひとつの『ウサギとカメ』」だ。
『ウサギとカメ』は言わずと知れたイソップ童話。
いつもノロマだとバカにしていたカメと競争して、ウサギが途中油断して居眠りしていたら、目を覚ましていたときにはカメが先にゴールしていたという話だ。

うさぎとかめ (ブライアン・ワイルドスミス作品選)
ラ・フォンテーヌ
らくだ出版
売り上げランキング: 98,697

ひとりは「今は普通に『ウサギとカメ』のノーマルなやつを読んで。それがある程度刷り込まれてから2年後くらいにこれを読もう」と考えているという。
そんな劇団ひとりが語った「もうひとつの『ウサギとカメ』」の概要を元に童話風にまとめてみた。

あるところにウサギさんとカメさんがいました。
ウサギさんはかけっこが大好き。とても足が早く、ノロマなカメさんをとてもバカにしていました。
ある日、ウサギさんとカメさんはレースをすることになりました。
「なんでオレと勝負するの? おまえ絶対勝てっこないんだよ。こんなおろかな試合はないよ」
とウサギさんが尋ねるとカメさんは言いました。
「ウサギさん。実はボクは病気なんです。お医者さんから最後のレースだって言われているんです。だから勝ち負けは関係ない。ただボクは走りたいんだ


いよいよレースの日がやってきました。
ウサギさんはいきおいよく飛び出し、あっという間に見えなくなってしまいました。
「カメさんのやつ、ぜんぜん追いついてこられないぞ。この勝負はオレの勝ちだ」
道の途中まで来ていたウサギさんは脳裏にカメさんの言葉がよみがえってきました。
ウサギさんは草むらを見つけると、そこで眠くもないのに昼寝をしたふりをすることにしたのです。
走るのが大好きなウサギさん。薄目でカメさんが通りすぎるのを見ながら悔しい思いでいっぱいでした。
けれど、先にゴールして大喜びしているカメさんの姿を見て「これでいいんだ」と自分に言い聞かせていました。


数日後、ウサギさんはとんでもないことを知りました。
実は、カメさんは病気ではなかったのです。
ウサギさんはカメさんにうったえました。
「カメさん、どういうことだよ! おまえ病気だって言ったじゃないか!
すると、カメさんは言うのです。
ウサギさん、これが勝負の世界なんだ!
それから、他人の話が本当か嘘かを聞き分けるためにウサギさんの耳が大きくなったとさ。

ひとり:これはね、娘にしたらショッキング。ヘタしたら泣くかもしれませんよね。だけど、そこで傷つくことによって将来、詐欺とか悪い男に引っかからないんじゃないかと。5歳のうちに絵本でそれを味わっておく、と。
井ノ原:なるほど。それまで本当の『ウサギとカメ』のほうを信じ込ませるというか刷り込ませる。
ひとり:とにかく今は「ウサギさんはバカだねぇ」と、なるべくカメに感情移入させて。
井ノ原:「地道にやるのが一番だね」って。
ひとり:そうすれば裏切られた時のショックでかいですからね。
井ノ原:ショックを与えたいってことなんですね。
ひとり:これは愛情ですよ。現実に味わったら大変ですけど、絵本の中だったら。
井ノ原:世の中そういうことなんだと。
ひとり:今度お貸ししましょうか?
井ノ原:結構です(笑)。