PRIDE観戦記(現実はいつも残酷で、だから僕らは幻想に酔いしれるんだ)

ミルコ・クロコップvsエメリヤーエンコ・ヒョードル

もう入場式の時のミルコ・クロコップの表情で涙腺がやばかった。
21世紀最初の世紀の一戦」と題された今回の煽りV。

「私たちは長いことこの日を待ち続けたんです。10年間ずっとです」
と静かに語るミルコの母。
ミルコ「この戦いを父に捧げたい」
内戦の映像が流れ、友人を亡くした恐怖の少年時代が回想される。
最愛の父の死。
「強くなければ生きてゆけない」
  遺言。
あなたにとって試合とは? 「戦争だ」


「人類最強といわせるロシア人」エメリヤーエンコ・ヒョードル 
その目の前で敗れるミルコに微笑む皇帝。
そして、目の前で弟を殴り倒すミルコに
「やってくれたな」と吐き捨てる。


「オレは彼をただ待たせたわけじゃない
強くなる時間を与えてやったんだよ」


ミルコの母が再び囁く。
「ミルコによくこんな冗談を言ったりするのよ。
神様もあなたの願いを全部はかなえてくれないものよ、って……」
そしてミルコが力強く宣言する。


8月28日 俺は父に会いに行く


今回、立木文彦のナレーションはなく、それが逆に脳に直接響くような
深い感慨を与えてくれた。そしてもう落涙。
試合は「最高峰」というのにたがわない素晴らしいものだった。
結果はとても残酷でとても美しかった。

雑感

PRIDE-GP」のMVPはアリスター・オーフレイム
 いずれの大会でも予想を超える好試合を見せてくれた。
五味隆典vs川尻達也は何気にサプライズ
 修斗が巧みな政治力を見せ付けたマッチメークだと思う。
 確かにマッハが出るならこれがベター*1かも。
美濃輪育久は相変わらず。「追い風ダッシュ」「へブン」いいなあ。
・ショーグン強かったが、今後の使い方は難しいだろうな。
・シウバの幻想が剥がれてしまったのはPRIDEにとって吉と出るか凶と出るか?
中村和裕はますますK-1における武蔵に似てきてしまった。
 これは多分、だろう。
・今回いきなり登場したオフショット気味なシーン満載のエンドロールは良かった。
・tragedy(id:tragedy20050829)さんがおっしゃるとおり、まさにある章の最終回だという感じ。
 スタッフ側も多分それを予感してあのOPとEDなんだろう。

*1:マッハのブロックにアゼレド、ハンセン、パルヴァーを置けば誰が決勝でも絵になる