消えた子供達#3「怪文書の謎」

1991年3月15日に行方不明になった加茂前ゆきちゃんの自宅に
行方不明から3年後に届いた怪文書。
3枚の紙に鉛筆書きの上からボールペンでなぞってある。
漢字、ひらがな、カタカナまじりのたどたどしい文字。
直訳するとこんな感じか。

ミゆキサンにツイテ 
 ミユキ カアイソウ カアイソウ 
 おっカアモカアイソウ お父もカアイソウ 
 コンナコとヲシタノハ トミダノ股割レ 
                トオモイマス

みゆきさんについて
  みゆき 可哀想 可哀想
  お母さんも可哀想 お父さんも可哀想
  こんな事をしたのは 富田の股割れと思います

股ワレハ 富田デ生レテ 学こうヲデテ 
 シュンガノオモテノハンタイノ、パーラポウ 
 ニツトめた 
 イつノ日か世帯ヲ持チ、ナンネンカシテ 
 裏口ニ立ツヨウニナッタ 
 イまハー ケータショーノチカクデ 
 四ツアシヲアヤツツテイル 

股割れは 富田で生まれて 学校を出て
  しゅんがのおもての反対の、バーラボウに勤めた
  いつの日か世帯を持ち、何年かして       
  裏口に立つようになった
  いまはー けーたしょーの近くで
  四足を操っている

 ツギニ 
 スズカケのケヲ蹴落シテ、荷の向側のトコロ 
 アヤメ一ッパイノ部ヤデ コーヒーヲ飲ミナ 
 ガラ、ユキチヲニギラセタ、ニギッタノハ  
 アサヤントオもう。 
 ヒル間カラ テルホニハイッテ 股を大きく 
 ワッテ 家ノ裏口ヲ忘レテ シガミツイタ。 

 次に
  すずかけのけを蹴落として、荷の向こう側の所
  あやめ一杯の部屋で コーヒーを飲みながら
  諭吉を握らせた、握ったのは あさやんと思う。
  昼間から ホテルに入って 股を大きく割って 
  家の裏口を忘れて しがみついた。

 モウ股割レハ人ヲコえて、一匹のメス  
 にナッテイタ。 
 感激ノアマリアサヤンノイフトオリニ動い  
 タ。ソレガ大きな事件トハシラズニ、又カム 
 チャッカノハクセツノ冷タサモシラズニ、ケッカハ 
 ミユキヲハッカンジゴクニオトシタノデアル 
 モウ春、三回迎エタコトニナル 
 サカイノ クスリヤの居たトコロデハナイカ 
 トオモウ

もう股割れは人を超えて、一匹のメス になっていた。
  感激のあまりあさやんの言う通りに動いた。
  それが大きな事件とは知らずに、
  又カムチャッカの白雪の冷たさも知らずに、
  結果は みゆきをはっかん地獄に落としたのである
  もう春、三回迎えたことになる
  さかいの 薬屋の居た所ではないか と思う

*1ダッタン海キョウヲ、テフがコエタ、コンナ 
 平和希求トハチガウ 
 ミユキノハハガカ弱イハネヲバタバタ 
 ヒラヒラ サシテ ワガ子ヲサガシテ、広い 
 ダッタンノ海ヲワタッテイルノデアル 

 ○ダッタン海峡を、蝶が越えた、こんな
  平和希求とは違う
  みゆきの母がか弱い羽をバタバタ
  ひらひら させて 我が子を探して、広い
  ダッタンの海を渡っているのである

 股割れは平気なそぶり 
 時ニハ駅のタテカンバンニ眼ヲナガス 
 コトモアル、一片の良心ガアル、罪悪ヲ 
 カンズルニヂカイナイ 
 ソレヲ忘レタイタメニ股を割ってクレル 
 オスヲ探しツヅケルマイニチ 

  股割れは平気なそぶり
  時には駅の立て看板に目を流す事もある、
  一片の良心がある、罪悪を感ずるに違いない
  それを忘れたいために股を割ってくれる
  オスを探しつづける毎日

 股ワレワ ダレカ、ソレハ富田デ生レタ 
 コトハマチガイナイ 
 確証ヲ?ムマデ捜査機官に言フナ 
 キナガニ、トオマワシニカンサツスルコト 
 事件ガ大キイノデ、決シテ 
 イソグテバナイトオモウ。 
ヤツザキニモシテヤリタイ 
 股割レ。ダ。ミユキガカアイソウ 
我ガ股ヲ割ルトキハ命ガケ 
 コレガ人ダ コノトキガ女ノ一番 
 トホトイトキダ 

股割れは 誰か、それは富田で生まれた事は間違いない
  確証を掴むまで捜査機官に言うな
  気長に、遠まわしに観察すること
  事件が大きいので、決して
  いそぐてばないと思う。
 ○八つ裂きにもしてやりたい
  股割れ。だ。みゆきが可哀想
 ○我が股を割るときは命がけ
  これが人だ この時が女の一番
  尊い時だ


大きな疑問点がすくなくても3つある。

①書いたのは誰なのか?

   犯人? 犯人を知っている人物? それともただのいたずら?

②なぜ「ミゆキサン」なのか?

   失踪したのは「ゆき」ちゃんである。

③その後に届いた「緒方達生」なる人物は誰なのか?

   この怪文書と関係があるのかどうなのか?


やはり冷静に考えれば、①はこの事件を報道で知った第三者と考えるのが普通だろうと思う。しかし、「ただのいたずら」というよりは、文面や書き方などから、偏執病的人物が事件について考えているうちに、自分あるいは知人が事件の当事者であるように思い込み、それを家族に伝えなければ、と思い書いたのではないか、と。そう考えると②の疑問はただの記憶違いということになる。もちろん犯人が自己顕示欲を満たそうとしたり操作撹乱を狙ったとも考えられるし、犯人について何らかの情報を持っている人物のものである可能性もないことは無いと思うが。
細かな謎については、また次回。

*1:これも原文のまま。赤いペンで○が書かれている