空をこえて ラララ 星のかなた
いよいよ、明日24日には、『PLUTO (3)【豪華版】』が発売になります。
これは、言わずと知れた手塚治虫の「鉄腕アトム」カヴァーの成功作であるが、「アトム」カヴァーの成功作はもちろんこの作品だけではありません。
例えば、現代詩なんかにもあるのです。
谷川俊太郎*1の『夜のミッキーマウス』という詩集の一編。
「百三歳になったアトム」谷川俊太郎
人里離れた湖の岸部でアトムは夕日を見ている
百三歳になったが顔は生まれたときのままだ
鴉の群れがねぐらへ帰って行く
もう何度自分に問いかけたことだろう
ぼくには魂てものがあるのだろうか
人並み以上の知性があるとしても
寅さんにだって負けないくらいの情があるとしても
いつだったかピーターパンに会ったとき言われた
きみおちんちんないんだって?
それって魂みたいなもの?
と問い返したらピーターは大笑いしたっけ
どこからかあの懐かしい主題歌が響いてくる
夕日ってきれいだなあとアトムは思う
だが気持ちはそれ以上どこへも行かない
ちょっとしたプログラムのバグなんだ多分
そう考えてアトムは両足のロケットを噴射して
夕日のかなたへと飛び立って行く
谷川 俊太郎
新潮社 (2003/09/23)
売り上げランキング: 280,129
新潮社 (2003/09/23)
売り上げランキング: 280,129
他にも、落語特集の『笑芸人 (Vol.16(2005春号))』には付録に「PLUTO」の原作である「アトム」の「地上最大のロボット」を立川談志が朗読したCDがついています。必聴。