謎の怪女優・片桐はいり

1963年1月18日生まれ。本名片桐由実。
大学在学中に劇団「ブリキの自発団」に入団。
看板女優として活躍後、94年に脱退。
その後、舞台、映画、CM、ドラマで活躍。


片桐はいりについて我々が知ることの出来る情報はこの程度である。ネット界隈を検索してみても、これ以上の情報は細かい作品名くらいしか出てこない。謎である。
彼女の素顔が垣間見える事件といえば「『笑っていいとも!』大遅刻」事件*1くらい。
弟が放浪の末、中米グァテマラ在住、というちょっと驚く情報も出てくるが、それもまた一層彼女の謎を深めることにしかならない。
例えば、彼女はいまや、存在自体アバンギャルドな日本を代表するコメディエンヌであるが、実は劇団所属時代の彼女は決してコメディ女優という印象は全くなかった、という事実もいまや信じられないことである。ブリキの自発団では「ランドセルとかをしょって一生懸命やってた」少年の役が多く善人で生真面目なイメージだったというのだ。
その転機になったのは松尾スズキ演出の「マシーン日記」。
松尾の「椅子に頭で座れ」などという無茶な演出に答えると、そのコメディエンヌの才能を開花させることになる。
その類稀な素質があるにも関わらず、それまでそれを自ら避けていた感のある彼女は女優になるまではどのような生活を送っていたのだろうか? 彼女のそうした背景は見えてこないし、そうした背景を探られるのをきっと彼女は拒否しているように思う。まとまったインタビューをあまり目にしたことがないし、もちろんバラエティー番組にもほとんど出ない。


そんな中、「今夜はこれから」という日テレで放送された番組にゲスト出演。トークのコーナーも僅かながらあり、はいりフリークにとっては、貴重な番組であった。
中でも驚いたのが、芸名の由来、というか謎。
本人もその由来については、恐らく「アルプスの少女ハイジ」が好きだったからだと思うが、「はっきり憶えていない」*2という。しかし、中学の頃になると、テストなど答案用紙の名前を「片桐はいり」と普通に書いていたというのだ。
そんな少女時代、彼女はどんな少女だったのだろうか? その問いに彼女はこう答えた。
周りがみんな子どもだっていうのに苛々した
少女時代、彼女がある種の疎外感や孤独を抱えていたのは間違いないだろう。
そういえば、彼女は『ユリイカ (第35巻第3号2月臨時増刊号)』 のインタビューでもこう語っている。

初めて自分が「同い年」だと感じたのは宮崎勤


宮崎勤が捕まったときに、「私が捕まるのかと思ってたのに、あ、私じゃない人が捕まった」っていうぐらいに思ってた時期があって。別に私は殺してもないし、いたずらもなにもしてないんだけど、「私のような人なんじゃないか」っていう得体の知れない恐怖感があった。


今は、大田区の銭湯巡りがお気に入りなのだという。
やはり謎は深まるばかりだ。

わたしのマトカ
わたしのマトカ
posted with amazlet on 06.05.15
片桐 はいり
幻冬舎 (2006/03)

*1:参考>http://www.jiko.tv/iitomo/telephone3.html

*2:言いたくないだけかもしれないが