なまはげ台帳には何でも書いてある


初回放送時には見落としてしまった「勝手に観光協会」(スカパー275ch)の「秋田編(#28、#29)」をリピート放送でようやく視聴。
秋田といえば「なまはげ」だが、その本物のなまはげを実際に観ることが出来る「なまはげライブ」なるものがあるという。
典型的な曲家(まがりや)民家の一室が客席になっており、隣の部屋でなまはげが暴れる。
そのあまりの迫力と裏腹に、なんともいえぬ庶民的な風情が切なさも醸し出し、とてもチャーミング。




まずは先立(さきだち)と呼ばれる家の主人になまはげを入れてよいか確認する案内役が登場。そして主人役と世間話を始める。なまりすぎててよく分からないが多分今年の冬は寒かったとかそんな話。
すると、扉をけたたましく叩く音とともに「おぉおぉおぉおぉおぉおぉぉ」という地響きのような叫び声。そして扉が開くとそこに2人のなまはげが大きく手と足を振り登場。
泣く子はいねがぁ!」と絶叫して駆け込むなまはげ。「怠け者はいねがぁ!
そのまま「おぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉ」と部屋中を歩き回るなまはげ(スゴイ迫力)。
親と子面倒みねぇ嫁はいねえがぁ! おぉおぉおぉおぉおぉおぉ
と、一通り脅しとおした頃合を見て、主人一言。
なまはげさん、どうか一服して下さい」


「おぉおぉおぉおぉおぉおぉ」といいながらもなまはげ一転して素直に座る
「おめでとうございます」と主人が頭を下げると、何故かなまはげも「おめでとうございます」
主人「いやぁ、なまはげさん、今年もまたこの寒いところよく来てくれたっすなぁ」
なまはげ「んん、なんぼ雪降っても、吹雪いても、なんでもねえ」
「うんだ」と肯くもうひとりのなまはげ
なまはげ「一年に一回里さ、下りてこねば、怠け者が増える!」
酒を注ぐ主人、それを素直に飲むなまはげ
なまはげ「おお、オヤジ、なかなかよく出来た酒だな」
先立「あきたこまちで作った酒っこなんべな」
なまはげあきたこまちで造った酒か! どうりでいい酒だな
と、普通に馴染んで世間話でも始めそうな雰囲気。


「ところでおやじ、家の中こう、一回りしたけんども嫁と孫の姿も見当たらねぇ」
なまはげさん、来るっつったばっかり勉強部屋入って勉強したっべかなあ、それとも障子の陰さでも隠れっぺかや」
んだオヤジっ!」客を威嚇するなまはげ
「隠れるってことは普段ちゃんとやってねえからでねぇか?」
「いやいやとんでもねえっす、なまはげさん。うちの嫁だば供進所でも働き者だって評判でさ」
うーーんにゃ、オヤジ! さっきから黙って聴いてれば嫁と孫とがかわいいからってかばっているのか!」
「いやぁ、そういうつもりではねえけんどもなぁ」
「オヤジ、なんぼ嘘ついてもな、このなまはげ台帳』さ、ちゃんと書いてある
懐からいつの間にか取り出したなまはげ台帳(!)をぺらぺらめくるなまはげ
「孫長男、一郎っていうな? この一郎、学校さは毎日真面目に行ってると書いてある。んだどもなんだこれ、『真面目なのはそれだけだ』って書いてある。学校さ行けば、先生が黒板さ向かって字を書いていれば周りの子供がたとふざけてる! それから学校からウチさ帰ってこれば、宿題あるのに宿題もやらないでカバンを机の上さドンと投げだし、テレビの前さ行って(パンと台帳を叩く)テレビゲームばっかりやっていると書いてあるっ!」
「去年、なまはげさんとの約束でちゃんとゲームやった後は勉強もするという約束してるはずだともなあ……、勉強もしてるって書かれてねえっすかぁ?」
「オヤジほら」と台帳を見せるなまはげ勉強の(パンっ!)『べ』の字も書いてねぇぞ!
「孫と子あんまり甘やかして育ててねえか!」
「いやぁ、、そういうつもりはねえけどなあ」
「嫁の名前は光子って言うんだ? この光子、隣村から嫁になってきて15年も経つと書いてある。15年も経ったらここひと月くらい前から朝飯の支度(パンっ!)一回もしたことねえって書いてあるっ! 88なる婆さまにやらせてるって書いてんだ」
「(婆さまが)自分でご飯支度するから、嫁さ寝てれ寝てれって言うから」
うんにゃオヤジ! 何にも言い訳しねぇってこと。ほら、光子が朝起きできねぇ訳が(パンっ!)ちゃんと書いてあるぞ! この光子、夕方なればソワソワしだし隣近所のかあちゃんがた出てくるやつ待って毎晩(パンっ!)カラオケさ行ってるって書いてある!
「(私が)早く休んでしまうためにわからなかったもんなぁ」
うんにゃオヤジ! 親がこうであればいい子育たねえどぉ! オヤジの方からももう少し嫁のとこも注意してやんなべが」
「まあまあ、なまはげさんなまはげさん、とにかく台帳しまって」
「なぁんだ、まだいっぺぇ書いてあるんだぞ」と台帳をぺらぺらめくるなまはげ
「なんだずいぶん酒ば勧めるなあ、まさか酒でごまかす気でねぇか!」


立ち上がるなまはげ
「もう一回探して山さ深く連れて行かねばダメだ」
おぉおぉおぉおぉおぉぉぉおぉ。
「オヤジ、嫁孫みんな、どこさ隠した? 光子どこさ行ったんだ?」
おぉおぉおぉおぉおぉぉぉおぉ。
「(客に)光子の実家の母さんに似てるども」と客いじりするなまはげ
おぉおぉおぉおぉおぉぉぉおぉ。
「(安斎に)こっち山さもらっていこうか!」さらに客いじり。
おぉおぉおぉおぉおぉぉぉおぉ。
「どこさこれみんな隠れたんだ」
「今度来るまでにちゃんとしておきます。今回はモチで勘弁してください」
「まだモチでごまかす気だか! 今年だけだぞ、モチで勘弁してやるのは!」
「オヤジ、嫁、孫、言うこと聞かねば、あの山さ向かって手三つ叩け。いつでも来るからな! わかったかぁぁ!」
おぉおぉおぉおぉおぉぉぉおぉ。
「お客さんがたのことも、ちゃんとまじないかけたからこれから一年ケガや病気しないようにな、また来年も来るからな、元気でな。おぉおぉおぉおぉお


>>勝手に観光協会−−秋田編
http://www.discberry.com/kanko/kanko_akita.html
>>男鹿真山伝承館
http://www.namahage.co.jp/namahagekan/densyoukan/
>>なまはげ
http://www.namahage.co.jp/namahagekan/


数あるご当地ソングの中でも傑作中の傑作「なまはげ兄弟」