さまぁ〜ずがさまぁ〜ずであるために


クイック・ジャパン74」では、「さまぁ〜ずが、最近おもしろい。」と題した特集を行っている。
その中で、大竹一樹三村マサカズにそれぞれ10,000字インタビューを敢行している。
コンビ結成から現在までを振り返ったこのインタビューで、なにより驚くのは、この二人の共通認識の多さだ。普通、コンビにそれぞれ自分たちを振り返るインタビューをすると、やってきた事柄は当然同じながら、その時思っていたことや、思い入れの深さなどが違っていて、同じコンビの歴史を読んでいても随分印象が違って見えるものだ。
しかし、さまぁ〜ずのこのインタビューは、同じ人が両方に答えているのではないかと錯覚するほど似ている。デビュー直後からそれなりに売れた頃のことや初の看板番組「大石恵三」が終わり冬の時代に入った時の挫折感、そんな冬の時代にコンビとして使ってくれた「諸国漫遊記」への思い入れ、そして改名を前後しての再浮上、今すごくいい状態で仕事ができてる、という実感……、それらほとんどがお互いの共通認識として2人に刻まれているようだ。


そんな中、個人的に興味深かったのは、さまぁ〜ず(当時、バカルディ)冬の時代のエピソード。
大竹は当時を振り返ってこう語っている。

仕事の話はいっぱいあったんですよ。でも、来た仕事何もやんなかったんですよ。会社に行くと「おっ、王様来たよ」って、「ゴールデンタイムのドラマ蹴ったよこいつ」って言われながら、「お笑いしかしたくねぇ」ってちょっと尖ってたんですよね、仕事ないくせに(笑)。

大竹は「お笑い芸人」としての自分を確立するために、お笑い以外の仕事をしない、という道を選ぶ。

その頃の三村は、マイクを持った手しか画面に映らないようなレポーターの仕事でも、俺はやると。でも、お前はやるなと。コンビの笑いの部分を担ってるやつが、顔も映んないようなレポーターの仕事とかラーメン食っておいしいですねとかやってたら、コンビとして終わるからって。といって、別に金くれるわけじゃないんですけどね(笑)。

三村もその頃を振り返り、それを裏付ける。

俺は大阪の局とかいろんなとこでピンの仕事をしてたんですよ。でも、俺はあいつを大切にしたかったんですよ。あいつはひょうひょうとした不思議なキャラだったから、誰にでもできるような仕事はやんないほうがいいんじゃないかって言って。そういう仕事は全部俺がやるから、と。別にギャラは二人で分けてたわけじゃないんですけどね(笑)。

2人は苦しい時代に身を置きながら、戦略的にそれぞれ別の道を選び、コンビとしての力を蓄えていったのだ。

一人でどうにかする力をもうちょい身につけたかったんです。当時から大竹はいろんな人にすぐOKもらえたんですけど、俺は何やってもダメ出しの連続で。だから、腕を磨きたかったっていうか、修行期間じゃないですけど、いっぱいテレビの仕事したかったっていうのはあるんですよね。(略)やっていくうちに、実際に力がついてきたというよりか、どうにかなる精神が生まれ出してきたんです。


苦しかった冬の時代も、コンビを解散するという考えは、一回もなかったと口を揃える2人は、まだまだ現状に満足はしていない。
「いつかさまぁ〜ずの笑いを100%出せるような番組をやってみたい」と大竹が語れば、三村は「(ゴールデンの企画で)さまぁ〜ずっていうものをどう活かすかっていう」ような番組が作られるような存在にならなければ、と言う。

コンビとしての可能性というかね、今でもまだ、もうちょっと面白くなるんじゃないかって気がしてるんですよ。まだ、お互いできていないところもあるし、不器用な面もあるし、もうちょっと俺らはおもしろくなれるんじゃないかって気もするんで。(三村)

クイック・ジャパン74 (Vol.74)
Perfume/さまぁ~ず/銀杏BOYZ
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