「てれびのスキマ」的2008年ベストレギュラー番組

2008年印象に残った、レギュラー番組(新番組をのぞく)を、振り返りたいと思います。

1位 「爆笑レッドカーペット

2008年のテレビお笑い界を牽引したのは間違いなくこの番組でしょう。
お笑い界に「ショートスタイル」を定着させ、多くの新しいスターを生み出した功績はあまりにも大きすぎます。
期間限定という体で始まったレギュラー放送開始後もその勢いをとどまることを知らず、ジョイマン、もう中学生、Wエンジン、オードリー、ダブルダッチ、ナイツ、少年少女、フォーリンラブなどなど、この番組がきっかけとなって数多くの芸人を全国区にのしあげました。
おそらく、2009年も少なくても上半期くらいまでは、この番組を中心としてお笑い界は回っていくでしょう。そして、この番組の賞味期限が切れた後、テレビお笑い界がどのようになっていくかが興味深いです。

2位 「モヤモヤさまぁ〜ず2」

さまぁ〜ず大江麻理子アナがただ町をブラブラするだけ、という文字で魅力を伝えるのが非常に困難なこの番組。この番組のフォロワー的な番組や企画がことごとく失敗しているのが、その難しさと貴重さを示していると思います。
やはり何と言ってもこの3人の特別な関係性こそが最大の魅力なんでしょう。<関連記事>3人目のさまぁ〜ず、あるいは「モヤモヤさまぁ〜ず2」における大江アナの立ち位置
ただ一つの不満は、「検索ちゃん」と被ってしまっている*1放送時間。
なんとか、どちらかを移動してほしい、と切に願っています。

3位 「アメトーーク

2008年もまた、数々の名企画を連発して、その衰えのないところを見せつけました。
印象に残った企画を挙げれると、「ホリケン&ほっとけない芸人」「出川ナイト」「昭和アニメソング芸人」「徹子の部屋芸人」「エヴァンゲリオン芸人」「ゴルゴ13芸人」「地方冠番組芸人」「キン肉マン芸人」「家電芸人」「肥後という男」「レギュラーにしてもらえない芸人」「熟女芸人」「中学の時イケてないグループ芸人」「サウナ芸人」「黒沢ナイト」などなど、数限りないです。もちろん恒例の「プレゼン大会」や独特な切り取り方で面白い「アメトーーク大賞」もハズレなしでした。
2008年は出川哲朗が特に取り上げられる機会が多く、その鉄板ぶりは凄まじかったです。
そしてやはり、「アメトーーク!」の申し子と言っても過言ではない有吉弘行ケンドーコバヤシがいる回は、企画がいま一つだとしても絶対に面白くなる、という安心感がありました。
あと、「プレゼン大会」や「熟女芸人」で活躍したウド鈴木が2008年の裏MVPだと思います。

4位 「あらびき団

東野&藤井の名コメントと、時に「悪意」と呼ばれるカメラワークや編集で、この番組でしか光る事の出来ない(ような)芸人をスターへと導いた功績はもっと讃えられるべきでしょう。
「日刊サイゾー」の記事によると、“あらびき芸人”の代表格ふとっちょ☆カウボーイが「爆笑レッドカーペット」のオーディションに行った際、「あらびき団」で披露しているようなネタをしたら、「それは、ネタじゃない」じゃないといわれたそうです。「エンタの神様」では、「言うほど太ってないよね」と落選。すなわち、キャラになってない、と。
あらびき団公式パンフレット」には、そんな“あらびき芸”に対して、こう称しています。

「計算しつくしてやっている芸」ではなく、
「思いついたからとりあえずやってみた芸」それが
あらびき団」の団員たちの「あらびき団」なのです。


「とりあえず」という言葉に
「勝算」はありません。
しかし「とりあえずやる」
「とりあえずやってみた」という芸には
「勇気」を感じます。

あらびき団」のスタッフや、東野らがあらびき団員に向けているのが「愛情」なのか「悪意」なのか、個人的には断言できませんが、このような番組がなくなったらテレビのネタ見せ番組がもの凄く物足りない幅の狭いものになってしまいそうです。

5位 「わたしが子どもだったころ

お笑い番組ではないドキュメンタリーだけど、どうしても挙げておきたい番組です。
太田光ジミー大西中川家などお笑い芸人を扱った回に名作が多いです。
その人が子どもだったころを本人の述懐と、再現ドラマで構成されている「わたしが子どもだったころ」。
その再現ドラマの独特な雰囲気が不思議な魅力を持っていて何故か惹きこまれます。
特にほとんど無名ながらいい子役を使っていて、親役などの大人たちは非常に心をくすぐるような人選をしています。
あと、そのドラマで扱うエピソードも独特で、大きな事件を取り上げるというよりは、例えば太田光の時の「夏休みに友達と一緒に毎日、ある外国人の路上販売を手伝っていたけど、なぜか最後の日だけ、その外国人の前を何も言わず自転車で走り去ってそのまま手伝わなかった」など、なんか微妙な感じ。
けれど、ものすごく切ない映像に仕上がっています。<関連記事>ジミー大西が子どもだったころ

次点

昨年、「てれびのスキマ」で最優秀番組に推した「ゴッドタン」は、相変わらず面白かったものの、昨年からの上積みという点ではあまりなかったので入れませんでした。でも、もちろん現在のテレビお笑い界を代表する「バカの聖域」であることには変わりありません。
ゴールデンに移動になったことで過激さは失われたものの、吉本偏重のキャスティングには歯止めがかかった「やりすぎコージー」だけど、爆発力のある企画は生まれず、安定感のある番組という感じになってしまった。
他にも「検索ちゃん」「ザ・イロモネア」「ガキの使い」「タモリ倶楽部」らがやはり面白かった。

*1:クマグス」も重なってるし。