2011年テレビお笑い界を振り返る(番組編)

2011年も面白い番組がたくさんありました。
やや硬直した感のあった2010年頃までのラテ欄よりも多彩でワクワク感があったような気がします。
あと、震災の影響か、島田紳助引退の影響か、あるいはそれらとは全然違うかも知れませんが、ナインティナインダウンタウンの共演を筆頭になにかあるひとつの「箍が外れた」感じがしました。

お笑いテレビ番組大賞2011

・『クイズ☆タレント名鑑』(TBS)

2011年のベスト番組は文句なしで『クイズ☆タレント名鑑』だったと思います。圧倒的でした。
日曜20時という完全なるゴールデンタイムに、この番組が放送されているという一点だけでも「テレビってやっぱりおもしろい!」と言えるのではないでしょうか。
悪意と悪ふざけとテレビ愛に満ちた番組。
万人に分かりやすく、が主流のゴールデンタイムの番組にあって、「クイズ」という名目を傘に、「一見」では分からないネタもふんだんに盛り込みながら、もちろんひとつひとつ切り離しても抜群の爆発力のある笑い。そして、ナレーション、テロップを含めいたるところ、隙無く笑いの種をまいていく丁寧で大胆な作りこみ。
本当に心の底から面白かったし凄かった!
「ガチ相撲」「スター☆今の限界名鑑」「このオファー引き受けた?引き受けなかった?クイズ」「ギリギリ有名人が逃走中」「モノマネ芸人いる?いない?クイズ」などなど名企画連続なうえ、その種類も多彩。ついには「モノマネ芸人いる?いない?クイズ」から急にドラマが始まるという「GO!ピロミ殺人事件」まで登場。
作り手も、演者も、全力で楽しんでいるからこそ、視聴者も全力で楽しめるというお手本のような番組であり、テレビの魅力そのもののような番組でした。

・『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)

とんねるずのみなさんのおかげでした 博士と助手 細かすぎて伝わらないモノマネ選手権 Season2 Vol.2 「紅白モノマネ合戦〜深夜3時の奇跡編」(仮) [DVD]2010年辺りから息を吹き返したこの番組は2011年に入り、さらに加速。
細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」や「モジモジくん」「全落オープンシリーズ」などはもとより、「日村、時計を買う。」から始まった「買う。シリーズ」や「2億4千万のモノマネメドレー」などダイナミックに企画が発展する感じもその勢いを感じさせました。お互いの誕生日企画や「雪上運動会」「水泳大会」など、とんねるずの圧倒的な存在感と底力を見せつけられました。

・『ゴッドタン』(テレビ東京

ゴッドタン 第8弾: キス我慢vs照れカワ 恋するバラエティーパック [DVD]2011年も相変わらずのフルスイングの悪ふざけ。
時間帯がさらに深くなると、その悪ふざけ具合もさらに暴走気味に。
「マジ歌」シリーズ、「ストイック暗記王」「キス我慢」などの看板企画はもとより「マジギライ」「オオギリッシュナイト」「照れカワ芸人更生プログラム」などの新企画も次々と生まれて行きました。2011年屈指の名キャラ=トシムリンや、あいなや幸子などの新スターも誕生。もはや円熟の悪ふざけ!

・『オードリー春日のカスカスTVおまけに若林』(スカパーテレ朝チャンネル

「スカートめくり文字読みトーナメント」を筆頭に底抜けにバカバカしい、オードリーのコアでディープな部分の魅力が詰まった番組。で、ありながらひたすらそれがポップな色合いなのがオードリーならでは。

・『ロンドンハーツ』(テレビ朝日

完全に芸人を転がす方向にシフトチェンジ。それを決定づけるように2011年後半には有吉をレギュラーに。
有吉+竹山+ザキヤマの座組からの竹山イジり、「ポン村上」、フジモンのジュニアへのガヤなどこの番組から生まれ発展したものも多く毎回見逃せない番組に。

新番組オブ・ザ・イヤー2011

・『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日

2011年に始まったレギュラー番組の中で最も印象的だったのはこの『怒り新党』でした。
当初は有吉とマツコという旬な毒舌を並べただけの番組、などと思われていたが、蓋を開ければ、互いに認め合う二人の微妙な距離感を行き来するスリリングな面白みに加え、アシスタントである夏目アナの底知れない魅力が番組を数段面白くしていました。というよりも、「見れば見るほど感慨深い女だよ、夏目三久は」とマツコがいうように、アシスタントとは名ばかりでむしろ彼女の立ち位置の動きこそ番組の主役になることも。
枠移動でド深夜から23時台に昇格した際は心配されたものの「前のめりに倒れていきますよ」という有吉の宣言どおり、ますます3人の関係性に磨きがかかっていきました。さらに昇格後始まった「新・三大○○」の出来も毎回素晴らしく、もはやこの企画が始まるのが一番の楽しみになってしまうほど。

・『ウレロ☆未確認少女』(テレビ東京

劇団ひとりバカリズム、東京03という現役屈指のコント職人を集めた待望のシットコム。彼らに遜色の無い演技を見せた早見あかりや普通のコント番組には出ないような多彩のゲストも含め毎回毎回胸踊るような番組でした。
バカリズムのこれまでテレビではなかなか出てなかったチャーミングさが次々に見れたことも貴重な番組でした。あとは一刻も早く第2シーズンが放送されることを願うのみです。

・『ジョージ・ポットマンの平成史』(テレビ東京

突如として始まった「テレビ誕生100周年記念番組」「テレビ東京・イギリスCBB(もちろんそんなものは存在しない)共同製作」番組。
「スカートめくり史」「白ブリーフ史」「人妻史」「童貞史」などなどをテーマに綿密なリサーチとこじつけを駆使して、その歴史が語られる。『カノッサの屈辱』を思わせつつ、その斜め一歩前に進んだ感じの番組。
今のテレビでエロを見せるとめにはどうすればいいのか、を考えたのが先か、バカバカしい笑いを追求したら結果的に、今のテレビでのエロの臨界点に達したのかは「下山事件三億円事件に並ぶ謎」ですが、とにかく面白いのには変わりありません。しかも勉強になってしまうという。

ベスト企画

・「ガチ相撲トーナメント」(クイズ☆タレント名鑑

八百長問題で相撲界が揺れる中、「だから今相撲をやるんだよ!!」と開催された第1回大会。そして格闘技中継が地上波テレビ放送がなくなってしまった時には「バカヤロー ガチ相撲があるじゃねえか!」と第2回が行われたガチ相撲。
それはテレビ格闘技の、というよりもテレビそのものの魅力が詰まったような作品になりました。
あえて「負」のイメージのある芸人(選手)を集めて行われた第1回。「負」の物語が掛け合わされることによって起こる化学反応。
そしてより「夢の対決」感が重視された第2回大会。やはりそこには脈々と流れる物語が興奮を何倍にもしていきました。
プライドとリスペクトに満ちた土俵に次々と起こるサプライズとカタルシス!
ガチ感を全く損なうことのないお祭り感。
春場所を、そして一刻も早くDVD化を!

・「マジ歌選手権/マジ歌フェスティバル」(ゴッドタン)

「笑えるか? そんな元気はないか? 笑おうぜ!」というオープニングで始まった「マジ歌フェスティバル」*1
ものすごいクオリティだったこのイベントが「マジ歌選手権」の集大成で終わることなく、その後の第9回でも「前回」を軽々と超えてしまうとは……。
「トシムリン」「ジェッタシー」「風間カメラマン」「ヒロコ」などなど毎回、名曲、名キャラ、名パターンが生まれていく凄まじさ。

・「有吉被害者の会」(ロンドンハーツ)

この企画についてはこちらにも詳しく書きました。

・「2億4千万の瞳モノマネ選手権」(とんねるずのみなさんのおかげでした

石橋貴明50thバースデーパーティー」で披露された日村の宴会芸「2億4千万の瞳モノマネメドレー」をすぐさまダイナミックに独立した企画に。そのフットワークの軽さはもちろん、モノマネを見せるフォーマットとして抜群。芸の凄さとバカバカしさがまったく矛盾することなく同居したフォーマット。現在の『みなさんのおかげでした』の柔軟で挑戦的なスタンスを象徴するかのような企画でした。

・『オールスター感謝祭2011秋』(TBS特番)

島田紳助引退後まもなく行われた『感謝祭』。司会をリレー方式にしたことで、結果的にそれぞれの司会者の特色が顕わになるという興味深い番組に。出色は、ロンブー淳司会パート。『感謝祭』を違和感なく堂々と司会を勤め上げる。そしてなんといってもビートたけし。出てくるやいなや、問題までもたけし色に。完全に自分の番組へと変貌させ、またもやその圧倒的な力を見せつけました。ホントに凄かった。


その他、主なものを列挙しておきます。(追記するかもしれません)

*1:震災後1ヶ月に開催された。

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