4月4日に放送された『もしもツアーズ』の特番では、『めちゃイケ』のメンバーが出演。『もしツアにめちゃイケがやってきたから富士山で日本一のBBQやっちゃうぞSP』と題してコラボ企画が行われた。
番組終盤には、その中から、ほぼ同期であるキャイ~ン(1991年結成)、ナインティナイン、よゐこ(1990年結成)、極楽とんぼ(1989年結成)が集まり、ずんの飯尾、ホンジャマカ石塚とともに若手時代のエピソードを語り合っていた。いわゆる「第4世代」と呼ばれていた彼らの“青春時代”の葛藤が明かされた。
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彼らが出会ったのはデビュー後まもなく行われた青山円形劇場の「無印コントライブ」だった。
岡村: でもキャイ~ンの天野くんなんかはトガッてましたよぉ。
ウド: 青山円形劇場!?
岡村: お! 覚えてる?
加藤: 俺、はっきり覚えてる! ナインティナイン、キャイ~ン、よゐこ、極楽とんぼ、フォークダンスDE成子坂、ネプチューンになる前のジュンカッツ…、
ウド: あと、オアシズ。
岡村: 「無印コントライブ」って言って青山円形劇場でみんな集まってやって。そしたら、その時の天野くんが……(笑)。
天野: なによ!
岡村: うわ、キャイ~ンの天野くんや、と思ったらファーっと来て「なんか、天然素材ってやってんだって?」「あれでしょ、踊ったりしてるんだって?」って(嫌味)言われて。「すごいキャーとか言われちゃって」って。正直、天野くんのこと大嫌いやったもん!(笑)
天野: えーー! 衝撃!
岡村: 天野くんってこんな人やったんやって思ってたらウドくんが来て、「あー、ナインティナインだぁ!」って。「ナインティナインに会えたぁ!」。キャイ~ン、ちょうど(好感度プラスマイナスゼロ)になんねん。
天野: なんかがんばんないとやられちゃうって思ってたのよ。あの頃。
濱口: 尾崎豊に憧れてたから(笑)。
天野: 恥ずかしいよ!
岡村: 天野くんが一番怖かったよな。
天野: とにかく大阪からアイドル的人気のがわーっと来ちゃって、東京も負けたくないみたいな。
加藤: 天野くんは「天然素材」のことはどう思ってたの?
天野: ちょっと踊りはないんじゃないかなって(笑)。
岡村: (笑)。それあったからキャーキャー言われたけど。
天野: そしたら段々話していくうちに、どっちかって言うとそういうのはやりたくないって。
矢部: 俺は「天然素材」、一番キライやったからな。
天野: あ! だから話ができたんだ。
加藤: 矢部は不遇の時代だもんな。
矢部: そうそう。踊られへんし、ツッコミもホトちゃん(蛍原)がいるし、何もすることなくて最後、演出家にきぐるみ着さされたの(笑)。
天野: そういう思いが。
矢部: それは僕も悪かったの。何もできなかったんで。そんな時代もあったっていう。
天野: なにがきっかけで仲良くなったの? 先に俺、よゐこじゃない?
濱口: 有野と天野くんが『ドラえもん』の本で仲良くなった。
天野: 『ドラえもん』をあんなに一生懸命読んでる奴に悪い奴はいないって思って(笑)。
この天野と有野が『ドラえもん』がきっかけになり仲良くなったというエピソードは度々話されているがもっとも詳細に語られたのは昨年末に放送された『エニシバナシ』だろう。
濱口: 青山の時はまだバチバチ。
天野: 打ち解けてないのよ。
有野: 東京vs大阪になってんな。
天野: とにかくね、よゐこがオシャレな。ベレー帽にベストみたいな。彼らはパリジェンヌかな?みたいな。とにかくオシャレで、ネタも分かる人にだけ分かればいいみたいな感じの。間逆なのよ、俺たちの志向と。
濱口: そうねえ。
ウド: カッコよくて憧れてオシャレだし羨望の眼差しだったの。
天野: 人気もあったのよ。ナイナイよりあったと思うよ。
(略)
濱口: 俺らは東京ってオシャレな芸人さんたちがおるっていうイメージでいて。ごめんやけど、東京でなんて客に媚びたコテコテの漫才師がおるんやっていう(笑)。正直仲良くなかったもんね。お互い距離があったもんね。
初対面では最悪の印象だった二組が打ち解けるきっかけがマセキ芸能社主催のライブだった。
天野: それで次にまた会うんだよね。マセキさんのライブで。嫌いな感じだったかもしれない、俺も。あと嫉妬だよね、8割は(笑)。
有野: 8割も!(笑)
天野: 出川さんが司会やってって感じじゃなかったっけ?
有野: そうそう。
濱口: でも、まだトガッてたよ。だって出川さん司会で、出川さんとネタ終わりで絡むっていう流れだけど、俺らだけ断ってんねん。あの人とは絡めないって(笑)。ネタ終わりの世界観が壊れるからああいう人とは絡めないって言って。出川さんと共演NG(笑)。まさか、その後、「出川軍団」になるとは思ってもなかったけど(笑)。
天野: そのマセキのライブで楽屋が同じだったんだよね。一番初めに有野くんがいたんですよ。座布団がみんなのために積んであるんだけど、そこにもたれてマンガを読んでたわけ。でね。俺もまだとんがってる時代ですよ。「おお、そうきたか」と。これからお笑いライブやるからそんなにツンケンしたらいけないから、「一緒だねー」みたいな感じで言って、何読んでるのかな?って見たら『ドラえもん』なんですよ。『ドラえもん』の単行本じゃなくて劇場版のまとめてるやつあるじゃない。それを凄く面白そうに読んでるわけ。「コイツ、悪い奴じゃないな」って(笑)。『ドラえもん』の劇場版、あの歳であんな楽しそうに読める奴は悪い奴じゃないと。「『ドラえもん』好きなんだ?」「読む?」とか言って貸してくれて打ち解けたのよ。
濱口: そこは天野くんが壁を破ったんや。普通、有野はマンガを読んでるんやけど、それは自分に近づいてくるなっていう意思表示なの。
有野: そうそう。ゲームするときもあるねんけど、イヤフォンつけてるけど音鳴ってないからね(笑)。
濱口: バリアーやねん。そこを天野くんが破ってくれたから。
一方、ナインティナインとキャイ~ンは『お笑いウルトラクイズ』をきっかけに打ち解けていったという。93年の第13回大会(と、その直後の『ねるとん紅鯨団』)を機に岡村隆史が全国的にブレイクを果たした番組だ。
濱口: 俺らはそれで仲良くなったけど、ナイナイとキャイ~ンは?
矢部: 『(お笑い)ウルトラクイズ』やねんけど。
天野: 『ウルトラクイズ』で先に(矢部と)仲良くなった。『ウルトラクイズ』はたけしさんがいて、ボケの人たちがゲームに出るからツッコミがバスで残ってるわけよ。「どうしたもんかな?」みたいな話をしてああ、みんな同じ悩みを持ってるんだって。それで仲良くなった。
加藤: あの当時って日本テレビのお笑いウルトラクイズから若手ブレイクするみたいなのがあったよね。「人間性クイズ」か。
岡村: 俺らがそういうのやってる時にツッコミの人たちは出番がないから多分二人で話してたんだ。
矢部: それで喋ったな。
天野: 屈折してたわー。それでテレビ見てたらやべっちが仕切るようになってきてさ。あー、がんばらないとやべーなみたいな。
矢部: 俺、嬉しかったのは天野くんが本出した時に、「好きなツッコミ」って言って俺を書いてくれたの。
天野: 浜田さんと三村さんもね。
矢部: この三人は大好きだって。すごい嬉しかった。
その頃、キャイ~ンを除く3組はフジテレビ深夜のユニット番組『とぶくすり』のメンバーに選ばれる。その前身番組的位置付けである『新しい波』からの選抜だったが、キャイ~ンは同番組に出演していたものの『とぶくすり』には選ばれなかった。
加藤: 言ったら俺らほぼ同期でしょ。キャイ~ンはどう思ってたの?
天野: だから、いわゆるテレビの王道の流れがあるじゃない? 土曜8時もそうだし。じゃあ、次の若手で誰が中心になるんだ?って時に、冷静に見ててもやっぱナイナイだろうなっていう感じだったんだよね。それが悔しくて……!
岡村: 日テレでは特番(『ナイナイ&キャイ~ンのお笑い西遊記』)一緒にやったもんな。
ウド: 楽しかったよね~。
加藤: 天野くんの気持ちわかったけど、ウドちゃんって本心どう思ってたの? ウドちゃんって絶対本心見せないじゃん!
ウド: いやいやいや!(笑)
この頃のことも、『エニシバナシ』では話しており、実は『めちゃイケ』のメンバーになるのを「本心を見せない」ウドが頑なに断っていたという驚きの事実も明かされている。
天野: そこ(『とぶくすり』に入れなかった)の反骨精神はすごかったね。俺もう悔しくて悔しくて。今思うと当時何ができたわけでもないんだけど、変な自信もあるし、こんなわけねえみたいな。まあ悔しさを全面に出すこともできないくらい悔しい思いしながらいつか見てろ、みたいな。このグループには負けねえぞみたいな。仲とかじゃなくてプライドの問題みたいなところがあって。
ウド: あの時、(『新しい波』で)大喜利とかでやっぱりねえ……。
濱口: 当時みんなで大喜利するってやってた。
有野: あった! 天野くん座布団配ってた!
天野: それなのよ! それもねえ…、俺も進行は分かんないけど、「座布団配り……?」って。いや、座布団配りをやってる方にも申し訳ないけど。悔しかったのよ。
濱口: いや、でもキャイ~ンの絆というか、ウドちゃんに初めて頑固さを見た時があったけどね。これ、初めて言うけど、そこ(『とぶくすり』)でメンバーに入んなかったわけじゃん。しばらくして『めちゃモテ』になって。俺らも一回離れんねん。俺が(共演者の)本田みずほちゃんと付き合っちゃったから(笑)。で、『めちゃイケ』になるとき、もう一回呼び戻して貰ったのよ。でも、スタッフさん的には「平成の『ひょうきん族』」を作りたいからキャイ~ンも一緒に連れてきてくださいみたいな感じだったのよ。俺はその(交渉の)使命を受けたの。仲良いから。で、ウドちゃんに先に言ったの。「一緒にやろうよ」って気持ちを聞きに行ったの。そしたら、ウドちゃんは「天野くんがあの当時に座布団配りをやらされてたその姿が僕は許せないんです」って。「あの天野くんをないがしろにした姿が僕は許せないんですって。だからぐっちょんの頼みでも僕は聞けません」って。
天野: ああ、だから俺が相当悔しい感じがウドの前でも出してたんだね(笑)。
濱口: この絆は凄いなって。
そんなキャイ~ンの仲の良さを加藤も指摘している。
加藤: キャイ~ンっておかしいよね。コンビって四六時中一緒にいたら嫌な時期もあるじゃん。仲いい時期もあるけど、どん底みたいな楽屋に居るだけでもイライラするみたいなのが、コンビってあるじゃん。ないでしょ、キャイ~ンには。
天野: 全く無いかもね。
加藤: 後にも先にもキャイ~ンだけだよ。
天野: そう?
加藤: 今でもケータイで電話するでしょ?
天野: 電話なんか、俺の履歴見たら、ウドちゃんばっかりよ(笑)。
加藤: 凄い!濱口、有野に電話したことある?
濱口: 最近はないです。ライブ(の打ち合わせ)でもない。
有野: マネージャー経由じゃない?
加藤: ナインティナインもないでしょ?
岡村: 電話することはない。
矢部: 電話では話さへんな。
飯尾: 加藤さんは?
加藤: え? 俺? 逆に最近あるんだよ(笑)。「いつやるんだ、ライブ?下北か?」って(笑)。