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明石家さんまの眠らない哲学

ひと ブログ


今年の1月から、全17回にわたり「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載された「さんまシステム」。「ほぼ日」史上に残る傑作コンテンツである。
この連載の凄さは、さんまのあの引き笑いを

「クワー(笑)」

と、表現したことだけでは勿論ない。
常々「一体いつ寝ているんだ」と言われる明石家さんまの睡眠論を探るという対談のはずだったが、案の定、それだけでは終わらず、彼の芸人論やら、生きる哲学やらを喋りまくることになったからだ。
27時間テレビ」を期に、もう一度読みなおそうとしたところ、最初から「期間限定」と謳っていたとおり、もう見れなくなってしまっていた。あまりにも面白い対談なので未読の方は書籍化とかの際は是非とも読んでほしいところ。
ということで個人的に特に面白かったところを抜粋して引用してみたい。ダイジェストで。


まずは、さんまの眠らない生活。それがいかに凄いものであるかを表すエピソード。

さんま「で、ジミー(大西)なんかは、ずっと昔の話ですけど、ぼくといっしょに同じ生活をしようとしたことがあるんですよ。『若といっしょに生活したいです』と」
糸井「はい、はい」
さんま「当時、あいつはあいつでひとりで暮らしてたんですけど、そういうこと言うから『そんなら、オレのとこ、泊まれよ』って言って、ぼくの部屋に来たんです。そしたら、3日目で、壁に向かって歩き出した」
一同 (爆笑)


このような生活はいったいいつからだったのか。

さんま「睡眠時間はかなり少なかったですねぇ。やっぱり、しゃべるのが好きで、つねにおもしろいことを考えようとしてるから、いっつもテンションが高いんです。で、それがウケると、こう、もうひとつ、入るんですよね。」
糸井 「スイッチが入って、つぎのレベルに」
さんま「ええ。だから、中学校時代から、いや、まあ、小学校時代から(あんまり寝ない)」


この後、次第に人生論や芸人論を語り始めるさんま。
特に、その白眉は、連載第8回の「負けてるときは」。

さんま「やっぱりぼくらはね、期待されたかと思えば、そっぽを向かれる。そういう人のイヤなところがもうのすごくよく見える商売なんですよ。だから、その、ダメになったときの、人の手のひらの返し方とかを目の当たりにするんですよ」
糸井「あぁー。やっぱり長く続けていくと、そういう経験は多くなるんですか」
さんま「多くなる。どんどん返されます、ええ。で、いいのが続くわけないですから。ダメなときもあるんです」
          (略)
さんま「もう本当にギャンブルの『流れ』はね、お笑い芸人の人生にはかなり役に立つ。もう、それはね、いってみれば、『ダメなときにどう止めるか』これだけなんですよ」
糸井「あー、なるほど」
さんま「負け分をどうおさえるか。そこはもう、テクニックもあるし、計算もあるんですけども。ぼくがいちばん、胸に刻んでいる名言があって、(略)ジョージ・フォアマンとモハメッド・アリが試合したときにアリが言ったんですけど、『わざとボディを打たせるんだ』と。どういうことかというと、『わざと打たせたボディは効かないんだ』というんですね」
糸井「あぁー、いいですね」
さんま「これはかなり、役に立つんです。とくに、お笑い芸人とかタレントにはたぶん、必要なことばだと」
糸井「うん、うん」
さんま「やっぱり、『あかん』というときはなにをやってもダメなんです。そういうときには、打たせなきゃいけない。わざと打たせたら、耐えられるんですよ」
糸井「はぁ、はぁ、はぁ」
さんま「ところが、『オレは大丈夫だ』と思って、行って打たれると、効くんですね。さすがモハメッド・アリっていう」


この後も至極の言葉が続く。

さんま「だからね、宝探しとか好きなんですよ。オパール探しとか、砂金とか、すっごい好きですね。あの、ハズレをつかむ快感というか‥‥ 」
糸井「うん、うん」
さんま「はい。いやもう、絶対ぼく、そうですね。あの、そこを楽しみたいと思って生きてる」
糸井「はい、はい」
さんま「だから、ダメなのに追い続ける」
       (略)
さんま 「負けたわ、今日は」って言いながらね、『‥‥でもほんとうは、もっと(負け分が)行ってたな』って思うときのほうが、勝った感があるんですよ」
               第11回「ハズレをつかむ快感」より

さんま「(仕事の時間より) 考えてるほうが絶対長い。それも困ったもんやなと思いますけど。そんな商売、イヤですよね。考えに考えた結果がよくなかったりね。それは、悲しいですよ。練習して、練習して、練って、練って、練ったものがウケずに、その日、ポンって言ったことばがドーン、ウケる」
糸井 「『うんこ』がウケちゃう」
さんま「『うんこ』がウケるっていうね。悲しいというか、ものすごく切ない商売だと思うときがありますね、ええ」
      (略)
さんま「ということは、さっきの話に戻りますけど、ものすごくムダなことを一所懸命やってる自分がやっぱり好きなのかもしれませんね」
糸井「ああ、それはそうでしょうね」
さんま「だから、寝ないでやるんでしょうね」
               第13回「考えてる時間」より

さんま「いや、ぼくもね、改めようとか、こういうふうに生きてみようとか思ったことは何度もあるんですけど、もう、本当にダメですね。ダメなのはわかってるんですけどね。いまさらダメなところを取り返せないから。あの、追いつかなかったんですよ、すべて」
           (略)
さんま「だから、ぼくは、改めようとか、いろんなこと思いましたけど、追いつかなかった人生で終わるんだろうと思うんですよ」
糸井「できることは、いつも生でいることだけですね」
さんま「そう思うんですよ。たぶん、どうやっても悔いは残るでしょうから。『悔いのない人生を』なんて言う人はね、なにか違うんじゃないかなぁと思うんですよね」
             第15回「追いつかないんですよ」より


そして、最後に今のさんまの哲学を形づくった師匠笑福亭松之助の言葉。

さんま「我々の弟子稼業というのは、掃除をさせられるじゃないですか。で、掃除をしていると師匠が、『それ、楽しいか』って言うんです。『いいえ』って答えると『そやろ』って。『そういうのが楽しいわけがない』と、おっしゃるんですね」
糸井「うん、うん」
さんま「そのときに、師匠に、『掃除はどうしたら楽しいか考えろ』って言われたんですけど、そこでしたねぇ。あの、掃除なんて、楽しくなるわけがないんですよ。ところが、『楽しくなることを考えてることは楽しい』。っていうところにね、18歳のときに気づかせていただいたのが非常に助かりましたね」
              最終回「師匠」より


他にも「ちんちんにシリコン」の話とか引用したい部分はいくらでもあるのだけどキリがないのでこの辺で。
いやぁ、改めて面白すぎる。