永野の“メジャー志向”

最近、テレビで永野をよく見ます。
ほんの少し前まで「カルト芸人」などと言われ、テレビ向きではないなどと評されていたとは思えない活躍っぷりです。
最近ではスマホゲーム「剣と魔法のログレス」のCMにまで抜擢されました。
また、7月21日発売の写真週刊誌『FLASH』(8/4号)では、「あなたはキモ芸人・永野を知っているか?」と特集も組まれる勢いです。

(※画像をクリックすると「『FLASH』捧げる歌」動画に飛びます)


その特集の中で永野はインタビューに答え、現在の自分の状況についてこう語っています。

「『もう40歳なんだから』と言われるんですが、それがいい“フリ”になってるみたいです。長くやりすぎて何が面白いのかわからなくなっていますが(笑)。以前、GLAYのMVに出たんですが、そのときの監督に『永野さんは見る人を最初は引かせて、最後うっちゃりで勝ちますよね』と言われたんです。最終的にはネタではなく“人柄”と“力技”が武器なのかもしれません(笑)」

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「ずっと地下の劇場ばかりに出ていたので、まさか自分が子供にウケるとは思ってなかったです」


また、テレビのバラエティ番組に特化した雑誌『Bananavi!』vol.2にも「注目芸人」として登場しています。
「追い風は感じます」と答えた上で、それが吹いてきた時期について振り返っています。
本人の実感としては、毎年のように「今年くる芸人」として挙げられるけど、去年『さんまのまんま』のお正月特番や『アメトーーク』の「パクりたい-1グランプリ」に出て「キタキタ!!」と思ったら、すぐに落ち着ついてしまった、だから今年もダメかと思っていたら、『シューイチ』や『スッキリ!』といった午前中の番組に呼ばれるようになった、と。
確かにこれまで深夜番組でしかほとんど見れなかった永野がよく午前中の情報番組のちょっとしたネタコーナーに呼ばれているのをよく見るようになりました。
その理由を問われ、永野はこう自己分析しています。

「余裕が出てきたんでしょうね。僕がじゃなくて日本が。景気がいいヤツが欲しくなってきたみたいな。あと数字もありますね。去年40歳になりまして。歳を重ねるほど面白いし、若い子たちも安心して応援してくれるというか」

そう真面目に語る永野ですが、すぐに「深いこと言おうとしましたけど間違えました!」と言って「ただリズムネタがハマって、ブームに乗っただけです!」と言い直しつつ続けます。

あと服装がカラフルになったし、(身体に)肉がついてきたし、髪も良い感じで。ある意味ビジュアル系ですよね、ワタシは。


今年の4月18日(土)、19(日)の2日間、下北沢に総勢約120組の芸人が集結した「下北沢大興行」が行われました。
その内のひとつに「アルコ&ピース寄席」と題されたライブがありました。
出演者はハリウッドザコシショウ、新宿カウボーイ、馬鹿よ貴方は、ピーマンズスタンダード、マシンガンズ……そして永野といういわゆる「男受け」する芸人ばかり。そのエンディングトークである芸人から、ハリウッドザコシショウと永野がイジられていました。

意外とメジャー志向」(大意)

と。もちろん、これはイメージとのギャップで笑わせる文脈で言ったことだと思いますが、結構核心をついているのではないでしょうか。
カルトな味わいを残したまま、やっていることはポップでもある。
僕はその頃の永野の活躍を思って何だかすごく腑に落ちた感じがしたのです。


それを裏付けるように、先出の『Bananavi!』のインタビューでは、「永野さんに憧れて」と入ってくる芸人が多いという話題に「そう言っとけば『オレお笑い詳しいぞ』感があるから」とバッサリと切り捨てて、「ムカつきますよね~」と言って続けています。

「僕は軽い存在になりたい見た目とか顔とかで笑って欲しい。ネタは正直弱いですからね。そこ太文字にしてほしいくらい。『永野はネタは弱い』って。(略)世界観とか、“オレのこの内面を~”的なので20年間売れなかったんですけど、見た目とか声をおっきくしてみたらね。あと動きも」


また、7月29日放送の『なら婚』で行われた「結婚式テッパンネタ選手権」に出演した永野。
ネタを披露した後の、司会の極楽とんぼの加藤やゲストのロバートの秋山らとトークでも“メジャー志向”を伺わせる話をしています。

加藤: 昔、永野くんすごいシュールなネタやってたもんね。
永野: そうなんです。ラーメンズ意識してて。
秋山: (笑)。
加藤: 随分変わりましたね。
永野: やっぱり歳も取りましたし、もう潰しきかないんでね。
加藤: ブハハハ!
永野: 今更ラーメンズじゃないだろって。
加藤: いやいやいや(笑)。
    (略)
永野: 守るものもできましたし。
加藤: 結婚もされたの?
永野: 結婚もしました!
加藤: それで全然変わったんだ。
永野: 最初、嫌でした、こうやってやる(腰振る)の。プライド高かったんで。強い酒飲んでました、その時は。ですけど今はもう、やっぱ嘘ついて生きていくのやめようと思って。専門学校卒なのにラーメンズと同じ)多摩美大卒みたいな雰囲気出してたんで(笑)。
加藤: これに転換してどれくらい?
永野: 3年ぐらい経ってるんですけど、最初の方の映像を見ると、プライドがにおってそりゃあテレビ出れないよっていう。
加藤: 弾けてない?
永野: なんか、こう今まで応援してたお客さんに言い訳してる顔してた(笑)。
加藤: どうですか、奥さんはガラッと変わったのを見て。
永野: テレビでてることに喜んでいます、今は。『ライブとかは出なさんな』って言われてますね。
加藤: ブハハハ! ライブ出たら昔みたいに戻るから?
永野: はい。ライブで自分を詰めたらハマっちゃうから、出なさんなって(笑)。

もちろん、ここで語られていることは半笑い的なボケで言っている部分もありますが、いくばくかの“本音”がにじみ出ているのではないでしょうか。