立川吉笑はなぜ「お笑い芸人」ではなく「落語家」になったのか

先日、「水道橋博士のメルマ旬報」の忘年会がありました。
二次会には他の忘年会が終わって落語家の立川吉笑さんも駆けつけてくれました。
吉笑さんは処女作『現在落語論』が完成したばかりとあって上機嫌。その場で、その本の編集を担当した九龍ジョーさんからできたてホヤホヤの本を初めて渡され感激しておられました。僕も初めて自分の本ができたときの感動を思い出し胸がいっぱいになりました。
二次会も終わり、その後、九龍さんに率いられ僕らはゴールデン街に移動。
そこで“事件”は起きました。


隣のお客さんと喋っているうちになぜか変な空気になり、「落語を見せてくれ」という流れになってしまったのです。
プロの芸人に素人が簡単に芸を見せろという例のアレです。
吉笑さんはそれでも落語家の矜持からか、少し長めの小噺を披露したのです。
それはとてもよくできた小噺で面白かったのですが、既にあまりよくない空気になってしまっていたので、端から笑う気なんてなかったのでしょう。スベった感じになってしまったのです。
そのお客さんが帰った後、吉笑さんは次第に気持ちが昂ぶっていき泣いてしまいました。
それははたから見ればカッコ悪い光景かもしれませんが、僕にはそうは思えませんでした。
あまりにカッコ良かったのです。
「面白い」ことで笑わせたい、そんな思いがほとばしっているように思えました。

続きを読む