『27時間テレビ』の放送を終えた後の一発目のラジオ『ナインティナインのオールナイトニッポン』(7月28日深夜放送)では「裏話がなければラジオじゃないじゃん!スペシャル」として『27時間テレビ』の裏話を二人が率直に語り非常に興味深いものだった。
その放送も1時間を過ぎ、『27時間テレビ』の話題もひと通りしたところで突然、
岡村: おいおいおい、
矢部: スペシャルゲスト来ましたよ、みなさん!
岡村: マジかいな?
矢部: スペシャルゲスト国民的アイドル中居正広さんです!
と、もう一人の総合司会中居正広が登場した。
中居とともにもう一度『27時間テレビ』を振り返る3人。
とても真っ只中で司会をこなしていたとは思えない冷静な視線と的確な分析で振り返る中居。それは驚嘆に値するもので、現在のテレビ界随一の司会者としての能力の高さの一端を窺い知ることができる。
「佐野、画に入るな!」の真意
矢部の100キロマラソンのゴール直前。岡村が合流し、二人でゴールに向かうというシーン。
そこで、中居は二人がともに走るカットの中に実況の佐野アナが映りこんでいるのを見つけ、何度も「佐野、画に入るな!」と叫んでいた。コレに関して一部では「佐野アナが可愛そう」などの批判の対象になっていたようだし、中居が来る前には矢部も「結構熱くなってたからマジな感じで」言っていたと*1振り返っていた*2。
中居: みんな解釈おかしいんだよ。
佐野がずっと走ってたのよ、(ナイナイの)横を。俺はそれが可笑しくて。みんなに佐野の可笑しさに気付いて欲しかったの。佐野の面白さに。何かさ、(電波用の)ショルダーバック持ってて、あれが可笑しくて、みんなさ、二人しか見てないのよ。「佐野ぉー、お前見きれるなぁ、どけぇー」って言ってたの。そしたら一回どいたのよ、で、また出てきたの。それが可笑しくて。
矢部: カットが変わるからどこかしらに写んねん。
中居: それが可笑しくて。笑ってはいけないんだけど、
矢部: 中居さん、でもその面白さはたぶん伝わらない(笑)。
中居: 佐野の呼吸とかも荒くて、(それで実況してて)それが可笑しくて。
テレビを知り尽くし、しかもそのテレビ的なモノを軽くバカにしているからこそ、全員の感情が昂っているあのシーンで、あのツッコミが出てきたのであろう。番組を俯瞰して見ていなければ絶対にできないし、あの空気の中やってしまう強心臓っぷり。ちょっとやそっとでは感情を揺らさずコントロールし続けるスゴさが如実に出ている。
岡村が「ホンマの総合司会はキクちゃん」と何度も助けられたその司会っぷりを絶賛する中、中居は再び「俺はやっぱ一番評価して欲しいのは佐野の走り」と笑う。
中居: 終わったあとに佐野に「入り込んでるの面白かったなぁ」って言ったら「ずっと言ってたじゃないですか、『映ってるぞ』って。何回も避けてたんですけどはいちゃうんですよね」「もっと入ったほうがいいよ!」って。あんだけ二人が涙、涙で走ってるのに後ろででっけえショルダーバックしょって(笑)。
ナインティナインの仲
『アカン警察』パートでは、『27時間テレビ』決起集会として岡村が発起人となって中居や矢部も参加した飲み会の隠し撮り映像が放送された。これは中居らが機転を利かせて急遽撮影したものだった。
それに対し、岡村が「ありがとうな。可愛かったって評判ええのよ」と言うと、ここでも冷静な中居は「『可愛かった』『評判が良かった』っていう理解(の仕方)が間違ってるんじゃない?」と返す。
岡村: 俺も『アカン警察』で使うと思ってないからさ。
中居: 俺も何で使うか分からなかったけど、なんか面白いことになってるから。矢部っちも来てるでしょ。
岡村: 『めちゃイケ』の(スタッフの)ブースカがカメラ買ってきたほうがいいんじゃないってなってカメラ買ってきて回してたみたいやから。面白かったなぁ。
中居: 覚えてないでしょ?
岡村: 酔っ払ってるなぁって(いうのは分かった)。すごい気持よく酔っ払ってるなぁって。
矢部: オモチャやもんな、電池の入ってるオモチャみたいな動きやもん。
岡村: 俺もこんなに動くんやって思ったもん。
中居: 楽しそうだったよ。
岡村: 楽しかった。決起集会やからね、『27時間』の。
中居: でも、それを見てる矢部っちも楽しそうだったよ(笑)。
矢部: お前はそんなん好きやな。コンビ間のイジり。
中居: 違う違う(笑)。
岡村: 俺ら一生懸命やってるのに全然反応してないみたいやったやん。
中居: 見てたよ、で、なんか楽しいんだろうなぁって。それを見てるのは俺も楽しいんだけど、パッと矢部っち見たら、それを微笑ましくタバコ吸いながら見てる矢部っちが、ああ、矢部っちも楽しいんだなぁって。あぁ、ナインティナインってお互い好きなんだなぁって……。気持ち悪ぃって(笑)。
ジャルジャル福徳のこと
『すぽると』パートでの「太一、大丈夫?」と視聴者には分かりにくい上に、しつこかった中居のボケツッコミを思い出したかのように批判する岡村。
岡村はその流れで「知ってるか? 『すぽると』のところ大事件になってるの?」とあの3on3コントの話題を振る。「え?知らない、何?」と中居。
『すぽると』のコーナーで「3on3合コン」という体で、岡村、中居、福徳と美女アスリートが3on3のバスケで対戦する企画があった。しかしここで岡村が途中から福徳のほか『めちゃイケ』メンバーからボールをぶつけられるという展開になった。ネット等では「イジメじゃないか」と“大炎上”し、特にジャルジャル福徳への批判の声は目も当てられないほどヒドいものだった。
これに対し番組冒頭で岡村は「今、たぶん福徳が一番かわいそうな状態に陥ってる」「恐れていたことが起きた。卓上の27時間テレビが出てしまった」「コントをやりたかった。でも生放送で時間がない。巻きが出る。ディレクターはディレクターで『岡村にボールをぶつけなければ』ということに頭がいってしまっていて、フリが浅かった」「福徳は福徳で自分が筆頭になって仕掛けていかなくちゃあかんかった」「あそこは『すぽると』ではなく『めちゃイケ』のディレクションですから、心から恥じる」「いじめちゃう。視聴者ってもっと頭いいと思ってた」「ちょっとコントに失敗しただけ」「俺も悪い。『これ、なんなん?』って言ってもうたから」*3などと振り返っていた。
岡村: その時も中居だけが言うてたやん、福徳に。「もうちょっと軽くポーンと当てなきゃ」って。
中居: そう。一発目は軽くポーンってやってから、徐々にブワーってやってかなきゃいけないのに、あいつ一発目から力入って。CM中に「一発目からやっても意味わかんねえから」って(言ったの)。
矢部: アイドルが(笑)。アイドルが芸人さんに(笑)。
岡村: でも、出るのよ、カンペで。
中居: 分かるんだけど。あの子も悪くないんだけどね。
岡村: 悪くないよ!
中居: 一発目だから、ちょっと外し掛けだから。ポーンと当たって「どないや?」って後ろ向いたら、後ろからポーンってじょじょにやればいいのに、あいついきなりやるから、「お前さ、一発目強いから、意味が分かんなくなっちゃうから、弱めにやれ」って。
岡村: 福徳は福徳ではっぱかけられてんねんって。一発目頼むぞ、と。お前が火付け役やから頼むぞって言われてからの気合入ってのアレやったから。
仲間をかばい続ける岡村。それに対し、どこまでも冷静な中居。
中居: でも、珍しいじゃん、『めちゃイケ』に嫌われる(役の)人がいるって。おいしいじゃん。
岡村: だから俺もええんちゃうかって。出てくるたんびにブーイングって面白いやんって。
中居: 本人ちょっとへこんでるの?
矢部: ちょっと気にはしてるな*4。若いしな、まだ。
中居: あそこはちょっとグダったもんね。(岡村の)「ヘイヘイ!」のくだりもあんまり分かんなかったもんね。
矢部: 中居くん、もう作家みたいに見えるで(笑)。
中居: え?(笑)
そして最後にはあまりにも中居らしい行動で落とす。
中居: あん時も矢部っちがいたらどうすんだろう?って思って見てた。俺、一回も(岡村にボールを)投げなかったもん。これ、ダメだと思って。
岡村: そういうところがお前(ズルい)!
矢部: 投げるよな、普通(笑)。
さすが、としか言いようがない。
番組ED。
「笑顔のまんま」が流れ、矢部がいつもの「わぁわぁ言うております」と言いかけたところで、件の福徳が登場。
中居の「あそこは軽くポーンと」投げなければいけないという発言にいてもたっていられずタクシーに飛び乗りスタジオに走ったという福徳。ギリギリ間に合って声をしぼり出し戦おうとする姿こそ芸人の芸人たる所以で、グッと来る。中居の醒めた視点が、熱い芸人たちの心に油を注ぐ。きっと次回以降の放送でそれを大きな「笑い」に変えてくれるだろう。
* * * * * * * * * *
その福徳登場の直前、「笑顔のまんま」が流れる中、
岡村: 『27時間』が終わって、「今日はお疲れ様でした」って言ってくれる女子が欲しいよな?
中居: 僕もそれ、感じたなぁ。
などとしみじみ語り合った二人。
ちなみに放送終了後。
度々「オレ、どうやって帰ろうかなぁ・・・」と言っていた中居さん。放送終了後、少しスタジオで話した後、「じゃ〜、ちょっと乗せていってよ。」と、岡村さんに車で送って欲しいというと、岡村さんは「えー。しゃーないなー」と言いながら、助手席に中居さんを乗せ、一緒に帰っていかれました。(『ナインティナインのANN』放送後記より)