テレビ名シーン採録:グランドキャニオンの近くに住んでる人たちには悩みはないのか!

昨日のエントリ「マツコ・デラックスの武装と幸福論」でも紹介したマツコ・デラックス中村うさぎ出演の『ボクらの時代』。
前述の記事ではマツコの発言に焦点を当てて紹介したが、中村うさぎの発言も非常に面白かった。
マツコは彼女のことを「正しいことを見つけようとしている人なの。世の中にとってはじゃなく自分にとって」と評した。
中村がマツコに悩み相談した際、マツコはあるアーティストのエピソードを紹介したという。
そのアーティストは、中村のようにグチャグチャな煩悩だらけの業の深い人生を歩んで、そういうグチャグチャした歌を散々作っていたという。

沖縄にいっぺん帰って、ゴミ拾いを始めたのよ、ひとりで。それに賛同する人が集まってきてものすごい大きなムーブメントになって、最後テーマソングまで作り、なんか彼女の中からカルマみたいなのが消えた感じがしたのよ。彼女は自分が歌をうたう行為を排泄行為だと言ってたのね。うんこを垂れ流しているのが私の歌だって言ってたのよ。そういう人がさ、いい綺麗なオネエちゃんになったのよ。(マツコ)

それを聞いて中村は号泣したのだという。

そういう話をされて、私はさ、「なんだよ、こんなに苦しんでさ、こんなにグチャグチャに生きててさ、そんで、うんこみたいな文章私も書いてよ、それで行き着くところがエコかよ!」って悔し泣きしたの(笑)。

そんな二人の話を聞いていた株式トレーダーの若林史江は、またもその浅はかな見識で、薄っぺらい常套句を口にする。
その言葉が、中村うさぎに火をつけた。

若林: たとえばさ、グランドキャニオンを観てみたりとかさ、何か変わるかもよ。そういう大きなものを観たら。
中村: なんだよ、それっ!
若林: どんだけ自分がちっぽけか分かるよ。自分の悩みがどんだけちっぽけで……。
中村: だからって何よっ! あたしの人生にとってはその悩みが大きな悩みじゃない! あのね! 「大きな宇宙のことを考えよーう、大きーい宇宙の中の地球なんてこんなにちっぽけな星だよ。その星の中での私たちなんか、ひとつひとつちっぽけな存在だよ、悩みなんかちいせえー、ちいせえ」とか言ってる奴に限って、本当にちいせえ悩みしかないんだよ! ていうか、大きいものと比べて、自分の悩みが小さいなんて思う必要ないよっ! 大きい宇宙が私の人生に何してくれるって言うのよっ! あたしはあたしの人生を自分で生きていかなければいけないのにさ! グランドキャニオンだって! あたしはちっぽけだって! それがなにさ! ああ、ちっぽけさ! ちっぽけだけど一生懸命生きていくのが人間だろっ! うふふ。
マツコ: 笑えないわよ今のは。何最後に照れ笑いしてるのよ。
二人: (苦笑)
中村: じゃあ、グランドキャニオンの近くに住んでる人たちには悩みはないのか!
若林: あります、あります……。
中村: あの女が他の男に心を移した……、とかグランドキャニオンの畔に住んでったって悩んでるわっ、そんなことで!
マツコ: グランドキャニオンの畔に住んでる人はいないだろうけどね(笑)。生きた心地がしないわ。

これも濃厚です。読んでると目を背けたくなるほど。