読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

NHKコント番組の作法(『サラリーマンNEO』の場合) 

4月8日から今期は曜日を木曜日に変えて、新シリーズが始まる『サラリーマンNEO』。
今や、NHKのみならず、現在の日本を代表するコント番組のひとつにまで成長した同番組。
しかし、その立ち上げには、NHKならではの様々な試行錯誤があったようだ。
その様々なエピソードを、立ち上げ時からメインの構成作家として参加している内村宏幸*1が『内村宏幸のラジカントロプス2.0』で明かしていた。


『サラリーマンNEO』が始まるまでのNHKのコント番組といえば『お江戸でござる』などのような、いわゆる“演芸コント”寄りな番組しかなかった。
だから、NHKの人脈にコントを書ける作家が、そもそもいなかった。
そんな状況で内村に声がかかった経緯を本人が述懐する。

コントを書ける作家を探してるってことで最初の立ち上げ時のプロデューサーの方の大学の後輩が、フジテレビの『笑う犬』をやってた小松くん、という繋がりがあって、小松くんが、プロデューサーから「コント書ける作家紹介してくれ」っていわれて、僕のところに話が来たんです。


正直、僕もNHKのバラエティっていうと、演芸というようなイメージしかなかったんで、ちょっとどんな番組になるかまったく分からなくて、正直、あんまり信用してなかったんですけど(笑)、
でもま、話を聞いていくうちにそういうらしくない番組というか、今までやった事ないような番組をやりたいんですけど、みたいな話で。
「それじゃ、僕、いくつかコント書いてきます」って言って僕がこう言うのやりたいって言ったらこういうのやりましょうってなったんです。

当時、NHKは数々の不祥事が起きてバッシングにあっていた頃だったという。

一番最初は2004年だっと思うんですけど、今、ディレクターをやってらっしゃってる吉田(照幸)さんっていう方がNHKにいて、
その方が「NHKらしくないコメディをやりたい」っていうので、そもそも企画を立ち上げて、
それがちょうど当時NHKでいろいろ問題が起きた時期で、そういう時なんでお笑い番組できないんじゃないかって思ってたらしいんですけど、
ところが、そういう時期だからこそ、そういう「新しいことをやろう」というのが局内でもあったらしいんですね。
一時はホントに白紙になりかけたんですけど、なんとか、試作というか特番をやることになって、それを3回くらいやったんですよ。

そのパイロット特番が評判を呼び、レギュラー化されたわけだが、ほとんどノウハウがないところからコント番組を生み出すのは相当な難産だったようだ。

演芸番組っていうのはありましたけど、正統コント番組っていうか、いわゆる民放でもやってるようなのは誰もやった事が無い。
だから(立ち上げスタッフの中に)僕しかいなかったんですよ。コント番組やったことある人が
スタッフさんも、カメラさんも、照明さんも、美術さんもコント番組がどういうものかを分からなくて、
そこからですよね、コント番組とはどういうものかっていうのをみんなに意思統一というか。
たとえは悪いですけど未開の地に野球を教えに行くような(笑)。
ホントに探り探り。ホントに最初の頃は(細かいところまで)話しあって。


ここで明かされたNHKのと民放の違いは、まさにコントのようで興味深い。

スタッフの笑い声

民放だとよくスタッフの笑い声とか入るじゃないですか。
それを、笑うのか笑わないかということで会議を(笑)。
「これはどうしましょうか?」と。NHKであり得ないじゃないですか、そういう番組って今まで。
スタッフの笑い声が入ってるなんていうのは。
それをやるのか、やらないのか、と。
これは大きな分岐点だぞ、と、NHKの歴史を塗り替える(笑)。そういうところから話しあいましたね。
最初の頃は、結局やろう、ということになって、現場が面白ければ自然に笑おうってことになったんですけど、結局最近はほぼやってないですねぇ。

スタッフのシフト

驚くのは、NHKではじめてやったんですけど、毎回来るスタッフさんが変わるんですよ、収録のたびに
シフトがあって。だから固定のスタッフがあんまりいない。これはまずびっくりしたんですけど。
これはNHKの凄いところだと思うんですけど、カメラマンが大河を撮ってる人だとか、そういうところから来るんですよ(笑)。
照明さんもドラマを撮ってる人とか。NHKでは大御所と呼ばれる人が、コント番組に来て
あんまりにも偉い人が来るんで、ディレクターが指示が出来ない(笑)。その人のプランに従うしかないって時もあるんですよねぇ。


逆に民放ではなかなか出来ないNHKならではの工夫も凝らされた。

ほぼお笑い芸人のいないキャスティング

そこが、まず民放と区別しようと。最初から。それもやっぱ吉田さんの考えだったと思います。
やっぱり、NHKで芸人さん使ってコント番組やっても(民放には)かなわないっていうところから、区別するために、サラリーマンを描くんだったら、やっぱちゃんと役者さんを使って描いた方が面白くなるだろうと。

シーズン制

これはたぶん日本で初めてだと思うんですけど、でもま、海外ドラマとかでは当たり前になってるんですよね。
で、コント番組って毎週続けていると、どうしても疲弊が早いんですよね。
ネタ切れというか、おんなじ事をやってるんで、それをまあ、吉田さんの考えで、避けたい、と。
長くやれる番組にしたいっていうんで、これもNHKだからできるんだと思うんですけど半年やって半年休んでっていう。そうしないと観てる方も飽きてしまいますしね。作る方も大変ですし。

*1:もちろん言うまでもないが、内村光良の従兄。通称あんちゃん。