芸人の芸人による芸人のためのネタ批評


年末の番組で最も印象に残ったのは、地味ながら満足度の高かった「爆笑問題の検索ちゃん・芸人ちゃんネタ祭りスペシャル」。
約90分の番組でわずか6組が時間無制限でネタ見せという非常に芸人愛に満ちた内容でした。
のびのびと通常のテレビでやるよりも長めに披露するネタは、やはり最高。
そしてもっと最高なのはそれに対する互いにリスペクトして「お笑いファン」のように嬉々として、プロならではの視点で批評する芸人達。
それが、あまりにも面白いので書き残しておきます。

陣内智則『変な校歌』

太田「あれ、歌ってるのは誰なの?」
陣内「本物のオペラ歌手に頼んだんですよ」
品川「正直、歌ってる人の声、メチャメチャ腹立ちますね!(笑)」


太田「ボケを全部あっちに任せちゃうのが凄いよね?」
陣内「もともと僕は、ピンになった時はピン芸人っていうのはどんなんか知らんかったから、ひとりボケひとりツッコミやったんですけど、なんか嫌やったんですよ。スベったら恥ずかしいいし、みたいな」
太田「ああ、逆にこっちの方が安心してできるわけ?」
陣内「逆につっこむほうが、スベってもアイツのせいや、みたいな」


太田「でもね、このネタって鉄板……、要するに一回受けたネタは調子が悪い時とかないじゃん、この場合は」
陣内「まあ、(一回)受けたら、受けるっていうイメージはありますよね」
太田「絶対鉄板だよな、一回受けたネタは。それ良いよななぁ」
一同「(笑)」
太田「漫才って口パクでできねえかなぁ、って思う時あんだよ」
陣内「ああ、録ってしまって?」
太田「一番良い状態を録音してそれに合わせて(動いて)……、口パクで出きるといいなって思うんだろね」
陣内「(僕の場合)その要領ですよね、ボケを(パソコンに)任してるっていうか」
田中「これ、やっぱ練習とかは?」
陣内「練習はしてない。してないっていうか、ツッコミを自分で決めてるだけで、あとはむこうに任せて進むっていう」
品川「完全に(パソコンが)相方ですよね」
陣内「空気読んで(パソコンを操作して)出してくれ、みたいなオファーなんです」
太田「でも、機械だからたまに凍りついたり、故障とかないの?」
陣内「まあ、たまにありますけど、トラブってなんのこっちゃ分からんときとか、そこからもうやめて最近あった話とかして……」
品川「じゃあ、陣内さん困らせようと思ったら、あのマックにウーロン茶かければいいんだ(笑)」

品川庄司『よかろうもん→取調室』

田中「いやー、スゲえぇっわ! マジで」
品川「めちゃくちゃだな、このネタ」
田中「めちゃくちゃだけど、マジでコント55号みたい!」
太田「みたいだね」
田中「スゲー、迫力だった」


品川「もうこれでやめようって、このネタ」
一同「え?」
小池「なんで?」
品川「一年間(ルミネとかで)結構やったんですよ。だから検索ちゃんで最後にしようって」
太田「あ、そうなの? じゃあ、貴重だね!」
庄司「しかも最後に初めてですよ、これ(ネタのボケに使った動作)やったの(笑)」
一同「ええー?」
品川「いつもあれ、適当なんですよ。もう「おひ!」ってなったら毎回やること違うんですよ。だから一年間ももったんですよ」


太田「でも、後半は品川、何にも言ってないもんな、ただバカになってるだけで(笑)。あれは楽しいと思うわ」
田中「して、庄司が活きるじゃん、すごい活きるもんね
小池「庄司さんってこんなに早く喋れるんだって思ってびっくりした」
一同「(笑)」

友近『ベテラン声優』

太田「七色の声を持つ女、だね」
友近「いろんな声を出すのが好きなんですよね」
太田「どこで思いつくの? テレビ観てて?」
友近「そうなんですよ、マンガとかドラマとか、ちょっと変わった声だなと思ったらすぐ自分で出したくなるんですよ」
小池「誰かに聞いてもらうんですか?」
友近「姉がいたので、お姉ちゃんには結構そういうのやってました。姉と一緒にそういうモノマネ合戦みたいなことやってましたね」
太田「お姉ちゃんも上手いの?」
友近「上手くはないんですけど、付くところは面白いところを」
田中「あ、ポイントがね!」
太田「どこをやるかできまるよな」


品川「でもさ、(ネタの中で友近が「平成教育委員会」の機械音のマネをして)「ビビる大木くんの答え」って最初にいうじゃん。ビビる大木くんってそんなに「平成教育」に回数出てないかもしれないけど「ビビる大木くんの答え」って言ってそうだろね?
友近「言ってそうですよねぇ」
品川「そのチョイスが凄いよね。ごめんね、お笑い評論家みたいなこと言って(笑)」
太田「あれね、「ビ」で始まるからいいんだよね。「ビビる」って短く(早く)言った後に「おおぉーきくん」って(伸ばして)言うところが、あのコンピューターの言い方の特徴が上手く乗っかる「ビビる大木」なんだよ
品川「そう! ……ごめんね、お笑いファン2人いた(笑)」

次長課長『骨折した少年の見舞いに来たおじさん』

田中「最後、決まる*1よね」
河本「品川がいつもこのネタで誉めてくれるのは、「河本さん最後よく取れますね?」(笑)」


陣内「最初のメガネ*2も河本のために作られたみたい(笑)」
田中「あれね、ひょっとしたら本物かっておもわせるような微妙なラインがスゲエ合ってるよね。ただこっち全員が「ズルい、ズルい、ズルい」って(笑)」
河本「まあ、芸人12年やってて、12年目にできたネタがあのメガネをかけるっていう(笑)、そこ行き着いてしまったのかっていう……
陣内「ホンマはやったらあかんもんやもんな」
河本「ホントは大の反則なんですよ」
田中「あれは素人さんが宴会とかでやるようなものだから」
河本「でも、素人さんに扱えるレベルじゃないんです(笑)」

*1:ネタの最後、井上が怒って、河本にボールを投げる。河本はそれをキャッチして、ネタの途中に振ってある台詞「がっちりキャッチぃ」でオチ

*2:パーティグッズの垂れ目メガネ