テレビの鬼


本屋の新刊コーナーの片隅*1ナンシー関の「テレビの鬼」なる本*2があった。最近、よくコンビニなどでみかける500円本の形式。
無性にまた読みたくなったので衝動買い。
やはり今読んでもその面白さは色褪せない*3
試みに小見出しを一部抜粋するだけで、その卓越した観察眼と、見事な表現力をもっていたことがよく解る。今更言うまでもないけど。


・久々の目的なき「バカ」 氷川きよしは正統派アイドル
松田聖子の両手握手
・「木村拓哉不人気ブーム」到来の可能性を見た
・オカマキャラ藤井隆の「破綻」と「一生懸命」が生み出す効果
・共演者と観客に「聞こえないふり」を強いる橋田壽賀子の邪魔者感
・「老い」て落ちこぼれた90年代バラエティの申し子中山秀征
・初老の空間においてのみ機能する、若者代表としての山瀬まみ
・愚鈍なホステスがしきる『徹子の部屋』が名トーク番組とされる理由
・白日の下にさらされた名物男 浜田幸一
森口博子 箇条書き評価の落とし穴
東山紀之 本能的「立ち回り」の才覚
高嶋政伸 顔面「ぬいぐるみ」状態
・もはや青春の過ちではすまない。豊川悦司人気はやはり「間違って」いる
・「好きな俳優は渡部篤郎」と言う人たちはなぜ自信満々なのか
・単純すぎる欠点が先送りする「鶴瓶はおもしろいのか」の判断


いや、もう凄い。ちょっと並べただけでもうお腹一杯。(もちろん本文はもっともっと面白い)
ところで「リスペクト・タモリ」を標榜する「てれびのスキマ」としては冷や汗がどっとでる「タモリ」の項も無視するわけにはいかない。
タイトルは「いじられる大物タモリに『リスペクト』を捧げるのが流行ってる」。どっ。

どうも最近タモリブームのようである。いや、タモリ自身がどうこうなったというわけではなく、正確に言うと「リスペクト フォー タモリ」ブームだ。タモリにリスペクトを捧げるのが流行っているのである。
(略)
何年か前から、テレビの中でよく耳にするようになった「タモさん、タモさん」(2回繰り返しが重要)という声が、このブーム(本当にブームなのか)の前兆だったのかもしれない。若手のお笑い芸人やアイドル、ミュージシャンが口にする「タモさん、タモさん」は単なる呼称ではなく、「対タモリ」観、ひいてはタモリを定点とした自分の位置宣言という側面もある。タモリを「タモさん」と呼ぶこと自体よりも、タモリを「タモさん」と呼ぶ自分に意味があるのである。(後略)

ど、どっ。02年の記事。耳が痛い……。


*1:2月に発売されていたらしい

*2:主に『噂の真相』誌に連載されたコラムの総集編みたいな感じ

*3:というか、個人的には、意外とごく最近まで書いていたんだなぁ、という印象