芸人たちの幸福論

先日放送された爆笑問題さまぁ〜ずの『クレイジートーク』。前回はその中からバナナマン設楽が切り出した「芸能界のパスポート」を書き起こしてみたけれど、今回はブラックマヨネーズ小杉の悩み相談から。

小杉: 僕らの先を行ってはる諸先輩方に聞きたいんですけど、いま、幸せですか?
一同: (苦笑)
大竹: 勧誘されるのか、俺?(笑)
小杉: 僕たち、頑張るじゃないですか、これから。頑張った先の活躍する場が、言うたら爆笑問題さんとかさまぁ〜ずさんとかのエリアじゃないですか。そこまでいったら幸せなのかな? って。今僕そんな幸せじゃないんですよ。
河本: なんで?
田中: 今、ブラマヨ、瞬間的に一番売れてるぞ。
三村: 贅沢だぞ。
小杉: ま、仕事でいろんな芸能人と共演させてもらえるのは楽しいですけど、そんなお金持ちになるわけでもなく、絶世の美女を抱きまくってるわけでもなく……、そういう今の現状で言えばもっと頑張らないかんのは当然そうなんですけど、現時点で「手にあまるような幸せ、俺抱えてます!」とはならないんですよ。今の状態では。
大竹: どうなったら、幸せなの?
三村: ここを超えたら幸せとか。
太田: 吉田もそうなの?
吉田: 僕は……、女性に関してのイライラはありますけど(笑)、
田中: 女性に関してのイライラって何?
吉田: M−1獲ってテレビにも結構出させてもらっても、まだモテへんから。
大竹: 売れたら抱けるって事じゃないでしょ?
吉田: いや、売れたらもっと抱けるって思ってましたよ(笑)。女性なんかコレ(手招きだけ)で来るって思ってましたよ。
日村: ダメだなぁ(笑)。
太田: 不満なの?
小杉: 仕事はまぁ、楽しいし、まだやらなあかんことも当然のようにあるからそれは当たり前ですけど、プライベートで今何して楽しいですか?
大竹: あー、そういう事ね。
小杉: 仕事以外で。仕事は当然楽しいです。
太田: 仕事楽しけりゃいいじゃん。
小杉: はっは〜ん。
一同: (笑)。

太田の「仕事が楽しけりゃいいじゃん」の一言に「はっは〜ん」と返す小杉。価値観というか意識の違いが浮き彫りになる。
ここから異常なほどの仕事人間である太田の生活のウェイトがいかにそれに占められているかが語られる。

田中: この人(太田)は特別。休みが嫌なんだから。明日休みだよって言ったら憂鬱になるんだもん。
三村: 1週間ぶっ通しで仕事ガーっとした8日目にポっと休みたいなとか思わないですか?
太田: 思わない(即答)。
大竹: 寝たくもないし?
太田: 寝たくもない。
三村: 俺はその一瞬の休みが超幸せなの
太田: それはだから仕事がつまんないって事だよ!
三村: 違っ! 充実した仕事をしたから……。なんか俺を(太田は)変な風にしようとしてんの!
太田: (笑)。
三村: 充実した仕事をしてるからこその、8日目の午後まで寝てる感じというか。
太田: 俺ね、三村が充実してるの見たことない
三村: バ、バ、バカヤローッ!
太田: (爆笑)。
三村: 俺を一回テレビでスローで見てくれ!
太田: (手を叩いて爆笑)。
三村: しょっちゅうニヤニヤしてる!(笑)

太田はこの番組で終始三村をおもちゃのようにイジッて遊ぶ。イジッても全然響かない我が道を行く田中と違って、イジリがいのある同世代の三村との絡みにイキイキとしてる様が楽しい。

太田: 何が幸せなの? 小杉にとったら。
大竹: もう死ぬの?(笑)
小杉: プライベートで何してる時が楽しいのかな、みんなって思って。
田中: 俺なんかいっぱいあるよ!
太田: こいつ何だって幸せなんだもん。
田中: ゴルフ、競馬、草野球……、
三村: 多趣味だよね。
田中: 麻雀、カラオケ、ご飯食べる……。
小杉: じゃあ、あの草野球のために早く起きてもいいってことですか?
田中: いや、俺、休みの日が一番(起きるの)早いもん。暗いうちから起きるから。
太田: だからさ、幸せを何と考えるかによるよな。
吉田: でも、太田さんがそんなに仕事が好きだったら、田中さん全然休めないんじゃないですか?
田中: そうです。
大竹: だから家族が逃げていくんだよ。
田中: (笑)。

ここから太田の幸福に対する考え方が明かされます。田中との対比がとても面白い。

太田: だけど、かといって俺はコイツみたいに(何でも幸せって)なりたいとは思わないからね。
田中: そこは別に違うからね。
三村: 趣味を持とうとか思わない?
太田: つまり、コイツは常に幸せを感じる回数が多いわけよ。俺はまだ足りない足りないっていう、そういうの(思い)があってスゴい不満なわけ。子供の頃からそうなんだけど、遠足とかってさ、学校で行く時に、明日は遠足だ、とか一週間くらい前からワクワクするじゃない。で、俺は当日、思った程、楽しくないって感じる(のが強い)人間なのよ。
三村: それは解る。
太田: なんか、前日の方が、きっと楽しい想定だったのに何か当日になってみたらそれ程でもなかっていうのが、もうずーっと続いてるから、そういうもんだと思ってるわけ。それで、遠足が終わって1年くらい経つと「あ、あの時、楽しかったな」っていう思い出になるんだよ。だから、その瞬間楽しいって思えることって滅多にないんだよ!
三村: あー、これで、答え出たな。
小杉: 今、めちゃめちゃ解決しましたね。!
太田: 俺は滅多にないんだよ。ところが、コイツはその瞬間、瞬間、ホントに幸せを感じるヤツなの!
田中: (笑)。
三村: それはそれで、いいじゃん!
太田: それはさ、小杉が悩んだりなんかするっていうのは、俺こんなはずじゃないんだよっていうのは、逆にそれ以上を求めてるってことだから、俺はそっちになりたいと思うんだよね。コイツは満足しちゃうから、要するに、成長がないわけ。
小杉: ……その話は今、「うん」と頷くわけには(笑)。

太田って、何かを説明するときに持ち出す例がいつも具体的で理解しやすい。それは、時に誤解されやすいことと表裏一体なんだけど。