「キミは売れない(俺と同じで)」伊集院光から山里亮太へ贈る言葉

9月19日のTBSラジオ『伊集院光深夜の馬鹿力』で伊集院は前日に行われた『爆笑問題の日曜サンデーJUNK大集合SP』に触れながらエンディングでこう述懐した。

(『JUNK大集合SP』での)山里亮太の「リアクションしながら説明」っていうね、これはね(略)、榎本勝起さんっていうベテランのパーソナリティがいて、この人にドッキリで生放送中に僕、噛んだことがあるんですけど、そしたら心臓止まるくらいおじいちゃんのアナウンサー驚いてるのに「今、伊集院くんの真珠のような歯が肩甲骨の上の方をカプリと行きました」って言いながら(笑)。凄いのがホントに驚いてるんだよ。あり得ないじゃん、30歳も年下の奴がさ、急にだよ、生放送中に噛み付いてきたんだよ。それを説明した以来の出来事です(笑)。


「それを説明した以来の出来事」が起きたのが赤坂サカスで行われた『爆笑問題の日曜サンデーJUNK大集合SP』。
バナナマン(途中退席)、おぎやはぎ山里亮太伊集院光、そして爆笑問題のJUNKパーソナリティ(エレ片はスケジュールの都合上欠席)が勢ぞろいした『日曜サンデー』の公開生放送。
その中で「一日だけ他の曜日の人と一緒にJUNKの放送をするとしたら誰がいいか」という質問に答える面々、というシーン。

矢作: 小木以外でぇ? 
会場: (爆笑)
伊集院: こんな哀しい顔すんの? 想像しただけで(笑)。
矢作: えー、小木はいて、でしょ? 小木いないの? それはキツイですよぉー。
太田: 小木はいて、だったらお前らの番組にゲストで来たってだけになっちゃうだろ?
矢作: 誰だろうなぁ? いやーーーー。
伊集院: 何このドキドキ。この選ばれたい感じのドキドキ何?
矢作: でも、バナナマンは昔から一緒にやってて見えすぎる、というか普通に友達同士で喋ってる感じになっちゃうというか、ホント、一対一の経験がなさそうなのは伊集院さんなんだよなー。
伊集院: おお。
矢作: だって、伊集院さんと二人なんて考えられないじゃないですか。太田さんはだいたいさっきも一緒にタバコ吸ってたし(笑)
太田: 関係無いだろ、それは。
矢作: 太田さんはぁーー、どうだろうなぁ? 生放送だと、処理できる自信がない(笑)。やっぱ、あれは田中さんしかできないと思うんですよ。
太田: 田中もできてないから俺ら干されたんじゃん(笑)。
矢作: 伊集院さんとやれたら……。
伊集院: すっげー嬉しい。
太田: 伊集院ばっかになっちゃう。


田中: わかんない、訊いてみようよ。小木は?
小木: 誰にしようかなぁーーーー?
伊集院: 指さして! 指さして!
小木: えーーーーとーー
山里: あっはぁ、一瞬、僕、山里の方を指したのに通り過ぎちゃう感じぃ?
小木: あーー、伊集院さんっ!
太田: なんで、伊集院?
小木: 絡んだことがないんですよ。ここはよく仕事もあるし。
山里: ええ、山里、はい。
小木: 太田さんは、面倒くさいじゃないですか(笑)。田中さんは下に見てますんで(笑)。
会場: (爆笑)
山里: 最低でしょ!
田中: 一番俺、年上よ(笑)。
太田: じゃあ、また伊集院だ。


田中: さあ、じゃあ山ちゃんは?
山里: 僕はもう、これ決まってますね。この中だったらやっぱり伊集院さん。
伊集院: お断りだ!(食い気味に)
山里: 断られちゃった! ちょ、伊集院さん!
伊集院: キミはお断りだよ! キミはなんか、眼鏡の奥の心ないヨイショみたいなのが。キミはお断りだよ!
山里: ちょっとモテたからって調子にのって!
伊集院: (笑)。
太田: なんで伊集院?
山里: 普通にラジオ聴いてたんで。
田中: リスナーとしてね
太田: (伊集院のラジオで)ラジオの勉強したんだもんな。それで品川のこと言っちゃったんだもんな(笑)。
山里: そんな流れ教えてもらってないですよ!

この場面について伊集院は前述の『深夜の馬鹿力』オープニングで解説する。

メールで来て質問で、「もし、自分の相方じゃなくて、誰かと組んでJUNKをやるんだったら、誰と組みたいですか?」って一人ひとり訊いてくシーンがあるわけ。
30〜40代の男しかいないのに、たとえば小木くんが立って、誰とカップルとなるのか迷う、「ゲイカップル誕生」みたいなちょっとしたコントになるわけ。
そうすっと、会場はキャーキャー言いながら沸くじゃん。面白いから。
それをタメてる間に、いったん俺を指さしながら、小木くんが山里くんに行きながら、矢作くんに行こうとして、爆笑(問題)に行って……、みたいなことをやってるときに、あの、山里くんだけは小さい声でリアクションで「あぁ、俺のトコ指さしたのに、あ、行っちゃった!」みたいな、「あ、俺、山里を一回指さしたのにぃ?行っちゃうんだ!」みたいなラジオを聴いてる人に分かる解説を、リアクションをとりながらやる、っていう。
これはスゴい技術であり、「スター性の無さ」です(笑)。
そのわがままに振る舞っても、誰かが読み取ってくれる、とか(スター性のある人みたいに)思ってないんです。
要するに、「僕を見て下さい!」っていう。、なぜなら、俺も同じことをやってたからなんです(笑)。
あん時、俺はね、とりあえずあんまり説明臭くなるのもイヤだけど、間が面白い芸であるから。俺たちを指さしながら、悩んでいるっていうのは、会場では間で成立してる面白いコトだから、あんまり説明臭くなるのもどうかな?って思うんで、一応選ぼうとしてすごい迷ってるって説明の意味で、「俺選んで! 俺選んで! 俺を選ぶの?」って。だけど、山里は「俺、山里を指さしてますけどぉ……、行っちゃうんですか?」って。まだちょっと説明臭いけども(笑)。
でもね、ああいう丁寧さは僕は大好きなんですよ。
そして、ああいう丁寧さがある芸人っていうのは、いなくならないけど、ブレイクもしない(笑)。
なんだろうね、一生、ホームラン王をとらず、4番には座らず、2番とか8番とかでコツコツ生きてはいけるんじゃないかな。
そういうことを山里くんにメッセージを送ることで、俺もそうでいたい、というかね。
俺もいなくなりたくないって。そういうのあるんです。

そしてエンディングにはこう付け加えた。

ただね、売れない(笑)。俺と同じで


ずっと伊集院光への尊敬の念を公言していた山里。
その相手に絶賛されたのを聴いた直後の『山里亮太の不毛な議論』。
リスナーからの「途中から何も喋ってない」とか「結局、JUNKパーソナリティで誰とラジオやりたい?って訊かれて、誰からも指名されてなくて絶望だったですね」などといったリスナーからのイジリメールにも「いいよー、許すよー」「今の僕は何を言われても怒りません」とご機嫌。
いかに嬉しかったかをその経緯と共に丁寧に饒舌に説明していく。
そして山里は後日談を語る。

今日、『Qさま』の収録があったの。で、伊集院さんと一緒になったの。それで、お礼を言わなきゃって思って。楽屋に行くわけですよ。もちろん、覚悟はしてるよ。こんだけ言ってるし、この気持ちを伊集院さんも気づいてないわけだし、抱いてもらおうと思って(笑)。
「失礼します」って言ったら、「おう!」って。
「おはようございます…すいません、こんなこと言うのも何なんですけど、月曜日にラジオ聞かせてもらってまして、ホントにありがとうございます、嬉しかったです」って言ったの。
そしたら、伊集院さんが普通に「ああ。あのときさ、リスナーにちゃんと伝わるように意識して言ってたのって、うん、キミだけだってよね」って。
「はい!」って。
ホントにイイと思うよって言われて、うわぁ、嬉しいなって。
そこで、最後に伊集院さんが
でも、売れないよ
って言ったのよ。ここですよ、ここ。「芸人」山里亮太ですよ。芸歴も12年ですか、わたくし。
このトス、先輩からのトス、芸人としては教科書1ページ目に書いてあって、こう言うんです。
「ちょっと待ってくださいよ!それだけは、いやいや。それは売れたいために頑張ってるんですからぁー。ちょっと!」っていうのが教科書、絶対なんです。
「ちょっとちょっと! すみません、よろしくお願いします!」っていうと、楽しい感じで終われるの。
これが模範解答。
でも、実際に俺がやったヤツ、これから言います。
伊集院さんが「でも、売れないよ」って。
「あ……、はい。でも、、、あの、本当に嬉しかったです。失礼します!」
……これ。
俺、一個気づいたの。
俺、本当の意味で売れないと思う(笑)。


ちなみに伊集院。
番組の途中まで山里のことを「ヤマト」と呼んでいた。

あいつ「ヤマト」なの? 今知った。
ヤマサトリョウタ」なの?
俺が武田鉄矢から「毎週聴いてるよ! イシュウインくん!」って言わたのと同じヤツのことを俺が今やってんの?