『CREA』の新連載「妄想キャスティング」についての見解

CREA』11月号から始まった新連載「妄想キャスティング」が、
ラジオ番組『東京ポッド許可局』内で行われている「キャスティングを勝手に考える」シリーズと企画内容が類似していると、プチ鹿島さんに指摘された件について、僕の見解を書きたいと思います。

先に事の経緯を振り返ります。まずは鹿島さんの以下のようなツイートがありました。


この「類似品」というのが僕の連載を指しているのは、その後のツイート等で明らかです(なお、僕はこのツイートには気づかず、別の方のツイートやおそらく鹿島さんのフォロワーの方からのそれを示唆するリプライを頂き気づきました)。
そのため、僕の見解をツイートしました(名指しされたわけではなかったので、こちらも許可局のことには触れていません)。

そしてそれを読まれたであろう鹿島さんが以下のようにツイートされました。

「筋が悪い」かどうかは僕が判断することではありませんが、少なくても「ゲロった」わけではないことを以下に説明しておきたいと思います。
先のツイートでも書いている通り、僕はこの「妄想キャスティング」というのが僕のオリジナルの企画だとはまったく思っていません。
と同様に、僭越ながら『東京ポッド許可局』並びにプチ鹿島さんのオリジナル企画だとも思っていません。
確かにこのふたつの企画だけを並べると後から始まった僕の企画が『許可局』の企画を真似したと思われるかもしれません。
が、ネットでちょっと検索すればそのようなことをしている記事はたくさんでてくるし、ネットは別だと言うのなら、雑誌などでそのような企画をしているのはよく見かけます。テレビでもちょっとしたコーナーでやっていることもあります。書籍化されたものもあるはずです*1。それらを無視すべきではないと思います。
つまり言いたいのは、このような好き勝手にキャスティングを考えるというのは、昔からよくあった企画で、誰か特定の人物の「専売特許」ではない、ということです。

その上で「いやいや、他のことはどうでもいい。結局、お前は『許可局』の企画に影響されてやったんだろ?」と言われるかもしれません。
それも明確に「NO」と言えます。
『許可局』がいつ頃からその企画を始めたか明確に分からないのですが、僕の発言を過去ログに記録されている範囲で見ていきます。
たとえば、「妄想キャスティング」という言葉を僕が使ったのは、ツイログで検索するだけでも、『許可局』の番組自体が始まる前の2012年の段階で出てきます。
twilog.org
なお、この中に出てくるように他の方が書いた記事でも同じような遊びをしている方はたくさんいます。上で書いたような「ちょっとネットを検索すれば出てくる」証左のひとつです。
また、「妄想キャスティング」という単語を使ってなくても同様の趣旨のツイートを探せばたくさん出てくるはずです。
たとえば、連載第1回のテーマの『ドラえもん』についての妄想キャスティングは2013年に既に一度書いています(月日が経っているので連載原稿に書いたキャストとは当然違いますが)


ちなみに冒頭の鹿島さんのツイートで「ヤラれる前にヤれ!」と書かれていますが、『水戸黄門』の妄想キャストについては、武田鉄矢の『水戸黄門』発表直後の時点で希望キャストという形でチラッと既にやっています。
さらにブログでいえば「ラテラ」という別ブログ*2にはたくさん書いていたと記憶していますがブログ自体を消してしまったので、あまりその手のものを書かない「てれびのスキマ」でも探すと11年前の2006年に妄想キャスティングの記事を書いています。
littleboy.hatenablog.com

繰り返しますが、だからといって自分の方が先だとかオリジナルだと主張するつもりはありません。ありふれた企画なので。
明らかにしたいのは『許可局』に触発されたのではなく、自分はずっと前からこうしたことで遊び、それを書いてきたということです。
でも11年前の僕が書いたブログなんて誰も注目しないし、当然商業メディアでは書かせてもらえません。
そして今、僕にもそれを雑誌で書く機会が与えられるようになったということです。
とはいえ、雑誌の連載とラジオ番組の不定期企画と形が違うにしても、同時期に並んでしまうのは後発の連載を立ち上げる際にすべき配慮が足りなかったかもしれません。その部分は深く反省しお詫びします。

鹿島さんに僕がどう思われても構わないのですが(もちろんそれはツラく哀しいことですが)、「類似品」「筋が悪い」とまで言われたらこちらも反論せざるを得ないのをご理解ください。

「なぜここまで言われなければいけないのか?」ということをずっと考えていたのですが、もしかしたら鹿島さんは、今回の件をきっかけに2年半前のことを思い出したのかもしれません。

2015年2月に僕が書いた「Yahoo!ニュース個人」のこの記事について鹿島さんからDMを頂いたことがありました。
news.yahoo.co.jp
それは「引用元を明記してください」というご指摘でした。
当初、この記事には「プチ鹿島氏が指摘するとおり」という一文が入っていませんでした。それが「おかしいじゃないか」という旨のご指摘でした。

そんなことを問いたくなってしまうような過剰反応なのは明らかだ。実際のところ、プチ鹿島氏が指摘するとおり自粛を決めた背景は、「情勢に配慮して」というよりも、ごく少数だが、確実にいるであろう面倒な「クレーム」対応が嫌だからというのが本当のところではないだろうか。いわば、「クレーマーに配慮して」自粛したのだ。(以下略)

この記事の前置き部分にあたる以上の部分については、その前に鹿島さんが書いた文章に影響を受けたのは確かです。それを「すでに一般論であるという前提」のような形で書いてしまったのは、いかにも僕の至らぬ点でした。
そう思ったので、すぐに謝罪した上で「プチ鹿島氏が指摘するとおり」という言葉を捕捉した次第です。
これは僕の完全な推測ですが、2年半前のこの件があったので、「妄想キャスティング」のことを知って、「またか!」と鹿島さんは激昂されたのではないかと思います。
ただし、それを「類似品」「筋が悪い」という言葉を用いて、暗に「パクリ」だとおっしゃっているわけですが、それについては、「違います。昔から同じようなことを考えていましたし書いていました。それがようやく雑誌で連載できるようになったのです」と回答させていただく次第であります。

*1:たとえば2004年刊行の橋本治『シネマほらセット』

*2:当時はできるだけ「自分」を出さない「てれびのスキマ」と、それを気にしない「ラテラ」で住み分けしてました