客と客と演者たちとの距離


会場の大きさなどで、同じ漫才をやっても笑いの質や量が変わるというのはよく言われることだ。
爆笑問題のニッポンの教養」の海洋生命科学者・塚本勝巳の回で「すべての動物にとって、"個体間距離"が重要だ」という話から太田が発想を得て、漫才をやる時の距離の重要性と、それに関係したある工夫を語っていた。

漫才やる時にすごく重要なのはお客さんとの距離なんですよ。
舞台をやる時に、例えばホールでやる場合と、小さなライブハウスでやる場合と全然違うんですよ、伝わり方が。
(お客さんの)人数とか、あと、客同士の距離が大事なんです。こう、ギュッと詰まってるとね、ドーンっと行くんですよ。
だけど、ホールみたいにゆったりして見ますよね、(映画館みたいに)背もたれがあって、ここ(横)にもちょっと距離があって、前後にも距離があって、広々としていて、しかも舞台までの距離がある。
そうするとね、伝わり方がまたね、この辺で細かいことはあんまり(伝わらないで)分散してしまうもんですから。
そのかわり、割と大きく、ゆっくり漫才をするわけですよ、そういう時って。伝わって行くように。
いつもは「えっというわけで」と(早口で)言うところを「さあ、と、いう、わけで」くらいの(ゆっくりとした)テンポにするわけです。そうすると、わぁーーん、と伝わっていくわけです。
だから距離によって表現の仕方を調節してるんですよね、自然と。技術なのか、反射本能なのか……。理屈じゃないんですよ。
で、この二人(太田と田中)との距離もちょっと空けたり……っていう。この(客と田中と太田の)三角形(が重要)なんですよね。